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超上流工程とは?業務範囲・役割・必要スキルと人材育成の進め方を解説

近年、DX推進や業務改革の加速により、要件定義よりも前の「構想・企画フェーズ」を担う「超上流工程人材」の重要性が高まっています。

本記事では、超上流工程の定義や上流工程との違い、具体的な業務内容、必要とされるスキル、人材育成の方法までをわかりやすく解説。実践的な育成手段として、リンプレスの専門研修についてもご紹介します。

DX研修を実際に行った企業の事例を知りたい方は「導入事例:第一三共株式会社様」「導入事例:株式会社八十二銀行様」「導入事例:株式会社ワークマン様」こちらのページをご覧ください。

リンプレスでは、DX推進人材を育成する研修プログラムと、DXの内製化をサポートするコンサルティングを提供しています。自社のDX推進にお困りの方はぜひご相談ください。

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超上流工程とは?

「超上流工程」とは、ITシステムや業務改革において、要件定義よりも前の段階である企画や構想を行うフェーズを指します。

企業が抱える経営課題を明確にし、どのような解決策をとるべきかを構想・提案する非常に重要な工程です。単にシステム開発の入り口ではなく、事業戦略とITをつなぐ最上流の役割を果たすため、経営視点や業務理解、分析力など多様なスキルが求められます。

上流工程との違い

上流工程は要件定義や基本設計など、システム開発の設計段階を指すのに対し、超上流工程はそれ以前の企画・構想・課題分析を担う工程です。

たとえば「何を作るか」ではなく、「なぜそれが必要か」「そもそも解決すべき課題は何か」を定義するのが超上流工程です。顧客との信頼関係構築や業務全体の可視化も含まれるため、よりビジネス寄りの視点が求められるポジションです。

「上流工程」については、以下の記事で詳しく紹介しています。
システム開発における上流工程とは?下流工程との違いやITプロジェクト全体の流れを紹介

超上流工程の具体的な業務

超上流工程では、現状業務のヒアリング・課題抽出・業務分析から始まり、解決策の立案、投資効果の試算、プロジェクトの構想策定などを行います。

顧客の経営目標や業務改善のニーズに対し、ITの力でどのような価値を生み出せるかを見極め、要件定義に引き継ぐ橋渡しの役割を担います。技術よりも企画・提案・調整といった業務が中心です。

担当するのはどのような役職層か

超上流工程を担うのは、一般的にプロジェクトマネージャー(PM)やITコンサルタント、システム企画担当、業務改革リーダーなどの中堅〜管理職層です。

場合によっては経営層に近い立場でビジネス課題を検討することもあり、高い業務理解力と対人調整力、ビジネス視点を兼ね備えた人材が必要とされます。また、顧客との折衝を通じて信頼を築けるコミュニケーション力も不可欠です。

プロジェクトマネージャーという役職については、以下の記事で詳しく紹介しています。
プロジェクトマネージャーとは?役割と必要な能力・育成のポイントを解説

なぜ今、超上流工程が重要視されているのか

これまでのITプロジェクトでは要件定義以降のフェーズに注力される傾向がありましたが、近年はその前段階である超上流工程の重要性が高まっています。DXの推進やシステムの複雑化により、ビジネス課題と技術戦略の橋渡しができる人材や工程が求められているためです。以下では、その背景を3つの観点から解説します。

  • DX時代において「企画力」が競争力になるため

  • 開発の手戻り・非効率化を防ぐため

  • 全社視点でのシステム設計が求められるため

DX時代において「企画力」が競争力になるため

DXの本質は「ITを使って何を変えるか」にあります。単にデジタルツールを導入するだけでは競争優位にはつながりません。

そこで重要なのが、業務課題を深く理解し、どのような変革が必要かを描く「企画力」です。超上流工程では、ビジネス目線で構想を立てる力が求められ、まさにこの企画力こそが企業の競争力に直結する時代になっています。

DXに必要な企画力について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
DX人材には「IT企画力」が重要に

デザイン思考やIT・システムの企画立案スキルを身につける研修は、プロによるサポートを受けることでより高い成果が見込めます。

累計4,000社以上の支援実績を持つ「リンプレス」によるIT・システム企画研修の詳細は、以下のリンクからご覧いただけます。御社の課題に合わせて、最適なカリキュラムをご提案いたします。
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開発の手戻り・非効率化を防ぐため

要件定義が曖昧なままシステム開発を進めると、途中で「本当に必要な機能が抜けていた」「想定していた業務と違っていた」といった問題が起こり、手戻りが発生するリスクが高まります。こうしたムダを防ぐには、超上流工程で現場のニーズや業務フローを正しく整理し、目的と期待効果を明確にしておくことが不可欠です。

事前の「構想力」がプロジェクトの効率を大きく左右します。

全社視点でのシステム設計が求められるため

部門ごとに個別最適なシステムを構築しても、情報連携ができず非効率になるケースが多く見られます。これを防ぐには、超上流工程で全社の業務フローや情報の流れを俯瞰し、一貫性のあるシステム設計を行う必要があります。

全社視点で課題と構想を描ける人材がプロジェクト初期に関与することで、将来的な拡張性や統合性を担保しやすくなります。

超上流工程に求められるスキルセット

超上流工程では、ITに関する知識だけでなく、ビジネスやユーザーの視点を踏まえて構想を描く多面的なスキルが求められます。関係部門やステークホルダーとの調整も多く、幅広い能力をバランス良く備えていることが重要です。以下に、特に重視されるスキルを4つ紹介します。

ビジネス視点での課題抽出・業務分析力

現場の業務内容や経営課題を深く理解し、どこに非効率や改善余地があるのかを的確に見つけ出す力が求められます。

単なるシステムの置き換えではなく、「業務をどう変えるか」「どうすれば成果につながるか」を考える視点が不可欠です。部門横断で課題を捉え、根本的な改革につなげる思考力が、超上流工程では特に重視されます。

ユーザー視点でのデザイン思考力

利用するのは最終的に「人」であるため、ユーザーの体験や業務の流れを考慮した発想力が重要です。そこで求められるのが、デザイン思考という考え方です。デザイン思考では、ユーザーの声に耳を傾けながら課題を可視化し、共感と創造を軸にアイデアを構築します。

システムの利便性だけでなく、「エンドユーザーが使いやすいか・本当に求めている機能か」を意識した設計ができる力が、プロジェクトの成功を左右します。

デザイン思考については、以下の記事で詳しく紹介しています。
デザイン思考とは?業務改善に役立つ思考法を組織に定着させる方法を解説

経営層と現場をつなぐコミュニケーション能力

経営層、現場担当者、IT部門など、関係者の立場や目的はさまざまです。

超上流工程では、それぞれの意図や背景を理解しながら、プロジェクト全体が同じ方向を向けるように調整するコミュニケーション力が必須のスキルです。

専門用語をかみ砕いて説明したり、合意形成を進めたりと、ファシリテーション力や対話力も持つ人材が超上流工程に最適と言えるでしょう。

ドキュメンテーション作成能力

企画書や構想書、業務フロー図、提案資料など、プロジェクト初期には多くの文書作成が求められます。相手に伝わる構成力や図解スキル、論理的な文章力がなければ、よいアイデアも共有されずに終わってしまいます。

複雑な内容をわかりやすく整理し、関係者間で共通認識を持たせるためにも、ドキュメントの質は非常に重要です。

超上流工程を担える人材をどう育てるか

超上流工程は高い専門性と多様なスキルが求められるため、人材の育成には計画的なアプローチが必要です。現場経験だけでは身につかないスキルも多く、座学と実践のバランスが重要です。

以下では、企業で実践されている代表的な育成手法を3つ紹介します。

  • 社内研修・OJT

  • 外部サービスによる社外研修

  • 他流試合型研修

社内研修・OJT

現場に即した実務経験を通じて育成するOJTは、日常業務に根ざしたスキルを磨くのに有効です。加えて、ロジカルシンキングやドキュメント作成、業務分析といったテーマで社内研修を実施すれば、超上流に必要な基礎力を段階的に習得できます。OJTなら、社内のプロジェクトに参画させ、段階的に役割を広げていく育成設計も可能となります。

ただし、自社に超上流工程のロールモデルがいない場合や、育成のノウハウがない場合は逆効果となる可能性もあるため、注意しましょう。

外部サービスによる社外研修

自社だけでは育成が難しい場合は、外部の専門機関による研修の活用がおすすめです。

業務改革やIT企画、デザイン思考、ビジネスアナリシスといったテーマに特化した講座が多数あり、体系的にスキルを習得できます。実績あるプログラムを選ぶことで、現場ですぐに役立つスキルを効率よく習得でき、育成期間の短縮にもつながります。
超上流工程・上流工程の育成に強い「リンプレス」に相談する

他流試合型研修

他企業の参加者とともに学ぶ「他流試合型研修」は、自社の常識や視点にとらわれない発想力を養ううえで非常に有効です。

異なる業種・職種の人とディスカッションやグループワークを行うことで、高い視座での思考や課題整理の力が自然と身につきます。超上流工程に求められる「抽象度の高い問題に向き合う力」を鍛える貴重な機会となります。

他流試合型研修が向いている研修の種類や実施方法については以下の記事で詳しく紹介しています。
他流試合型研修と社内研修|それぞれの違いと向いているテーマを解説

リンプレスの研修で「超上流工程人材」を育成しよう

リンプレスでは、DX推進や業務改革を担う「超上流工程人材」の育成に特化した研修プログラムを提供しています。

デザイン思考力・企画力といった超上流工程に欠かせないスキルを体系的に習得したい企業に最適です。
ご相談・お問い合わせ

リンプレスの「IT・システム企画研修」

「IT・システム企画研修」は、業務課題の整理からシステム化構想の立案、関係者との合意形成まで、システム企画に必要な一連のプロセスを実践的に学べるプログラムです。

知識の習得だけにとどまらず、ワークショップ形式で業務フローや要件の可視化、企画書作成などを体験できます。システム企画に携わるSEやIT企画部門の担当者に特におすすめのプログラムです。

リンプレスの「IT・システム企画研修」について詳しくはこちら

リンプレスの「プロジェクトリーダー研修」

リンプレスが提供する「プロジェクトリーダー研修」は、マネジメント初心者から経験者まで幅広い層に対応しており、現場で活かせるスキルが確実に身につく研修プログラムとなっています。目的に応じて選べる「PL教室」と「TREND-PL®」の2種類があり、短期間で成果を求める企業にも最適です。実務と理論を融合させた研修で、即戦力のPM人材を育てられます。

超上流工程に不可欠なファシリテーション力やコミュニケーション力を強化したい方におすすめです。

リンプレスの「プロジェクトリーダー研修」について詳しくはこちら

リンプレスの研修を導入した企業の事例

株式会社ゼンリンでは、これまでに社内で人材育成を行っていましたが、デジタルやITに特化した研修が少ないことに課題を感じていました。デジタル技術の活用やDXの推進のため、リンプレスの「デザイン思考研修」と「プロジェクトリーダー研修」を導入いただきました。

一般的な「リーダーシップ研修」は多くの企業が提供していますが、リンプレスならではの「ITプロジェクトにおけるプロジェクトリーダー育成に特化した研修」という点に魅力を感じていただいております。

実際に参加した社員の方からは「自社の中だけでは得られない学びや気づきがあった」という感想もいただいており、研修から帰ってくると目の色や言葉が変わる、というお声もいただいています。

こちらの事例について詳しくは、以下のリンクからご覧いただけます。

株式会社ゼンリン様の事例|ゼンリン独自のデジタル人材育成プログラムで「伝道師」を育成!社員の主体性を高めるための仕組みとは

DX研修を実際に行った企業の事例を知りたい方は「導入事例:第一三共株式会社様」「導入事例:株式会社八十二銀行様」「導入事例:株式会社ワークマン様」こちらのページをご覧ください。

リンプレスでは、DX推進人材を育成する研修プログラムと、DXの内製化をサポートするコンサルティングを提供しています。自社のDX推進にお困りの方はぜひご相談ください。

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まとめ

超上流工程は、システム開発の起点となる「構想・企画フェーズ」であり、DX時代の競争力を左右する重要な領域です。課題抽出や業務分析、関係者との調整など、多面的なスキルが求められます。属人的になりやすい分野だからこそ、計画的な人材育成が必要です。社内OJTだけでなく、他流試合や外部研修も効果的に取り入れながら、「構想力のある人材」を育てる体制を整えていきましょう。実践力を育てるなら、リンプレスの研修支援もぜひご検討ください。

ご相談・お問い合わせ

<文/文園 香織>

株式会社リンプレス
株式会社リンプレス
2017年に株式会社リンクレアのコンサルティング事業、教育事業を分社化して誕生。企業向けDX人材育成研修やITコンサルティング、内製化支援などを手掛ける。DX推進に必要なIT・システム企画力、プロジェクトマネジメント・リーダーシップ、デザイン思考、データ分析など、様々なラインナップを提供する。講義だけではなく、ワークショップやハンズオン演習を取り入れた実践型研修に強みを持つ。これまでの累計支援企業数は4,000社以上、累計受講者数は15,000名以上に及ぶ。

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