事例

ゼンリン独自のデジタル人材育成プログラムで「伝道師」を育成!社員の主体性を高めるための仕組みとは

(写真右)株式会社ゼンリン 執行役員 開発本部長 飯銅 英樹 様
(写真左)   同社         開発本部 渡辺 浩一 様

こちらの事例はPDF形式でダウンロードすることができます

Overview

概要

目的

  • デジタルやIT/DXに特化した教育カリキュラムを導入することで、技術者としての総合的な技術力を底上げする

  • デザイン思考という新たな視点を取り入れることで、アイデア発想や考えることの"楽しさ"に気づいてもらう

課題

  • IT/DXに特化した教育カリキュラムが少ない

  • 新しいアイデアの発想や企画ができる社員を増やしたい

支援の成果

  • デザイン思考を身につける社員が増えたことで、アイデアの質が高まった

  • 社員がDXに取り組むきっかけをつくることができた

  • 研修を通じてコミュニケーションが活性化された

About

企業情報

株式会社ゼンリン

事業内容:『知・時空間情報』の基盤となる各種情報を収集、管理し、住宅地図帳などの各種地図、地図データベース、コンテンツとして提供。また、『知・時空間情報』に付帯、関連するソフトウェアの開発・サービスの提供。

設立:1961年4月

従業員数:2,426名(2024年3月31日現在)

URL:https://www.zenrin.co.jp/index.html

株式会社ゼンリンは、『知・時空間情報』の基盤となる各種情報を収集・管理し、住宅地図をはじめとして、カーナビゲーションやインターネット用地図など、地図データベースの制作と地図情報に関連したさまざまなコンテンツ提供やソフトウェアの開発、サービスの提供を行う地図業界のリーディングカンパニーです。

DXの推進においては、中長期経営計画「ZENRIN GROWTH PLAN 2030」に基づき、各部門が主体的にDX戦略を策定、実行する組織づくりを進めています。
また、"デジタル人財の育成・確保"にも積極的に取り組んでおり、2019年4月からは「階層別研修(若手向け/マネジメント層向け)」、「選択型テーマ別研修」、「選抜型研修(経営幹部候補育成プログラム)」の3本柱で構成された新たな教育・成長支援制度を導入しています。

リンプレスは、同社のDX推進人材育成に向けた取り組みの一環として、2021年からゼンリン様独自のカスタマイズを加えた「デザイン思考研修(インハウス)」を継続的に実施させていただいております。また、同社では若手~中堅社員向けの教育プログラムとして、1996年から現在に至るまで、「プロジェクトリーダー研修(TREND-PL®/PL教室)」や「IT・システム企画研修(STUD-SA®/SA教室)」を長きにわたりご活用いただいております。

今回は、リンプレスが提供する「DX推進人材育成プログラム」の導入に至った背景や今後の展望について、執行役員 開発本部長の飯銅様、同本部 渡辺様にお話を伺いました。

※2025年4月より新組織名称に変更されていますが、取材時点(2025年3月)の組織名にて掲載しております。

※本件に関するお問い合わせはこちらからお願いします。ゼンリン様へ直接のご連絡やお問合せはご遠慮ください。

デジタル・データの活用により、ビジネスの"変革"を実現


ーまずは御社の事業内容について教えてください。

飯銅様:ゼンリンの歴史としては、1948年に大分県別府市で創業し、翌1949年には別府市の観光案内用の小冊子「年刊別府」を発行したところから始まります。

1952年には第一号の住宅地図「別府市住宅案内図」を発行し、1980年代からは"地図のデジタル化"を他社に先駆けて確立していきました。その後、1990年にはデジタル地図を活用した世界初のGPSカーナビゲーションシステム専用ソフトの開発に成功、2000年からはインターネット地図配信サービスの提供を開始するなど、地図情報を起点とした事業を拡大しております。

また、これまでに収集した住宅・地図情報をもとにデータベースも進化してきました。
最近では、自動車メーカーに向けた自動運転向けデータライセンスの提供や、自治体向けの防災・減災を支援するサービスなどを提供しています。

ー開発本部はどのような役割を担っているのでしょうか。

飯銅様:開発本部はゼンリンのデータベースに関わるすべての開発を担っているセクションです。開発本部の中には、社内の地図整備システム全般の開発や、カーナビゲーションなどお客様の用途に応じた地図へと編集するシステムを開発する部門があります。加えて、企業ごとのニーズや業務用途に合わせ各種サービスを企画する部門で構成されています。

ーDX推進において貴社では現在どのような取り組みを行っていますか。

飯銅様:そもそも地図制作というのはものすごくアナログというか、労働集約型になりがちな業態です。どうしても人手をかけなければならないですし、時間やコストもかかっていました。

現在はデジタルを進化させ、地図整備にかかる時間・工数を削減するとともに、作業内容をリアルタイムで確認できるようなシステムを導入しています。作業にかかる時間や進捗状況といった細かなデータをBIツールで可視化することで、さらなる生産性向上に繋げています。これまで5~6年かけて膨大なデータを蓄積していますので、今後さらにデータ活用の幅を広げていきたいと考えています。

"DX"という言葉は抽象的である上、細かい定義は今もなお、各所で厳密に一致していないですよね。ただ、単に紙を電子化することがDXではないことは確かなので、ビジネスや業務のプロセスを可視化し、あらゆるデータを蓄積・活用して、その先の"変革"に繋げることが重要だと考えています。

株式会社ゼンリン
執行役員 開発本部長 飯銅 英樹 様

研修を通じてアイデア発想の"楽しさ"に気づいてもらえた


ー2021年からはリンプレスの「デザイン思考研修」を活用いただいていますが、本研修の導入に至った背景を教えてください。

飯銅様:従来の教育カリキュラムには一般的な内容が多く、デジタルやITに特化した研修はあまり実施していませんでした。ただ、昨今ではデータやデジタル技術がDXの推進に欠かせないものとなっていますし、デジタルやIT/DXに関連した教育カリキュラムを導入することで、技術者としての総合的な技術力を底上げしたいと考えていました。

以前からリンプレスのプロジェクトリーダー研修「TREND-PL」やIT・システム企画研修「STUD-SA」は活用していましたが、ちょうどその頃に「デザイン思考研修」をご提案いただき、そこで初めて"デザイン思考"というものを知ったんですよね。

この研修の効果がすぐ出るかは別として、社員のモチベーション向上やDXに取り組むきっかけになるのではないかと考え、まずはやってみようということで導入を決めました。当時はコロナ禍で開催が大変でしたが、参加した社員には新たな気づきや刺激を与えられたのではないかと思います。

渡辺様:当社のエンジニアは技術力や開発力は非常に長けていますが、新たなアイデアを主体的に企画・発想していく力というのはあまり強くなかったんですよね。

そこで、このデザイン思考研修を通じてマインドが変わることや、考えることの"楽しさ"に気づいてもらうということを期待して実施を決めました。結果として参加者の評価も高く、実施してよかったと感じています。

ゼンリンのDXを牽引する"伝道師"となることを期待


ーリンプレスの「デザイン思考研修」を選んだ理由や、導入の決め手となったポイントを教えてください。

飯銅様:まず第一に、ご提案を受けるなかで従来の一般的な教育カリキュラムとは違った新たな気づきやきっかけを得ることができる、と感じたことが大きいです。
また、研修講師の方々には当社の要望に応じて、最適な演習テーマを設定していただきましたので、参加者がデザイン思考をより身近なものとして捉えることができたと思います。

※デザイン思考研修テーマ例

渡辺様:2024年のデザイン思考研修テーマの舞台にもなった"旦過市場(北九州市小倉にある市場)"は自分たちにとっても馴染みのある場所だったので、改めて街を見るきっかけにもなりましたし、身近なものだからこそ新たな発見やアイデアの創出につながったと感じています。

また、実際にフィールドワークをすることでユーザー視点に立って観察することや、ペルソナを設定することの重要性に気づいてくれたのではないかと思います。

こういった体験はとても新鮮だったみたいですし、今までとは違った観点で物事を捉えていくことで多様なアイデアが生まれていました。

直近では"博多"を舞台に新たな出店アイデアを考える、というテーマで研修を実施しましたが、この時はアイデアをまとめた付箋の数がものすごく多かったですね。過去2回と比較しても倍以上のアイデアが出てきたと思います。そういったアイデア・価値発見の魅力を体感できたという意味でも有意義な研修でした。

株式会社ゼンリン
開発本部
渡辺 浩一

ー参加者はどのような方々を選抜されたのでしょうか。

渡辺様:初回は若手社員を中心に選抜しました。ただ、この層はなかなか実際の業務で活用する機会が少なかったことから、次の回からは少し年次をあげて副長級(次期課長候補)を選抜して研修を実施しました。

その時の研修冒頭には、我々から参加者に向けて"ぜひ「伝道師」になってほしい"というメッセージを伝えました。

今回の研修を通じてまずは自分たちでデザイン思考というものを理解してもらって、いつか若手がやりたいと言った時に手解きをする役目を担っていただく、そういった意味を込めて集まっていただいたという話をしたんです。その結果、より活発な議論ができましたし、組織全体としてもデザイン思考というものの理解が進んだなという雰囲気を感じています。

この研修を受講した社員も徐々に増えてきたことから、直近では"デザイン思考を学んでみたい"という方を募集する方式にしているんですよね。自ら手を挙げて参加しているので学習意欲がとても高く、活発な議論ができていると感じています。

知識の"インプット"だけでなく、実務での"アウトプット"に繋げていきたい


ーリンプレスの「プロジェクトリーダー研修」や「IT・システム企画研修」を継続的に活用いただいている理由は何でしょうか。

飯銅様:実は私自身も過去にプロジェクトリーダー研修「TREND-PL」やIT・システム企画研修「STUD-SA」に参加したことがあるのですが、他の参加者と一緒にグループワークをする中で新たな気づきや発見がたくさんあったんですよね。それまでは自己流・ゼンリン流で仕事をしていましたが、この研修を通じて他社が普段どのようにプロジェクトを進めているかを知ることができて非常に勉強になりました。

また、一般的な「リーダーシップ研修」などは数多くの企業が提供していますが、ITプロジェクトにおけるプロジェクトリーダー育成に特化した研修というのは少ないと思います。大きくこの2点が他社との違いでもあり、継続的に参加させている理由ですね。

実際に参加した社員からは「自社の中だけでは得られない学びや気づきがあった」という感想も多いですし、研修から帰ってくると目の色や言葉が変わるんですよね。本人の成長のきっかけとなるだけでなく、社員がスキルアップすることで会社としてのメリットも多くあるので、今後も継続的に参加させていこうと考えています。

渡辺様:リンプレスの研修はコロナ禍以降"オンライン形式"でも開催されていますが、当社では「TREND-PL」のようなグループワーク中心の研修は"対面形式"を選んで受講させています。

やはり他社との交流の中で得られる気づきや刺激というのは、圧倒的に"対面形式"の方が大きいと思うんですよね。参加者が研修に集中できるといった点も魅力的なポイントのひとつだと思います。

ーリンプレスの研修はどのような企業におすすめですか。

飯銅様:特定の業界や職種に絞ることはなかなか難しいですね。ただ、強いて挙げるならば、IT部門だけではなく事業部門にも適しているのではないかと思います。リンプレスの研修に限らず、デジタル・ITに関する研修というのは、特に文系出身の方にも有効なのではないかと考えています。

たとえば、文学部出身の方であれば的確な日本語テキストを書けるでしょうから、LLM(Large Language Model:大量のテキストデータをもとに学習したAIモデル)などをうまく活用できると思うんですよね。早いうちからデジタルを"活用"するスキルを身につけさせることで、いずれ一流の技術者になり得るのではないかと考えています。

ー今後の展望やリンプレスに期待することを教えてください。

渡辺様:デザイン思考に関して言えば、今回の研修を通じて基礎知識を身につけてもらうことができました。ただ、このままでは単なる"インプット"だけになってしまうので、次のステップとしては、デザイン思考をもっと業務で活用していく"アウトプット"の機会を増やしていきたいと考えています。

また、当社のなかでもDXやITというものを理解して取り組んでいる社員は限られている状況です。企業としてDXを推進していくためには、全社員のリテラシーを底上げすることが欠かせません。そのためにもまずはデジタル・ITについて"知る"こと、そしてその先にこれらを実務で"活用"すること、この両面に繋がるような教育をご提案いただきたいと思います。

飯銅様:リンプレスには引き続き、時代にマッチした研修を実施していただきたいと思います。今回のデザイン思考研修のように、少し視点の違った研修はすごく良いなと思う一方、昔から実施されている「プロジェクトリーダー研修」や「IT・システム企画研修」に関しても、アジャイル開発などの新たな要素を取り入れながら進化していくことを期待しています。

(取材・文/森田 晋之介)

CONTACT

お客様のDX実現に向けた課題解決をサポートします
お気軽にご相談ください

「デザイン思考研修」の
ご紹介資料はこちら

「プロジェクトリーダー研修」の
ご紹介資料はこちら

「IT・システム企画研修」の
ご紹介資料はこちら

ご不明な点はお気軽にお問い合わせください

お電話でのお問い合わせはこちら

平日 9時〜17時