
デザイン思考をビジネスに取り入れた企業の事例5選を紹介
DXが進む中で、企業にはこれまで以上に「顧客視点で課題を捉え、価値ある解決策を生み出す力」が求められています。その考え方として注目されているのがデザイン思考です。
しかし、概念を知っているだけでは実務に活かすのは難しく、組織として定着させるには工夫が必要です。
本記事では、デザイン思考の基本から企業にもたらす効果、導入・育成のポイントまでを整理し、研修によって実践力を高める方法を解説します。
DX研修を実際に行った企業の事例を知りたい方は「導入事例:第一三共株式会社様」「導入事例:株式会社八十二銀行様」「導入事例:株式会社ワークマン様」こちらのページをご覧ください。
リンプレスでは、DX推進人材を育成する研修プログラムと、DXの内製化をサポートするコンサルティングを提供しています。自社のDX推進にお困りの方はぜひご相談ください。
目次[非表示]
- ・デザイン思考とは?
- ・デザイン思考を導入して成功した企業の事例
- ・Apple|ユーザー中心の製品開発で世界的ブランドに成長
- ・富士通|独自のSNS「やわらかデザイン」
- ・日立製作所|デジタル×デザインで未来を変える
- ・オムロン|センシング技術×デザイン思考で新規事業創出
- ・日清食品ホールディングス|人材育成にデザイン思考を導入
- ・デザイン思考導入による効果
- ・デザイン思考を企業が導入する方法
- ・社内で小規模プロジェクトやPoCから始める
- ・顧客インタビュー・現場観察をプロセスに組み込む
- ・デザイン思考のフレームワークを標準化する
- ・複数部門での共創ワークを取り入れる
- ・外部専門家の伴走支援や研修を活用する
- ・リンプレスの「デザイン思考研修」
- ・デザイン思考を研修で学ぶメリット
- ・デザイン思考研修の導入はリンプレスへ
- ・まとめ
デザイン思考とは?
デザイン思考とは、ユーザーの視点に立って課題を捉え、試行錯誤を重ねながら最適な解決策を導き出す思考法です。
従来の業務改善やシステム開発では、効率や機能を重視するあまり、実際の利用者の体験が後回しになるケースも少なくありません。デザイン思考では「共感」「課題定義」「創造」「検証」を繰り返すことで、ユーザーにとって本当に価値のあるサービスや仕組みを生み出します。
DXが求められる現代において、技術ありきではなくユーザー起点で発想する姿勢は、競争力のあるビジネスを実現する重要な要素となっています。
デザイン思考の基本情報については、以下の記事で詳しく紹介しています。
デザイン思考とは?業務改善に役立つ思考法を組織に定着させる方法を解説
デザイン思考を導入して成功した企業の事例
ここからは、実際にデザイン思考を導入した5つの企業の事例を紹介します。
Apple|ユーザー中心の製品開発で世界的ブランドに成長
富士通|独自のSNS「やわらかデザイン」
日立製作所|デジタル×デザインで未来を変える
オムロン|センシング技術×デザイン思考で新規事業創出
日清食品ホールディングス|人材育成にデザイン思考を導入
Apple|ユーザー中心の製品開発で世界的ブランドに成長
デザイン思考の代表的な成功事例として知られているのが、AppleのiPodです。
iPodは、ユーザーの音楽の聴き方を徹底的に観察することから開発が始まり、「音楽を持ち運ぶ手間をなくしたい」という潜在的なニーズを発見しました。そこから「すべての曲をポケットに入れる」という明確なコンセプトが生まれ、スクロールホイールや自動同期といった直感的な操作性が形にされました。
短期間で数多くの試作と改善を重ね、発売後もユーザー行動を分析し続けた結果、ハード・ソフト・サービスを統合した新しい音楽体験を創出した点が、デザイン思考の本質を示す事例といえます。
富士通|独自のSNS「やわらかデザイン」
デザイン思考を全社変革に活用した事例として、富士通の取り組みが挙げられます。富士通では2020年に全社DXプロジェクトを立ち上げ、デザイン思考を組織文化として根付かせるため、社内SNSを活用した横断型コミュニティ「やわらかデザイン脳になろう」を開始しました。
eラーニングによる学習とオンラインでの対話を組み合わせ、部門や役職を越えた共創の場を形成した結果、3年間で3,000名以上が参加するコミュニティへと成長しています。人を中心に考える姿勢を組織全体で実践し、文化変革につなげた点が、デザイン思考の実践事例として特徴的です。
参考:富士通ラーニングメディア_デザイン思考は、企業文化に何をもたらしたのか? ~3,000名を超える社内コミュニティの変革力~
日立製作所|デジタル×デザインで未来を変える
デザイン思考を長年にわたり実践してきた企業事例として、日立の取り組みが挙げられます。
日立では1950年代から一貫して「人起点」の発想を重視し、ユーザー観察と検証を繰り返すことで価値創出を行ってきました。代表例である冷蔵庫「野菜中心蔵」では、利用者の行動観察から配置を再設計し、健康的な生活という新たな価値を提供しました。また鉄道保守分野では、エスノグラフィにより現場の暗黙知を可視化し、ITで支援するソリューションを創出しています。
こうした日立ならではの知見を体系化した協創方法論を「NEXPERIENCE」と題して提供しています。
参考:日立のデザイン思考
オムロン|センシング技術×デザイン思考で新規事業創出
デザイン思考を軸に組織変革へ取り組んだ事例として、オムロンの実践が挙げられます。
オムロンは創業以来、社会課題の解決を使命として事業を展開してきましたが、今後も継続的に価値を生み出すため、組織全体のイノベーション創造力強化に着手しました。その一環として新規事業創造プロセスを見直し、顧客起点のデザイン思考に基づく「バリューアップ」を推進。NECと協働し、技術起点に偏りがちな思考を転換しながら、オムロンらしい社会志向の強みを再認識しました。技術力とデザイン思考を掛け合わせ、挑戦を続けるための基盤を整えた事例です。
日清食品ホールディングス|人材育成にデザイン思考を導入
デザイン思考とデータ分析を組み合わせたマネジメントの実証事例として、日清食品と慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科による共同研究が挙げられます。
本研究では、在宅勤務が広がる環境下で従業員エンゲージメントを高める要因を分析し、「1on1ミーティング」の有効性を実証しました。アンケートやインタビューに加え、行動データを統合的に分析した結果、エンゲージメントの高い従業員ほど、上司と頻繁かつ心理的に安全な1対1の対話ができていることが判明しました。期待値の共有や賞賛、権限移譲を軸とした1on1の循環が、自主性と成長を促し、組織全体の生産性向上につながることを示した事例です。
参考:日清食品_「従業員のエンゲージメントを高めるマネジメントに関する共同研究」 日清食品と慶應義塾大学大学院が「1on1ミーティング」の有効性を実証
デザイン思考導入による効果
デザイン思考を取り入れることで、企業は製品・サービス開発の質を高めるだけでなく、組織の在り方や意思決定のスピードにも変化をもたらせます。
ここでは、デザイン思考導入によって期待できる代表的な効果を、具体的な観点ごとに紹介します。
顧客視点での製品・サービス開発の実現
デザイン思考を導入する最大の効果は、顧客視点に立った製品・サービス開発が可能になる点です。ユーザーへの共感を出発点とし、課題やニーズを深く理解したうえで検討を進めるため、作り手側の思い込みや内部論理に偏りにくくなります。
その結果、「機能は多いが使われない」「顧客価値につながらない」といったミスマッチを防ぎやすくなり、顧客体験を重視した開発が実現しやすくなります。
新規事業の創出や既存事業の改善
デザイン思考は、新規事業の創出だけでなく、既存事業の改善にも効果を発揮します。固定化した発想や過去の成功体験から一度離れ、課題を再定義することで、これまで見落としていた改善余地や新たな価値に気づきやすくなります。
小さな仮説検証を繰り返すプロセスにより、大きな投資を行う前に方向性を見極められる点も、不確実性の高い時代に適したアプローチといえます。
組織内コミュニケーションの活性化
デザイン思考のプロセスでは、部門や職種を越えたメンバーが協働する場面が多くなります。ワークショップやアイデア創出の場を通じて、普段は接点の少ない社員同士が意見を交わすことで、相互理解が深まりやすくなります。
立場や役職にとらわれず意見を出し合う文化が醸成されるため、組織内コミュニケーションの活性化や、心理的安全性の向上にもつながります。
不確実性の高い環境での意思決定がしやすくなる
市場や顧客ニーズの変化が激しい環境では、最初から正解を見極めることは困難です。
デザイン思考では、仮説を立てて素早く検証し、結果をもとに軌道修正することを前提とします。そのため、完璧な計画を待つのではなく、根拠のある意思決定を段階的に行いやすくなります。不確実性の高い状況下でも前に進める判断力を養える点は、DX推進において大きなメリットといえるでしょう。
DX研修とデザイン思考の親和性の高さについては、以下の記事で詳しく紹介しています。
DX研修に「デザイン思考」を取り入れる企業が急増している理由
デザイン思考を企業が導入する方法
デザイン思考は一部の専門部署だけで取り組むものではなく、進め方を工夫すれば多くの企業で段階的に導入できます。重要なのは、最初から大規模に展開しようとせず、自社の業務や文化に合った形で取り入れることです。
ここでは、企業がデザイン思考を実践に落とし込むための代表的な導入方法を紹介します。
社内で小規模プロジェクトやPoCから始める
デザイン思考を導入する際は、全社展開を目指す前に、小規模なプロジェクトやPoC(概念実証)から始めるのが有効です。限定されたテーマや部署で試行することで、失敗のリスクを抑えつつ、デザイン思考の進め方や効果を実感できます。
成功体験を社内で共有することで、他部門への展開もしやすくなり、無理のない形で定着を図ることが可能です。
顧客インタビュー・現場観察をプロセスに組み込む
デザイン思考の核となるのが、顧客や現場の実態を深く理解するプロセスです。
定量データだけでなく、インタビューや現場観察を通じて、言語化されていない課題やニーズを捉えることが重要になります。これらを業務プロセスに組み込むことで、机上の発想に偏らず、実態に即したアイデア創出が可能となります。
デザイン思考のフレームワークを標準化する
デザイン思考を一過性の取り組みにしないためには、フレームワークとして整理し、社内で共通言語化することが欠かせません。
共感・定義・発想・試作・検証といったプロセスを標準化することで、担当者による進め方のばらつきを防げます。型があることで、初めて取り組む社員でも実践しやすくなり、組織全体への浸透が進みます。
デザイン思考のフレームワークは、以下の記事で詳しく紹介しています。
デザイン思考のフレームワーク5選|実践力が身に付く研修方法とは?
複数部門での共創ワークを取り入れる
デザイン思考は、多様な視点を掛け合わせることで価値を発揮します。そのため、特定部門だけで完結させず、複数部門が参加する共創型のワークを取り入れることが効果的です。
業務や立場の異なるメンバーが意見を出し合うことで、従来の枠にとらわれない発想が生まれやすくなり、組織横断的な連携強化にもつながります。
外部専門家の伴走支援や研修を活用する
社内にデザイン思考の経験者がいない場合、外部専門家の支援や研修を活用するのも有効な手段です。
実践経験を持つ講師やコンサルタントの伴走により、正しいプロセスや思考法を短期間で学べます。自社課題をテーマにした研修であれば、学びをそのまま業務に活かしやすく、導入効果を高めることができます。
デザイン思考を研修で学ぶ方法については以下の記事で詳しく紹介しています。
デザイン思考研修のおすすめプログラムを紹介|効果的な研修の特徴とは?
リンプレスの「デザイン思考研修」
リンプレスが提供する「デザイン思考研修」は、1日完結型のプログラムで、講義とグループワークを通じてデザイン思考の概要を理解し、ビジネスへの活用方法を学ぶことができます。
リンプレスの「デザイン思考研修」の特徴は以下の通りです。
デザイン思考のプロセスを学ぶ
講義とグループワークを組み合わせ、デザイン思考の各プロセスを体感的に学習します。
実例を通じた基礎学習
デザイン思考の手法を用いて革新的なアイデアやサービスを生み出した事例をもとに、アイデア発想法を学びます。
多様な業種の参加者との交流
グループインタビューやディスカッションを通じて、他業種の視点や考え方から新たな刺激を受けることができます。
この研修は、新規事業や新商品・新サービスの開発に携わる方、DX推進に向けて斬新なアイデアや企画を生み出すスキルを求められている方におすすめです。詳細やお申し込みについては、以下のリンクをご参照ください。
デザイン思考を研修で学ぶメリット
デザイン思考は考え方そのものが重要なため、独学や一部メンバーだけの理解では定着しにくい側面があります。
研修という形で体系的に学ぶことで、組織全体に共通認識を持たせ、実践につなげやすくなります。ここでは、デザイン思考を研修で学ぶことで得られる具体的なメリットを整理します。
社員全員の共通言語となる
研修を通じてデザイン思考のプロセスや用語を共有することで、部門や立場を超えた共通言語が生まれます。これにより、「なぜその施策を行うのか」「誰の課題を解決するのか」といった議論が噛み合いやすくなり、認識のズレを防げます。
共通言語があることで、意思決定や合意形成のスピード向上にもつながります。
実践形式で学ぶことで形骸化を防げる
座学中心の研修では、理解したつもりでも実務で使えないケースが少なくありません。
実践形式の研修であれば、ワークやディスカッションを通じて思考プロセスを体験できるため、知識が定着しやすくなります。実際に手を動かしながら学ぶことで、デザイン思考が形だけの手法になるのを防げます。
フレームワークが定着する
デザイン思考には一定のフレームワークがありますが、正しく使いこなすには訓練が必要です。研修では、フレームワークの意図や使いどころを体系的に学べるため、業務で再現しやすくなります。
結果として、属人的な進め方ではなく、組織として再現性のある課題解決プロセスを構築できます。
専門講師の伴走で短期間でスキルが身につく
デザイン思考に精通した講師が伴走することで、思考の偏りや進め方の誤りをその場で修正できます。自己流で進めるよりも理解が深まり、短期間でも実践レベルまで引き上げやすい点がメリットです。
疑問点を即座に解消できる環境は、学習効率の向上にもつながります。
実案件に活かせる具体的なアウトプットが得られる
研修テーマを自社の実案件や課題に設定することで、単なる演習ではなく、実務に直結するアウトプットが得られます。
研修後に「何をすればよいかわからない」という状態になりにくく、学びをそのまま業務改善や新規施策へ展開しやすくなります。
デザイン思考研修の導入はリンプレスへ
デザイン思考を本質的に身につけ、DXや事業変革につなげるためには、自社に合った研修設計が欠かせません。
リンプレスでは、企業ごとの課題や目的に応じて内容をカスタマイズし、実践まで見据えた「デザイン思考研修」を提供しています。デザイン思考を一過性の取り組みで終わらせず、組織の力として定着させたい場合は、外部研修の活用を検討してみてください。
リンプレスの研修を導入した企業の事例
リンプレスの研修を実際に導入いただいた企業「株式会社ゼンリン」の事例をご紹介します。
同社では、これまでに社内で人材育成を行っていましたが、デジタルやITに特化した研修が少ないことに課題を感じていました。デジタル技術の活用やDXの推進のため、リンプレスの「デザイン思考研修」と「プロジェクトリーダー研修」を導入いただきました。
一般的な「リーダーシップ研修」は多くの企業が提供していますが、リンプレスならではの「ITプロジェクトにおけるプロジェクトリーダー育成に特化した研修」という点に魅力を感じていただき、導入となりました。
実際に参加した社員の方からは「自社の中だけでは得られない学びや気づきがあった」という感想もいただいており、研修から帰ってくると目の色や言葉が変わる、というお声もいただいています。
こちらの事例について詳しくは、以下のリンクからご覧いただけます。
株式会社ゼンリン様の事例_ゼンリン独自のデジタル人材育成プログラムで「伝道師」を育成!社員の主体性を高めるための仕組みとは
DX研修を実際に行った企業の事例を知りたい方は「導入事例:第一三共株式会社様」「導入事例:株式会社八十二銀行様」「導入事例:株式会社ワークマン様」こちらのページをご覧ください。
リンプレスでは、DX推進人材を育成する研修プログラムと、DXの内製化をサポートするコンサルティングを提供しています。自社のDX推進にお困りの方はぜひご相談ください。
まとめ
デザイン思考は、ユーザー起点で課題を捉え、新たな価値を創出するための重要なアプローチです。企業活動に取り入れることで、製品・サービス開発だけでなく、組織内のコミュニケーションや意思決定の質向上にもつながります。一方で、考え方を正しく理解し、実務で使える形に落とし込まなければ形骸化してしまうリスクもあります。
研修を通じて共通言語として定着させ、実践形式で学ぶことで、デザイン思考はDX推進を支える強力な武器となります。自社に合った形で導入・育成を進めることが成功のカギといえるでしょう。
<文/文園 香織>










