
中小企業のDXはどう進めるべき?よくある課題と解決策、人材育成のポイントまで解説
デジタル技術を活用して業務やビジネスモデルを変革する「DX(デジタルトランスフォーメーション)」。
近年、大企業だけでなく中小企業でもDXの必要性が高まりつつあります。しかし「何から始めればいいのか分からない」「人材がいない」といった声も多く、実際には推進が難航している企業も少なくありません。
そこで本記事では、中小企業がDXに取り組むべき理由から、よくある課題、具体的な解決策、成功事例、人材育成のポイントまでを網羅的に解説します。自社のDXを一歩前に進めるヒントとして、ぜひ参考にしてください。
DX研修を実際に行った企業の事例を知りたい方は「導入事例:第一三共株式会社様」「導入事例:株式会社八十二銀行様」「導入事例:株式会社ワークマン様」こちらのページをご覧ください。
リンプレスでは、DX推進人材を育成する研修プログラムと、DXの内製化をサポートするコンサルティングを提供しています。自社のDX推進にお困りの方はぜひご相談ください。
中小企業がDXに取り組むべき理由

中小企業が持続的に成長していくためには、デジタル技術を活用した業務改革=DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が不可欠です。
まずは、中小企業がDXに取り組むべき理由を以下の4つのトピックで紹介します。
人材不足や属人化を解消する手段のため
組織としての競争力維持のため
新たな価値を創造するため
BCP対策のため
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
そもそも、DXとは?という疑問をお持ちの方は、以下の記事も併せてご覧ください。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?定義や事例・成功のポイントを紹介
人材不足や属人化を解消する手段のため
中小企業では慢性的な人材不足や、特定の社員にしか業務ができない属人化の問題がよく見られます。これらは業務の非効率化やリスクの増大につながります。
DXを進めることで、業務プロセスの自動化や可視化が可能となり、限られた人員でも効率的に仕事を回せるようになります。また、ノウハウをシステムに落とし込むことで、誰でも一定の品質で業務を遂行できる体制が整います。
組織としての競争力維持のため
急速なデジタル化が進む中、旧来のやり方を続けているだけでは競争から取り残されてしまいます。特に中小企業は市場の変化に柔軟に対応する必要があり、DXはその鍵となります。
たとえば、顧客ニーズを分析して新サービスを開発したり、営業や販売をデジタル化することで顧客接点を強化するなど、DXによって企業の競争力を維持・強化することが可能です。
新たな価値を創造するため
DXは業務効率化だけでなく、既存の事業に新たな付加価値をもたらす力も持っています。
たとえば、IoTやAIを活用した製品の開発、ECサイトやアプリによる新たな販路の構築など、これまでにない価値提供が可能になります。中小企業だからこそ、現場の課題や顧客のニーズに寄り添った革新的なサービスをスピーディに生み出せるのが強みです。
BCP対策のため
自然災害や感染症の流行など、突発的な危機への備え=BCP(事業継続計画)も中小企業にとって重要な課題です。
DXを活用することで、テレワーク体制の整備やクラウドによるデータ管理、オンライン商談の実現など、非常時にも事業を止めずに継続できる仕組みを構築できます。こうした柔軟な対応力は、取引先や顧客からの信頼にもつながります。
中小企業のDX取り組み状況
中小企業庁「2024年版中小企業白書」によると、中小企業のDX取組は進展しているものの、未だに途上段階にあることがわかります。
DXの進度を4段階に分けた際に、段階3(業務効率化・データ分析)を実施している企業は2019年の9.5%から2023年に26.9%と約3倍に増加しました。一方で、段階1〜2(初歩的なデジタルツール活用)にとどまる企業は66.2%を占め、DX先進段階(段階4)に到達している企業は6.9%に過ぎません。
企業規模や業種によって取り組みの差はあるものの、全体としては「始まってはいるが深化はこれから」という状況であると言えます。
中小企業でDXが進まないよくある理由
多くの中小企業がDXの必要性を認識しつつも、具体的な取り組みが進まないケースは少なくありません。その背景には、リソースの制約や知識不足、業務との両立の難しさといった、企業規模特有の課題が存在します。
ここでは、特に中小企業でDX推進を妨げている代表的な要因を4つ取り上げ、それぞれの現状を解説します。
DX人材の獲得が困難
中小企業にとって、DXを担う専門人材の確保は非常に難しい課題です。中小企業は、大手企業の報酬やキャリアパスと比べられてしまう場合が多く、経験豊富なIT人材の採用自体が現実的ではないこともあります。
また、既存の従業員に大して独学でのデジタルスキル向上を求めても、学習の時間や機会が十分に確保できないケースが多く、結果としてDXが停滞してしまう原因になります。
日本国内におけるDX人材不足の現状については、以下の記事で詳しく紹介しています。
DX人材不足の現状と課題|DX成功のための人材育成方法とは?
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累計4,000社以上の支援実績を持つ「リンプレス」によるDX推進人材育成プログラムの詳細は、以下のリンクからご覧いただけます。御社の課題に合わせて、最適なカリキュラムをご提案いたします。
社内にノウハウや推進体制がない
DXを進めるには、単なるツール導入ではなく、経営戦略と一体となった推進体制が必要です。
しかし中小企業では、DXを推進できる責任者や専門部署が存在しないことが多く、社内での役割分担や意思決定が曖昧になりがちです。また、成功事例や知識が蓄積されていないため、試行錯誤が長引き、現場のモチベーションも下がってしまう傾向があります。
既存業務との両立が難しい
人手不足の中で日々の業務に追われる中小企業では、DXのために新たな時間やリソースを捻出するのが困難です。
たとえば、業務改善のための調査やシステム導入の検討を行いたくても、現場は常に手一杯の状態で対応できないのが実情です。その結果、DXの検討や施策が後回しになり、具体的な取り組みまで至らない状況に陥りがちです。
何から手をつけるべきかがわからない
DXは範囲が広く、どこから着手すべきかを判断するのが難しいという声も多く聞かれます。
「自社にとってのDXとは何か」が明確でないままでは、具体的な施策も定まらず、成果も出にくくなります。特にITに不慣れな企業では、ベンダー任せで進めた結果、現場と合わずに定着しないという失敗も少なくありません。
まずは自社のDXの目的を明確にし、段階的に進めることが重要です。
そもそも、DXをどのように始めるべきかお悩みの方は以下の記事もご覧ください。
DXの始め方とは?初心者でも失敗しない進め方と最初にやるべきことを解説
中小企業がDX課題を乗り越えるためのポイント
DX推進には多くの課題が伴いますが、やり方次第で中小企業でも十分に成果を上げることが可能です。DX推進のよくある課題を乗り越えてDXを成功させるためには、以下のポイントを押さえましょう。
小さく始めて段階的に進める
外部パートナーの活用で社内負荷を軽減
社内の意識醸成と経営層の関与
それぞれ、詳しく紹介します。
小さく始めて段階的に進める
DXの成否を分けるポイントの一つが「スモールスタート」です。最初から全社一斉導入を目指すのではなく、まずは一部の部署や業務から始めて、小さな成功体験を積み重ねることで、社内にノウハウと自信を蓄積できます。
たとえば、紙の請求書を電子化するなど、明確な効果が期待できる取り組みから始めることで、次のステップにもつなげやすくなります。
外部パートナーの活用で社内負荷を軽減
中小企業では社内にDXの専門人材がいないケースが多いため、外部の専門家やベンダーをパートナーとして活用することが有効です。
中小企業のDXに精通したコンサルタントや研修サービスの支援を受けることで、最適なツール選定や導入支援、運用定着までスムーズに進められます。また、第三者の視点が入ることで、自社の課題を客観的に見直すきっかけにもなります。
社内の意識醸成と経営層の関与
DXを進めるうえで、社内の意識醸成と経営層の関与は欠かせない要素です。現場の理解や協力が得られなければ、どれほど優れた技術やツールを導入しても定着せず、形骸化してしまいます。
そのためには、まず経営層が「なぜDXが必要なのか」「どのような価値を生むのか」を明確に示し、自ら推進の旗を振ることが重要です。トップの本気度が伝わることで、社員の意識も変わり、全社的な取り組みへとつながっていきます。
中小企業にはDX人材の育成が不可欠
DXを成功に導くには、推進を担う「人材」の存在が欠かせません。特に中小企業では外部採用が難しいため、既存社員の中からDXを理解し行動できる人材を育てることが現実的かつ有効な手段です。
自社の業務や文化に精通した人が、変革を推進する中心となることで、現場への浸透もスムーズになります。継続的な育成を視野に入れた体制づくりが重要です。
DX人材を育成するコツについては、以下の記事でも詳しく紹介しています。
DX人材を育成する5つのステップ|おすすめの研修プログラムと事例も紹介
DX人材に求められるスキル
DX人材には、ITリテラシーやデジタルツールの活用スキルに加え、業務改善に必要な論理的思考力、課題発見力、そして社内外との調整力が求められます。また、最新技術を学び続ける意欲と柔軟性も不可欠です。
DX人材候補は必ずしもエンジニアである必要はなく、自社業務を理解し「デジタルで何を変えられるか」を考え、周囲を巻き込める人が理想的なDX人材です。
DX人材の育成方法
DX人材の育成は一朝一夕にはいきませんが、外部研修やeラーニング、OJTを活用することで段階的にスキルを身につけることが可能です。
また、社内に「挑戦できる環境」を整えることも効果的です。たとえば、業務改善プロジェクトに任命したり、失敗を許容する文化を醸成することで、実践を通じた学びが定着します。継続的に成長を支援する体制づくりが鍵です。
実際にDX人材を育成した企業の事例を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
DX人材を育成した事例8選を紹介|大手企業から学ぶ成功のポイント
リンプレスのDX人材育成
リンプレスでは、中小企業に特化したDX人材育成支援を提供しています。
業界や業務に合わせた実践的な研修カリキュラムを通じて、既存社員がDXを「自分ごと」として考え、現場で活用できる力を身につけることを目指します。また、研修後も伴走型のサポートを行い、DX推進体制の定着までしっかり支援します。外部に頼るだけでなく、「社内で育てる」仕組みづくりをサポートします。
中小企業のDX成功事例
日本国内の中小企業でDXを成功させた事例を、食品・農業・製造業といった様々な業種で多角的に紹介します。
アイビック食品株式会社
もりやま園株式会社
株式会社日東電機製作所
アイビック食品株式会社
アイビック食品株式会社は、北海道札幌の調味料・惣菜メーカーです。
同社は本社内に「GOKAN〜北海道みらいキッチン〜」を設立しました。これは、食のDX拠点として、味覚・視覚・聴覚・触覚・嗅覚を刺激する体験型施設です。
同社はDX推進チームを起用し、顧客企業や地域との協働によって新商品開発や共創イベントを実施しています。デジタルサイネージなどのIT技術を用いて食の未来価値を可視化・体感させることで、北海道ならではの地域ブランド力と市場競争力を高めた事例です。
もりやま園株式会社
青森・弘前のりんご園、もりやま園は「摘果りんご」の廃棄を見直し、ICTで作業とデータを「見える化」する農業DXを成功させました。
同社は、効率が見えにくい農作業を可視化させるアプリ「Ad@m(アダム)」を開発しました。りんごの木に取り付けられたQRコードをアプリで読み込み作業履歴を記録し、クラウドで収量や工程を分析することで、作業データを蓄積できます。
これにより摘果作業の労働生産性を約1.94倍に向上させ、未利用果を使った「テキカカシードル」など新商品開発にもつなげました。
経産省「DXセレクション2022」で審査員特別賞を受賞した、中小企業DXの先進事例です。
株式会社日東電機製作所
群馬・太田市の電力制御装置メーカーは、1990年代から自社開発の経営管理システム「NT‑MOL」で原価・工程・在庫を可視化。2016年には「チームIoT」を立ち上げ、社内エンジニアと現場社員がシステムを共創内製化。ローコードによる申請アプリや業務改善ツール開発も進められ、新卒採用や育成にもつながり、経産省「DXセレクション2022」で準グランプリを獲得しています。
DXの内製化・人材育成には「リンプレス」
DXの推進において、外部のコンサルティングやツール導入だけでなく、企業内での知識・スキルの内製化も非常に重要です。
リンプレスは、これまで4,000社以上のDX推進を支援してきた実績とノウハウに基づき、貴社のDX人材育成をサポートいたします。DX推進に必要な戦略立案から実行、そして評価まで、各フェーズにおける課題を明確化し、解決策を提示することで、DX推進の課題を解決します。
リンプレスのサービスについて、詳しく紹介します。
DX人材育成に強み
リンプレスの特長のひとつが、現場で活躍できるDX人材の育成に強みを持つ点です。座学や一方的な講義ではなく、業務に即した実践型のプログラムを通じて、社員が「自ら考え動ける」DX人材に成長することを支援します。
また、講師が現場課題に精通しているため、受講者の納得感も高く、研修後すぐに実務で役立てられる点も評価されています。
リンプレスのDXコンサルティング
リンプレスのDXコンサルティングは、単なるツール導入や業務改善の提案にとどまりません。DX内製化をゴールとし、現場への落とし込みから定着支援まで、伴走型でサポートします。
また、研修とコンサルを組み合わせることで、現場主導の自走型組織への転換も実現できます。「DXを一過性の取り組みで終わらせず、継続させるための土台づくりをしたい」とお考えなら、ぜひリンプレスにご相談ください。
DX研修を実際に行った企業の事例を知りたい方は「導入事例:第一三共株式会社様」「導入事例:株式会社八十二銀行様」「導入事例:株式会社ワークマン様」こちらのページをご覧ください。
リンプレスでは、DX推進人材を育成する研修プログラムと、DXの内製化をサポートするコンサルティングを提供しています。自社のDX推進にお困りの方はぜひご相談ください。
まとめ
中小企業がDXを進めるには、明確な目的意識と、段階的に取り組む姿勢、そして現場に合った人材と体制づくりが重要です。課題は多くても、正しいステップを踏めば確実に成果を出せます。リンプレスでは、DX人材の育成から戦略策定、実行支援まで一貫して対応し、中小企業の変革を力強く後押しします。自社に合ったDXを進めたい方は、ぜひリンプレスにご相談ください。
<文/文園 香織>











