
IT人材とは?定義・種類・スキル・育成方法を徹底解説
近年、企業のデジタル化が加速する中で、IT人材の重要性がますます高まっています。
IT技術を活用し、ビジネスの課題を解決する人材は、従来型IT人材、高度IT人材、先端IT人材に分類され、それぞれ異なる役割を担っています。しかし、IT人材不足は年々深刻化しており、企業のDX推進や競争力強化には、適切な人材の確保と育成が不可欠です。
本記事では、IT人材の定義や種類、求められるスキル、そして育成方法について詳しく解説します。
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IT人材の定義とは?
IT人材とは、情報技術(IT)を活用してビジネスや社会の課題を解決する人材のことを指します。近年、IT技術の進化に伴い、その役割やスキルも多様化しています。IT人材は大きく3つのタイプに分類されます。
①従来型IT人材
システム運用や保守、プログラミングを中心とした業務を担う人材
②高度IT人材
クラウドやAI、ビッグデータなどの専門技術を駆使し、戦略的なIT活用を推進する人材
③先端IT人材
最新のテクノロジーを駆使して新たな価値を創造し、ビジネス変革をリードする人材
これらのIT人材は、企業の成長や競争力の強化に欠かせない存在となっています。
DX人材(デジタル人材)との違い
IT人材とDX人材(デジタル人材)は、共にITスキルを持つものの、役割や求められる能力に違いがあります。
IT人材は、システムの開発・運用・保守といった技術的な業務が主軸となります。一方、DX人材は、IT技術を活用して企業のデジタル変革を推進し、新たなビジネスモデルの創出や業務プロセスの最適化に貢献します。
DX人材には、単なる技術スキルだけでなく、経営戦略やビジネス理解、組織変革に対する洞察力も求められます。そのため、IT人材が技術者としての役割を担うのに対し、DX人材は経営視点を持ち、企業のデジタル戦略を推進する役割を担います。
DX人材とはどのような人材なのか、詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
IT人材不足の現状
近年、企業のデジタル化が急速に進む一方で、IT人材の不足が深刻な課題となっています。経済産業省の調査によると、2030年までに日本のIT人材は約79万人不足すると予測されています。
この不足の背景には、技術の高度化やデジタル化の加速に伴い、企業が求めるスキルと市場に存在する人材のスキルギャップが広がっていることが挙げられます。特に、AI、クラウド、データ分析などの先端技術を担う高度IT人材の需要が急増している一方で、従来型のIT人材のスキルアップが追いついていない状況です。さらに、IT人材の流動性が高まっており、優秀な人材の確保が企業にとって一層の課題となっています。このため、企業は採用だけでなく、既存社員のスキル向上や社内教育の強化を進める必要があります。
参考:経済産業省/みずほ情報総研株式会社「IT人材需給に関する調査 調査報告書」
IT人材の種類と求められるスキル
IT人材は、業務内容や役割によってさまざまな種類に分類されます。現代のビジネス環境において、企業が求めるIT人材は、技術スキルだけでなく、コミュニケーション能力やプロジェクト管理スキルなど、多様なスキルセットを持つことが求められています。以下に、代表的なIT人材の種類と、それぞれに求められるスキルを紹介します。
システムエンジニア(SE)
システムエンジニアは、システムの設計・開発・運用を担う職種です。
クライアントの要件をヒアリングし、最適なシステムの提案を行う役割を持ちます。求められるスキルには、要件定義や設計能力、プログラミングスキル、プロジェクト管理能力、問題解決力などが挙げられます。また、クライアントとの円滑なコミュニケーション能力も重要です。
プログラマー(PG)
プログラマーは、システムエンジニアが設計した仕様に基づいて、プログラムの実装を行う役割を担います。
主に、コーディングやテスト、バグ修正などを担当し、高品質なシステムを構築することが求められます。必要なスキルには、プログラミング言語(Java、Python、C++など)の習得、アルゴリズムの理解、デバッグ能力、最新技術のキャッチアップ力が含まれます。
プロジェクトマネージャー(PM)
プロジェクトマネージャーは、ITプロジェクトの全体管理を行い、スケジュールや予算、人員の調整を担当します。成功に導くためのリーダーシップが求められ、クライアントやチームメンバーとの連携も重要です。
必要なスキルとして、プロジェクト管理手法(PMBOKなど)の理解、リスク管理、交渉力、ビジネス戦略の理解が挙げられます。
IT人材に限らず、DX推進におけるプロジェクトマネジメントの役割が知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
DXプロジェクトのリーダーが意識すべきプロジェクトマネジメントの領域とは
データサイエンティスト
データサイエンティストは、ビッグデータを分析し、企業の意思決定を支援する役割を担います。統計学や機械学習の知識を活用し、データから価値あるインサイトを導き出すことが求められます。必要なスキルには、PythonやRなどのプログラミングスキル、統計・確率論の知識、データビジュアライゼーション、ビジネス課題の理解が含まれます。
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ネットワークエンジニア
ネットワークエンジニアは、企業のネットワーク環境を構築・運用・保守する専門職です。LANやWAN、クラウドネットワークの設計・運用を行い、通信の安定性とセキュリティを確保します。求められるスキルには、ネットワーク機器(Cisco、Juniperなど)の知識、プロトコル(TCP/IP)の理解、トラブルシューティング能力、セキュリティ対策の知識が挙げられます。
セキュリティエンジニア
セキュリティエンジニアは、システムやネットワークのセキュリティを強化し、不正アクセスやサイバー攻撃から企業の情報資産を守る役割を担います。セキュリティポリシーの策定やリスク分析を行い、適切な対策を講じることが求められます。必要なスキルには、情報セキュリティの基礎知識、脆弱性診断、各種セキュリティツールの使用経験、コンプライアンスの理解が含まれます。
その他のIT人材
上記以外にも、
- UX/UIデザイナー
- クラウドエンジニア
- DevOpsエンジニア
- AIエンジニア
など、さまざまなIT人材が存在します。企業のニーズに応じて、専門性の高いスキルを持つ人材が求められています。特に近年では、クラウドやAIの進化に伴い、それらの技術に精通したエンジニアの需要が急増しています。柔軟な対応力と継続的な学習が、IT人材としてのキャリアアップに不可欠です。
IT人材の育成には、プロによる研修サービスの導入がおすすめです。
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DXを推進するIT人材に求められるスキル
自社のDXを率先して牽引できるIT人材を育成するには、技術力だけでなく、業務の課題を解決する能力やチームとの連携力など、幅広いスキルを身につけさせる必要があります。企業がIT人材に期待するのは、技術を駆使してビジネスの成長に貢献することです。そのため、技術的なスキルに加え、問題解決能力やコミュニケーション能力、さらにはビジネスの視点を持つことが重要です。
ここでは、DXを推進するIT人材に必要とされる主要なスキルについて詳しく解説します。
技術力
IT人材にとって最も基本的なスキルは技術力です。
プログラミング言語の習得、システム設計、データベース管理、ネットワーク構築など、専門分野に応じた高度な知識とスキルが求められます。また、クラウドコンピューティング、AI、ブロックチェーンなどの新しい技術にも対応できる柔軟性が必要です。IT人材としての技術力の高さは、業務の効率化や新たなビジネスモデルの創出に大きく貢献します。
問題解決能力
ITシステムの開発や運用では、さまざまな課題やトラブルが発生するため、IT人材に問題解決能力が不可欠です。
単に技術を知っているだけではなく、課題の本質を見極め、最適な解決策を導き出す論理的思考力や分析力が求められます。特に、障害発生時には迅速に原因を特定し、適切な対応を行うことが必要です。また、業務フローの改善やコスト削減といったビジネス視点からの課題解決力も重要視されています。
コミュニケーション能力
IT人材は、チームでの業務が多い職種です。そのため、単に技術的な知識を持つだけでなく、円滑にコミュニケーションを図る能力が求められます。
具体的には、開発チームや他部署と連携して要件を明確にする力、クライアントの要望を的確に把握し、適切な提案を行うスキルが重要です。また、プロジェクトの進捗報告や問題発生時の説明能力も、信頼関係の構築に欠かせません。
ビジネススキル
IT人材は、単に技術を提供するだけでなく、ビジネスの成長に貢献する能力も必要です。そのため、一定のビジネススキルが求められます。
IT人材を育成するには、市場や顧客ニーズを理解し、どのようにITを活用すれば競争力を高められるのかを考える力を身につけましょう。特に、プロジェクトのコスト管理や収益性の分析、デジタル戦略の立案など、経営視点を持つことが重要です。IT技術を経営戦略に組み込むための洞察力が、企業にとって価値のあるIT人材へと成長させます。
自己学習力
IT業界は日進月歩で進化しており、最新の技術やトレンドを常にキャッチアップするための自己学習力が求められます。
新しいプログラミング言語やフレームワーク、セキュリティ対策など、技術の進化に対応できるよう、自発的に学ぶ姿勢が重要です。オンライン学習プラットフォームの活用や、勉強会への参加、資格取得などを通じて、スキルアップを図ることが求められます。変化の激しいIT業界で生き残るためには、継続的な学習を怠らないことが必要です。
なぜ企業にはIT人材が必要なのか?
現代のビジネス環境において、IT人材の存在は企業の成長や生存に不可欠です。テクノロジーの進化が加速し、デジタル化が進む中、IT人材は企業の競争力を高める重要な役割を担っています。従来の業務効率化だけでなく、デジタル戦略の立案や新規事業の創出、顧客体験の向上など、幅広い領域での活躍が求められています。
ここでは、企業がIT人材を必要とする理由として、「DX推進の必要性」と「企業の競争力強化」の2つの観点から解説します。
DX推進の必要性
DX(デジタルトランスフォーメーション)は、企業がデジタル技術を活用してビジネスモデルや業務プロセスを根本的に変革する取り組みです。市場環境の変化に迅速に対応し、持続的な成長を実現するためには、DXの推進が不可欠です。
しかし、DXを成功させるためには、クラウドやAI、ビッグデータなどの最新技術を理解し、適切に導入・運用できるIT人材が必要です。特に、DX戦略を立案し、部門横断的にデジタル化を進めるスキルを持つ人材が求められています。IT人材の不足や育成が遅れると、企業のDX推進が停滞し、競争力を失うリスクが高まります。
企業の競争力強化
IT技術の活用は、企業の競争力を強化する上で重要な要素です。
データ分析の活用による市場ニーズの把握、AIによる業務の自動化、クラウドを利用した柔軟な事業展開など、ITの活用はビジネスの差別化に直結します。競合他社との差別化を図るためには、ITを駆使した効率的な業務運営や、新たな価値提供が不可欠です。例えば、ECサイトの導入による新たな販売チャネルの確立や、サプライチェーンの最適化により、コスト削減と顧客満足度の向上を両立できます。そのため、IT人材は企業の成長戦略の実行において、欠かせない存在となっています。
IT人材育成の方法
企業が成長し続けるためには、IT人材の育成が欠かせません。技術の進化が早いIT業界では、従業員が常に最新のスキルを習得し、業務に活かせるような環境を整えることが求められます。
企業が取り組むべきIT人材育成の方法として、「社内研修」「OJT(On-the-Job Training)」「外部研修・セミナー」の3つが挙げられます。
社内研修
社内研修は、企業が独自に実施する育成プログラムで、業務に直結したスキルや社内システムの理解を深めることができます。自社のビジネスに特化した内容を学べるため、実務に活かしやすいのが特徴です。定期的な研修やEラーニングの活用により、従業員のスキルアップをサポートできます。ただし、最新技術のキャッチアップには限界があるため、外部研修との併用が推奨されます。
OJT(On-the-Job Training)
OJTは、実際の業務を通じてスキルを習得する方法で、特に新入社員や若手の育成に有効です。実務の中で先輩社員からの指導を受けながら学ぶことで、即戦力としての成長が期待できます。業務フローの理解や問題解決力の向上につながりますが、指導体制の整備や個々の成長度合いに応じたサポートが重要です。
外部研修・セミナー
外部研修やセミナーは、最新技術や業界の動向を学ぶために効果的な手段です。専門機関やオンライン講座を活用することで、AIやクラウドなどの先端分野について専門知識を得ることができます。他社との交流や視野の拡大にもつながりますが、費用対効果を考慮し、学んだ知識を実務に活かす工夫が必要です。
IT人材の育成に強い「リンプレス」
IT関連の技術だけではなく、ビジネススキルや企画力も持つIT人材を育成するなら、リンプレスの研修の導入がおすすめです。
リンプレスでは、IT基礎トレーニングから、IT企画力を身につける上流工程まで、幅広い研修プログラムを提供しています。また、研修プログラムだけではなくDXの内製化を支援するコンサルティングサービスも行っているため、IT人材不足によるDX課題をまとめて解決いたします。
リンプレスの研修でIT人材を育成した事例
ここからは、リンプレスの研修を実際に導入してIT人材を育成した事例を紹介します。
株式会社ティーガイア
携帯電話販売台数で国内シェアNo.1の実績を誇る株式会社ティーガイアでは、DX推進の一環としてデータ利活用に注力していました。しかし実際には実績データの「集計」に留まっており、肝心な「分析」ができていないという課題が浮上してしまいます。
システムやツールの選定よりも先に人材育成に注力すべきと考え、リンプレスの「データサイエンス基礎研修」を導入いただきました。
リンプレスならではのカスタマイズ性の高さによって、社員が実際に抱えている課題を例題にして研修を実施でき、実務でのアウトプットに繋がるような実践的な学びを得られたと高く評価していただけました。
こちらの事例について詳しくは、以下のリンクからご覧いただけます。
株式会社ティーガイア様の事例 データドリブンな組織・環境づくりを目指し、ティーガイアが取り組む「データ利活用人材」の育成戦略
株式会社キタムラ
社内の開発部門のITスキルを標準化させるため「顧客分析研修」「プロジェクトリーダー実践研修」「IT・システム企画実践研修」を導入し、カスタマイズ性が高い研修内容によって実践力が身についたと高く評価いただきました。
こちらの事例について詳しくは、以下のリンクからご覧いただけます。
株式会社キタムラ様の事例 実践型研修を通じて「カメラのキタムラ」のDX推進人材育成を支援
まとめ
IT人材とは、情報技術を活用し、企業の成長や課題解決に貢献する人材を指します。従来型IT人材、高度IT人材、先端IT人材に分類され、それぞれ異なる役割を担います。DX人材との違いは、ITの技術面に特化するか、ビジネス変革を推進するかにあります。
現在、多くの企業でIT人材不足が深刻化しており、DX推進や競争力強化のために、適切な人材確保が重要です。求められるスキルには、技術力だけでなく、問題解決能力やコミュニケーション力、自己学習力などがあります。
人材育成には、社内研修、OJT、外部研修・セミナーなどが有効で、これらを組み合わせて成長を支援することが求められます。
DXを見据えたIT人材の育成を実施するなら、ぜひリンプレスにご相談ください。
<文/文園 香織>