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DXプロジェクトにおけるリスクマネジメントの重要性

こんにちは。リンプレスの川上です。
プロジェクト活動を行ううえでプロジェクトマネジメントが必要であることはご存じだと思いますが、「リスクマネジメント」は実施されていますか。

今回はプロジェクトマネジメントで重要な、それでいて忘れがちな「リスクマネジメント」に関してご紹介していきます。

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リスクマネジメントとは

リスクマネジメントとは、プロジェクトの進行に影響を与える不確実要因を事前に把握し、発生を防止したり影響を最小限に抑えたりする取り組みのことです。

何故、DX推進においてリスクマネジメントが必要なのでしょうか。「転ばぬ先の杖」や「備えあれば憂いなし」と言えばイメージしやすいでしょう。

我々が向き合っているプロジェクトにはトラブルがつきものです。「品質が悪い」「予算オーバー(費用超過)」「納期遅延」などよくお聞きします。理由はどうあれプロジェクト成功とはいえない状況に陥る可能性が高いのがプロジェクトなのだと感じます。

このようなトラブルになることを未然に防ぐ手立てをマネジメントすることが「リスクマネジメント」ということです。

DXにおけるリスクマネジメントの重要性

DXにおけるリスクマネジメントの重要性をさらに掘り下げてみましょう。なぜ重要なのかという問いに対しては、以下のような理由が挙げられます。

  • 年々増加するリスクへの対応
  • デバイス保有率の増加
  • 円滑な業務遂行

一つずつ、解説していきます。

年々増加するリスクへの対応

社会情勢の変化やサイバー攻撃の高度化、クラウドサービスの利用拡大などにより、企業を取り巻くリスクは年々複雑化しています。

特にDXでは、業務データの統合や外部サービス連携が一般的になり、情報漏洩・サービス停止・システム障害といったリスクが従来より高まりやすい状況です。

こうした環境では、従来の「起きてから対応する」方式では対応しきれません。事前にリスクを分類・評価し、優先度をつけて対策を講じる仕組みこそが、DXを安定的に進めるための土台になります。

デバイス保有率の増加

テレワークの普及やモバイルワークの拡大により、社員一人ひとりが利用するデバイスの種類や数が増えています。

PC・スマートフォン・タブレットなど多様なデバイスが業務で利用されるため、端末紛失・不正アクセス・アップデート遅延などのリスクが増加します。DX化が進むほど、業務がデジタルデバイスに依存する割合が高くなるため、端末管理やセキュリティポリシーの徹底が不可欠です。デバイス環境を安全に保つことは、DX基盤の信頼性を支える重要な要素です。

円滑な業務遂行

DXプロジェクトでは、システム変更や業務プロセスの刷新が頻繁に発生します。リスクマネジメントを行うことで、想定外の障害やトラブルによる業務停滞を防ぎ、現場の生産性を保つことができます。

また、リスクを複数の観点から整理し、適切な対策を準備しておくことで、メンバーが安心して変革に取り組める環境をつくれます。円滑な業務遂行はDXの効果を最大化するために欠かせず、そのためにも継続的なリスク管理の仕組みが必要です。

リスクマネジメントをトラブルの例で紹介

リスクマネジメントで回避すべき、トラブルの例を2つ挙げてみましょう。

例1.「設計工程は問題なく終えることができたが、製造工程で思うような生産性が出ない。結果としてスケジュールを圧迫し納期遅延。想定外の期間を要したことで予算オーバー」

例2.「設計工程、製造工程はなんとかスケジュール通りに推進できたが、結合テスト工程で初歩的な不具合が頻発し、品質を確保するための不具合修正で期間と費用がオーバーしてしまった。」

何故このようなことが起きたのでしょうか。以下から、それぞれの原因を紹介していきます。

例1の原因を分析

例1に関して考察してみましょう。考えられる理由はいくつかあります。

  • 製造担当のスキル不足
  • 使用した開発技術(開発言語など)が未経験
  • 実現する機能の難易度が高かった

このように、様々な要因が負の連鎖となり、予算オーバーというトラブルにつながったと考えられます。

例2の原因を分析

続いて、例2はどうでしょう。こちらは例1とは異なり、開発フェーズまではスムーズでしたが検証フェーズで不具合が発生してしまっています。

  • 単体テストが不十分だった
  • プログラムレビューを実施していない
  • 設計書の表記に曖昧な表現があった
  • ユーザレビューが不十分だった

といった要因が考えられます。

このような事象はよく耳にします。プロジェクトのおかれている状況により理由は様々ですが、このような事象は防ぐことができないのでしょうか。そんなことはありません。

将来発生するであろう悪い事象をリスクと捉え、そのリスクに対して事前に手を打つことで回避できる可能性が高くなり、結果としてリスク発生を抑えることができます。

ただし、過ぎたことを振り返り原因を探るのは比較的容易ですが、まだ発生していない事象(リスク)に取り組むのは難しいです。

では、どのようにしてリスクマネジメントを行うとよいのでしょうか。

リスクマネジメントの実施手順

PMBOKガイド第6版では、リスクマネジメントの領域で以下の7つのプロセスが定義されています。

  1. リスクマネジメントの計画
  2. リスクの特定
  3. リスクの定性的分析
  4. リスクの定量的分析
  5. リスク対応の計画
  6. リスク対応策の実施
  7. リスクの監視

今回は、こちらの7つのプロセスを5つの手順にまとめてリスクマネジメントの実施方法を詳しく紹介します。

PMBOKについてもっと詳しく知りたい方は、こちらのブログも合わせてお読みください。
PMBOKとは?プロジェクト管理の基礎を学ぼう

リスクマネジメントの計画

「リスクマネジメントの計画」では、具体的なリスクマネジメントの手法や役割・責任、タイミングなどを計画書として作成します。

リスクマネジメントのタイミングについては、プロジェクト進行中も定期的に実施することが重要です。

リスクはプロジェクト状況や社会情勢などにより刻々と変化するものです。プロジェクト開始時のみ実施するだけでは不十分です。

リスクの特定

「リスクの特定」では、プロジェクトのおかれている状況を認識し、懸念と考えられる事柄を洗い出し、懸念事項が現実になった場合の影響などを加味してリスク項目を導出します。

リスク項目を特定する際には、ご自身もしくはプロジェクトメンバの経験則をもとにしたり、リスクチェックリストなどを用いるのも効果的です。

導出したリスク項目は「リスク管理表」に記載していきます。

リスク項目の例
人材不足のため開発時の追加要員の手配が困難
→人が見つからず、計画より少ない人員で開発を行う→納期遅延、メンバ疲弊
→十分なスキルを持ったメンバを投入できない→生産性低下、品質悪化

リスクの分析

「リスクの分析」では、導出したリスク項目が顕在化した場合の「影響度」(インパクト)と顕在化するであろう「確度」(発生する確率)をもとに「重要度」(リスクポイント)を導き出します。

下図では、影響度および確度をそれぞれ「高中低」の3段階で評価し、交わる箇所の数値を重要度(リスクポイント)とします。

※分析手法は一例です。評価軸や表中の数値は各プロジェクトで見直してください。

リスク対応の計画

「リスク対応の計画」では、重要度(リスクポイント)をもとに対応策を検討していきます。

対応策は以下の通り、大きく5つに分類されます。

このうち、プロジェクト活動中の対応策は「リスク予防策」「リスク軽減策」「リスク監視策(監視のみ)」を選択するケースが多くみられます。

選択した対応策はリスク管理表に記載しますが、その際、いつ・誰が・何を実施するか具体的に検討することが重要です。

リスク対応策の例
人材不足のため、開発時の追加要員の手配が困難
→社内人員を投入できるように調整し、事前教育により必要スキルを習得させる
→早い段階でビジネスパートナーに相談し、予定時期に参画を依頼
→未取引のビジネスパートナーを開拓し、提案を依頼する

下図は一例です。リスクポイントによる方針は、各プロジェクトで見直してください。

リスク対応策の実施、リスクの監視

「リスク対応策の実施」「リスクの監視」では、リスク管理表やリスク対応方針(図2)をもとに対応策の実施と監視を行います。

プロジェクト活動中は定期的にリスクの監視を行い、状況に応じてリスク対応策を実施します。

DX時代のリスクマネジメントを成功させるポイント

DX推進では、技術だけでなく組織・人材・業務プロセスの変革が同時進行するため、リスクマネジメントの重要性が格段に高まります。成功の鍵は、単なる“トラブル対処”ではなく、組織として継続的にリスクを見える化し、予防・抑制・最適化のサイクルを回し続ける仕組みをつくることです。

ここでは、DX時代に求められるリスクマネジメントの3つのポイントを紹介します。

組織全体で取り組む

リスクマネジメントはIT部門だけの役割ではなく、経営層から現場まで組織全体で取り組む必要があります。

DXでは業務プロセスや役割が大きく変わるため、どの部門にもリスクが存在します。現場の小さな気づき、管理部門の目線、経営の視点が連動することでリスクを早期に発見でき、的確な対策につながります。組織全体で共通認識を持つことで、トラブル発生時の対応スピードも向上します。

リスクマネジメントの体制を構築する

DXでは、新しいシステム導入や業務変更が連続し、リスクも常に変化します。そのため、スポット的な対策ではなく、継続的に運用できる体制づくりが不可欠です。

リスクの洗い出し、評価、対策、モニタリングのサイクルを仕組みとして定着させ、役割分担や判断基準を明確化することで、組織全体が一貫した基準でリスク管理を行えるようになります。体制構築は、DXを長期的に成功へ導くための基盤と言えるでしょう。

プロによるコンサル・研修を導入する

DXのリスクマネジメントは専門性が高く、社内だけで体系的な仕組みを整えるのが難しい場合も少なくありません。第三者のプロによるコンサルティングや研修を活用することで、最新の知見や実務的なノウハウを取り入れられ、組織の成熟度に合わせた実践的な体制づくりが可能になります。

特にリスク管理の経験が不足している企業では、外部支援を取り入れることで早期に効果を出しやすく、DXの推進力を強化できます。

リスク管理に役立つテンプレート

リスクマネジメントは課題管理と同様に期日管理が必要です。

リンプレスでは、プロジェクトの管理資料としてリスク管理表のテンプレートをご用意しています。ぜひご参考になさってください。

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プロジェクトマネジメント研修には「リンプレス」

リンプレスでは、リスクマネジメントをはじめとしたプロジェクトマネジメントの基礎が学べる1Day型研修を開催しています。

プロジェクトリーダー基礎研修「PL教室」

■ここがポイント

プロジェクトマネジメントの基礎と、プロジェクトリーダーに必要な推進能力を学習

  • プロジェクト管理技法(PMBOK)と、プロジェクトリーダーに必要なリーダーシップやコミュニケーションなどプロジェクト推進に必要な能力を学ぶ

体験型ワークショップ

  • 高参画度のチームの生産性やリーダシップ診断ツールの活用

まとめ

リスクが顕在化しない、もしくはそもそもリスクがないのであれば、リスクマネジメントは不要ともいえます。

しかし、私自身そのようなプロジェクトに出会ったことはありません。すべてのプロジェクトには何かしらのリスクがあります。

リスクは発生するとプロジェクト成功を阻害する要因となり、場合によっては企業への大きなダメージになることもあります。

リスクが発生しなければそれでよし、リスクを未然に防げればなおよし、という考えを持ってリスクマネジメントを実施して頂きたいと考えます。

自社のリスクマネジメント力を強化したいとお考えなら、ぜひリンプレスにご相談ください。

ご相談・お問い合わせ

導入事例(プロジェクトリーダー研修)

川上 淳一
川上 淳一
株式会社リンプレス イノベーション事業部 エグゼクティブパフォーマー 主に金融業や製造業、製薬業、通販業、通信業など汎用機・C/S・Webのシステム構築に幅広く携わってきた。 多くのプロジェクトでプロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャを経験し、2019年から現職に至る。 現在は要求分析・IT企画研修やプロジェクトリーダー研修を担当。

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