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DX認定制度とは?認定企業になるメリットと申請方法をわかりやすく解説

DXに本気で取り組む企業が増えるなか、注目を集めているのが「DX認定制度」です。

DX認定制度とは経済産業省が企業のDX推進状況を評価・認定する制度で、認定を受けることで信頼性の向上や支援措置の対象となるなど、さまざまなメリットがあります。しかし、制度の仕組みや申請の流れが分からず、活用しきれていない企業も少なくありません。

本記事では、DX認定制度の目的や認定を受けるメリット、申請のステップや必要書類についてわかりやすく解説します。

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DX認定制度とは?

DX認定制度とは、企業がデジタル技術を活用して持続的な成長を目指す取り組みを、経済産業省が公式に評価・認定する制度です。

「デジタルガバナンス・コード2.0」に基づき、国が定めた「DX推進のための基本的な指針」に沿って経営ビジョンや体制、IT戦略を整えている企業を「DX認定事業者」として認定します。

認定を受けることで、社内外にDX推進の姿勢を明確に示せるほか、採用活動や資金調達の面でもプラスの影響が期待できます。自社のDXを本格化させたい企業にとって、有効な第一歩となる制度です。

参考:経済産業省 DX認定制度(情報処理の促進に関する法律第三十一条に基づく認定制度)

制度の目的と背景

DX認定制度は、日本企業のデジタル化を国家レベルで後押しするために設けられました。
少子高齢化や市場の急激な変化に対応するには、単なるIT導入ではなく、経営やビジネスモデルそのものの変革が求められます。そうした背景のもと、経済産業省は自律的かつ戦略的にDXに取り組む企業を可視化し、認定する制度を開始しました。この制度を通じて、DXに対する企業の本気度を社会に示し、信頼性を高めることが主な目的とされています。

認定の基準となる「デジタルガバナンス・コード2.0」については以下の記事で詳しく紹介しています。
デジタルガバナンス・コードとは|概要をわかりやすく解説

約70%の認定事業者が「DX推進に効果があった」と回答

DX認定を受けた企業の多くが、実際にその効果を実感しています。経済産業省の調査によると、認定取得企業の約7割が「DX推進においてポジティブな効果があった」と回答しています。

具体的には、経営層の意識変革、社内でのDX意識の統一、外部からの信頼獲得など、認定が社内外に与える影響は大きいとされています。また、制度をきっかけに計画的なDX戦略の策定が進み、社内の体制整備や人材育成にもつながったという声も多く、認定の取得がDXを推進させる原動力となっていることがわかります。

参考:経済産業省 DX認定事業者アンケート結果

DX認定企業になるメリット

DX認定を受けることで、単なる制度上のステータスにとどまらず、企業活動にさまざまなプラス効果が生まれます。

DX認定企業になるメリットとして、以下の3つが挙げられます。

  • 社会的な信用力が向上する
  • 認定企業だけが受けられる支援措置がある
  • 人材獲得の際にDX企業としてアピールできる

この成熟度は、「現在地の把握」と、「次の目標レベルに向けた具体的なアクションを導く」ための道しるべとして機能します。

社会的な信用力が向上する

経済産業省による認定は、第三者機関による公式な評価であるため、企業の信頼性を高めるうえで大きな武器になります。

顧客や取引先に対して「DXに真剣に取り組んでいる企業」であることを示せるため、商談や連携の際にも優位に働くケースがあります。また、株主や金融機関、行政からの評価にも好影響を与えるため、中長期的な経営基盤の強化にもつながります。特に、新規取引やパートナーシップを広げたい企業にとっては、大きな後押しとなるでしょう。

認定企業だけが受けられる支援措置がある

DX認定企業は、国が用意するさまざまな支援措置の対象となります。これらは認定を受けた企業だけが活用できる特典であり、DXの具体的な施策実行に向けた環境整備を後押しします。

単なる名目上の認定ではなく、実務的なメリットを享受できるのがDX認定制度の大きな魅力です。

・DX認定制度|5つの支援措置

DX認定を取得した企業が受けられる、5つの支援措置は以下の通りです。

  1. DX認定制度の公式ロゴマークを使用できる
    DX認定を受けていることを公的にPRできます。
  2. 中小企業を対象に金融支援措置が受けられる
    日本政策金融公庫による金利優遇や、中小企業信用保険法の特例などの対象となります。
  3. 人材育成のための訓練に対する支援が受けられる
    高度デジタル人材訓練の対象事業主としての要件を満たし、人材開発支援助成金などの助成を受けられます。
  4. DX銘柄及びDXセレクションへの応募が可能になる
    上場企業は、DX認定を取得することでDX銘柄の選定対象として認められます。
  5. ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の加点対象となる
    ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金を申請する際、加点対象となります。

人材獲得の際にDX企業としてアピールできる

DX人材の確保が難しくなる中、「DX認定企業」であることは、求職者に対する明確なアピールポイントとなります。

特にIT人材や次世代リーダー層は、企業のビジョンや変革姿勢に敏感であり、制度認定を通じて「デジタルに積極的な企業」と印象づけることができます。また、採用活動だけでなく、既存社員のモチベーション向上や定着にも好影響を与える可能性があり、人材戦略の観点からも大きな効果が期待できます。

DX認定制度はどんな企業が申請できる?

DX認定制度は、業種や規模に関わらず、「DX推進のための基本的な指針」に沿って取り組んでいるすべての企業が対象となります。

大企業はもちろん、中小企業やスタートアップ企業、個人事業者であっても申請が可能です。

認定のポイントとなるのは、経営ビジョンにDXが位置づけられているか、体制やIT資産の見直しが行われているかといった点です。たとえDXがまだ初期段階でも、将来の計画を具体的に示せていれば認定されるケースもあります。重要なのは「本気でDXに取り組んでいるかどうか」であり、事業の成長意欲が問われる制度と言えるでしょう。

DX認定制度に申請をするために必要なアクション

DX認定を受けるには、単に「取り組んでいる」と主張するだけでは不十分です。経済産業省が定める要件に沿って、経営戦略や体制を明文化・整備し、実行可能な計画として示す必要があります。特に「デジタルガバナンス・コード2.0」に対応した情報開示が求められるため、以下から紹介するアクションを確実に押さえておきましょう。

「デジタルガバナンス・コード2.0」を確認する

まず確認すべきなのが、「デジタルガバナンス・コード2.0」の内容です。これは経済産業省が定めた、企業がDXを推進する際の基本的な考え方や情報開示の基準をまとめた指針です。

DX認定を受けるには、このコードに準拠した開示が前提条件とされており、経営ビジョン・戦略・体制・指標・ガバナンスなど、複数の項目に沿って内容を整える必要があります。まずは自社の取り組みがどこまで対応できているかを確認することが第一歩です。

経済産業省 デジタルガバナンス・コード2.0

自社の経営ビジョンを策定する

DX認定の前提として、経営トップによる明確なビジョンの策定が求められます。単なる業務効率化ではなく、デジタルを活用して自社がどのように変革していくのか、将来的にどんな企業を目指すのかを示す必要があります。

このビジョンは、社内外に向けた情報開示の中心にもなるため、抽象的でなく具体性が求められます。また、経営層がコミットしていることを明文化し、企業全体の取り組みとして展開することが重要です。

自社のDX戦略を策定する

経営ビジョンに基づき、具体的なDX戦略を策定する必要があります。どの領域でどのような課題を解決するのか、そのためにどんな技術や人材を活用するのかといった中長期的なロードマップが求められます。また、実行可能性を高めるためには、施策の優先順位やフェーズごとのゴールも明確にしておくと良いでしょう。

ここでの戦略は、単なるIT導入計画ではなく、ビジネスモデル変革や競争力向上を視野に入れた内容が望まれます。

DX戦略については、以下の記事で詳しく紹介しています。
DX戦略とは?策定する方法や実行の手順・事例を紹介

DX戦略が達成できているかどうかの指標を決める

DX戦略の進捗を客観的に評価するためには、KPI(重要業績評価指標)や達成基準を設定する必要があります。

たとえば「業務プロセスの自動化率」「新サービスの売上構成比」など、具体的な数値目標を設けることで、社内外への説明責任を果たすことができます。また、定期的に進捗をモニタリングし、必要に応じて軌道修正できる体制づくりも重要です。
これにより、単なる計画倒れを防ぎ、実効性のあるDX推進が実現します。

DXの指標については、以下の記事で詳しく紹介しています。
DX推進指標とは?経産省のガイドラインをわかりやすく解説

社内のサイバーセキュリティを強化する

DXが進めば進むほど、サイバー攻撃や情報漏えいといったリスクも高まります。DX認定の要件には、こうしたリスクへの備えとしてサイバーセキュリティ体制の構築も含まれています。

具体的には、セキュリティポリシーの整備、従業員への教育、外部パートナーとのセキュリティレベルの統一などが求められます。単なる技術的対策だけでなく、組織としての運用ルールやガバナンス体制を整えることが、認定取得のポイントとなります。

DX認定制度の申請方法と手順

DX認定制度の申請は、企業が自らのDX推進状況を整理し、定められた基準に沿って情報開示するプロセスです。申請自体はオンラインで完結しますが、必要な書類や内容の精度が求められるため、準備は計画的に進めることが重要です。

以下では、申請までの基本的な流れを3つのステップに分けて紹介します。

①申請のガイダンスを確認する

まず最初に、IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)の公式ページに掲載されている申請ガイダンスを確認しましょう。

IPA|DX認定制度申請のガイダンス

ここでは、認定の趣旨や対象企業、申請に必要な書類、審査のポイントなどが詳しく説明されています。申請にあたっては「デジタルガバナンス・コード2.0」への対応状況を自己評価し、開示項目ごとに内容を準備する必要があります。ガイダンスは制度全体の理解と申請書類作成の土台となるため、必ず目を通しておきましょう。

②必要書類をダウンロードし記入する

ガイダンスを確認したら、次に申請に必要な書類をダウンロードして記入します。主な書類には「認定申請書」があり、企業のビジョンやDX戦略、組織体制、サイバーセキュリティなどに関する設問への回答が求められます。必要に応じて補足資料も提出可能です。

回答に不備があると申請が通らないこともあるため、内容の確認・精査は丁寧に行いましょう。

③オンラインで申請書類を提出する

書類の記入が完了したら、経済産業省が指定する申請受付サイトを通じてオンラインで提出します。

アップロード後は、事務局による書類審査を経て、必要に応じて修正依頼や追加資料の提出を求められることもあります。認定結果の通知には一定の期間がかかるため、余裕を持ったスケジュールでの準備・申請が望まれます。

DX認定制度に関するよくある質問

DX認定制度に関心はあるものの、「申請のタイミングは?」「認定までにどのくらい時間がかかるの?」「費用は発生する?」といった疑問を持つ企業も多いはずです。ここでは、制度に関するよくある質問とその回答を紹介します。申請を検討している企業の方は、ぜひ参考にしてください。

申請期間はいつから?

DX認定制度の申請は通年で受け付けています。
年度ごとの申請締切や回数制限といった制約はなく、準備が整い次第いつでも申請が可能です。ただし、認定までには一定の審査期間がかかるため、年度内に認定を受けたい場合は、余裕を持ったスケジュールで準備するのが望ましいでしょう。

また、IT補助金など他の制度と連動して利用を考えている場合は、それぞれの締切も併せて確認しておくと安心です。

認定まではどれくらいかかる?

申請から認定までには、おおよそ3ヶ月程度の期間がかかります。
提出された書類をもとに経済産業省および事務局が審査を行い、必要に応じて修正依頼や追加資料の提出が求められることもあります。そのため、申請の質や内容の正確性も大きく影響します。企業側での準備期間も含めると、全体では4〜6ヶ月程度かかると見込んでおきましょう。

計画的に準備を進めることが、スムーズな認定取得への近道となります。

DX認定制度に申請するのには費用がかかる?

申請自体に費用はかかりません。
DX認定制度は、あくまで自己申告と情報開示に基づく認定制度であり、提出書類の作成や申請手続きは無料です。ただし、DXの推進にあたっては、クラウドサービスの導入や人材育成、ITインフラ整備などでコストが発生する可能性があります。

また、専門家にコンサルティングや書類作成の支援を依頼する場合には、その分の費用がかかることもあります。申請費用は無料でも、DXの実行には一定の投資を見込んでおくとよいでしょう。

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まとめ

DX認定制度は、企業のDXへの取り組みを社内外に示す有効な手段です。経済産業省の定める指針に沿って、経営ビジョンや戦略を明文化し、体制を整えることで、認定を受けることができます。認定により、社会的信用の向上や支援制度の活用、人材獲得など多くのメリットが得られます。とはいえ、申請には一定の準備や知識が求められるため、専門的なサポートを活用するのも一つの手です。

自社のDXを本格的に進めたいとお考えの方は、ぜひリンプレスの支援をご活用ください。

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<文/文園 香織>

株式会社リンプレス
株式会社リンプレス
2017年に株式会社リンクレアのコンサルティング事業、教育事業を分社化して誕生。企業向けDX人材育成研修やITコンサルティング、内製化支援などを手掛ける。DX推進に必要なIT・システム企画力、プロジェクトマネジメント・リーダーシップ、デザイン思考、データ分析など、様々なラインナップを提供する。講義だけではなく、ワークショップやハンズオン演習を取り入れた実践型研修に強みを持つ。これまでの累計支援企業数は4,000社以上、累計受講者数は15,000名以上に及ぶ。

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