
プロジェクトマネジメントスキルとは?3種類に分けてわかりやすく解説
プロジェクトの成功には、計画の質だけでなく、プロジェクトマネージャー自身が持つスキルが大きく影響します。しかし「プロジェクトマネジメントスキル」と一言でいっても、その内容は非常に多岐にわたり、体系的に理解するのが難しいと感じる方も少なくありません。
本記事では、プロジェクトマネジメントスキルを「ソフトスキル」「ハードスキル」「テクニカルスキル」の3つに分類し、それぞれの具体的な内容や業務での活用場面を詳しく解説します。あわせて、社内でスキルを育成する方法や、導入によるメリットも紹介。プロジェクトを円滑に進めたい方、人材育成を検討している企業担当者に役立つ情報をお届けします。
DX研修を実際に行った企業の事例を知りたい方は「導入事例:第一三共株式会社様」「導入事例:株式会社八十二銀行様」「導入事例:株式会社ワークマン様」こちらのページをご覧ください。
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プロジェクトマネジメントスキルを3つの領域で紹介
プロジェクトを円滑に進行させ、目的を達成するためには、多岐にわたるスキルが必要です。中でも、プロジェクトマネジメントにおいて重要とされるスキルは、大きく「ソフトスキル」「ハードスキル」「テクニカルスキル」の3つに分類されます。
スキルの領域 | スキルを構成する要素 |
①ソフトスキル | リーダーシップ |
コミュニケーション能力 | |
マネジメント能力 | |
交渉力 | |
②ハードスキル | 予算管理能力 |
計画・企画力 | |
リスク管理能力 | |
マネジメントの経験 | |
③テクニカルスキル | IT技術力 |
アイデア力・企画力 | |
業界の知見 |
これらはPMBOK(プロジェクトマネジメント知識体系)でも重視される要素であり、どれか一つに偏るのではなく、バランスよく習得・強化していくことが重要です。
PMBOKの全容については、以下の記事で詳しく紹介しています。
PMBOKとは?プロジェクト管理の基礎を学ぼう
プロジェクトマネジメントスキルを構成する3つのスキル領域について、以下から詳しく紹介します。
①ソフトスキル
ソフトスキルは、プロジェクトマネージャーとしての人間力や対人関係能力を指し、プロジェクトを円滑に推進するための土台となるスキル群です。
マネジメント人材には、メンバーやステークホルダーとの信頼関係を築き、チーム全体を同じ目標に向かって導く役割が求められます。特にプロジェクトが複雑化・多様化する現代では、スケジュールやリソースの管理以上に、対話や意思決定、状況に応じた柔軟な対応力が重要です。以下では、代表的なソフトスキルを4つに分けて解説します。
リーダシップ
プロジェクトマネージャーにとってリーダーシップは欠かせない要素です。メンバーにビジョンや目標を共有し、自発的に動ける環境をつくることで、プロジェクト全体の推進力を高めます。
現代社会におけるリーダーシップは、単なる指示・命令をする力ではなく、信頼と尊重をベースにした関係構築ができることを指します。また、困難な状況でも冷静に判断を下し、チームを前向きに導ける力が真のリーダーシップといえるでしょう。
リーダーシップについては、以下の記事で詳しく紹介しています。
リーダーシップとは?現代社会で求められるリーダーの要素を具体例とともに解説
コミュニケーション能力
情報の伝達ミスや誤解は、プロジェクトの遅延やトラブルの原因になります。
プロジェクトマネジメントスキルにおいてコミュニケーション能力は、メンバーや上司、顧客との間で必要な情報を正確かつタイムリーに共有するうえで不可欠です。また、聞き手としてのスキルも重要で、相手の意図や背景を理解する力が、信頼関係の構築や問題解決に直結します。文章力・対話力・観察力を組み合わせた多面的な能力が求められます。
マネジメント能力
マネジメント能力とは、チームやプロジェクト全体の動きを俯瞰し、適切に計画・調整・実行するためのスキルです。進捗やリソース、品質、コストなど複数の要素をバランスよく管理し、目標達成に向けて導く役割を担います。状況に応じて優先順位を切り替える判断力や、突発的な課題に対応する柔軟性も含まれます。
現場に寄り添いつつ全体を統括するバランス感覚が重要です。
交渉力
プロジェクトにはさまざまな関係者が関わるため、意見や利害の対立が発生する場面も珍しくありません。交渉力は、こうした場面で双方にとって納得感のある合意を導き出す力を指します。
単に自分の要求を通すだけでなく、相手の立場を理解し、共通の目的に基づいて調整を図る姿勢が重要です。信頼関係を壊さずに利害を調整する能力は、長期的なプロジェクト成功にもつながります。
②ハードスキル
ハードスキルは、プロジェクト運営に必要な知識や実務スキルを指します。
主に数値管理や論理的思考、計画立案など、再現性のあるスキルで構成され、プロジェクトの「仕組み」を回すうえで欠かせません。成果物の品質や納期、コストといった明確な指標を達成するには、こうした技術的な能力を高いレベルで備えていることが求められます。
以下では、プロジェクトマネージャーに特に重要な4つのハードスキルを紹介します。
予算管理能力
プロジェクトでは、限られたリソースの中で成果を出すことが求められます。予算管理能力は、そのための基本的かつ重要なスキルです。
見積もり段階でのコスト算出から、実行中の支出管理、最終的な精算まで、全体の資金繰りを適切にコントロールする必要があります。予期せぬ出費やコスト超過を未然に防ぐためにも、数字に強く、根拠のある判断ができることが求められます。
計画力
計画力は、プロジェクトの成否を左右する中核スキルの一つです。目的達成までの道筋を論理的に描き、スケジュールやマイルストーン、人員配置、作業分担などを明確に設計することが求められます。
計画段階で想定されるリスクや依存関係を洗い出し、現実的かつ柔軟性のあるスケジュールを立てることが重要です。また、変更が生じた際には即座に見直し対応ができる柔軟な計画力も必要となります。
リスク管理能力
プロジェクトには常に不確実性が伴います。技術的な障害、人員の変更、外部要因による影響など、さまざまなリスクを事前に想定し、影響度と発生確率を評価して備えるのがリスク管理能力です。
リスクを完全に排除するのではなく、発生時の影響を最小限に抑えるための準備と対応策を整えておくことが重要です。冷静な状況判断と迅速な意思決定ができる力が、トラブル発生時の被害を大きく左右します。
マネジメントの経験
実際にプロジェクトをマネジメントした経験は、理論では補いきれない実践的なスキルを育みます。
例えば、計画通りにいかない場面での判断や、ステークホルダーとの調整、チーム内のトラブル対応など、経験を通じて培われる対応力や優先順位のつけ方は非常に重要です。大小問わず、複数のプロジェクトを率いた経験があるマネージャーほど、柔軟性と判断力を兼ね備えている傾向があります。
③テクニカルスキル
テクニカルスキルは、プロジェクトマネージャー自身が専門分野に関する技術的な知識や能力をどれだけ備えているかを示すスキル群です。ハードスキルの一部として捉えられることもありますが、ここでは実務ベースでのスキルとして「テクニカルスキル」を分類しています。
システム開発の現場において、マネージャークラスが現場の専門性を正しく理解し、チームと共通言語でやり取りできるテクニカルスキルを持っていることは大きな強みです。
プロジェクトマネジメントスキルの一部として求められるテクニカルスキルの例を、以下から紹介します。
IT技術力
ITプロジェクトにおいて、プロジェクトマネージャーが一定のIT知識を持っていることは大きな武器になります。システム開発なら、プログラミング言語やインフラ構成、セキュリティの基本を理解していれば、現場エンジニアとスムーズに連携が取れ、現実的なスケジュールやコストの見積もりにも役立ちます。
自ら手を動かす必要はなくとも、技術的な会話に参加できる程度の知識は必須です。
アイデア力・企画力
新しい価値を創出するためには、決められた手順を管理するだけでなく、プロジェクトマネージャー自ら企画を立てたり、改善案を発想したりする力も必要です。
特に不確実性の高いプロジェクトや、顧客の要望が曖昧なケースでは、企画力やアイデア力がプロジェクトの方向性を左右します。課題の本質を捉え、クリエイティブな解決策を導き出せる力は、プロジェクトの付加価値を高める重要なスキルです。
企画力が身に付く研修なら、リンプレスにお任せください。累計4,000社以上の支援実績を持つリンプレスは、御社の課題に合わせて、プロジェクトリーダー育成に最適なカリキュラムをご提案いたします。
業界の知見
業界特有の商習慣や法規制、顧客ニーズを理解しているかどうかは、プロジェクトの精度や成果に直結します。たとえば建設業では工程ごとの許認可、医療分野では個人情報の取り扱いなど、業界ごとに求められる知識があります。業界の動向やトレンドを把握していれば、提案内容に説得力が増し、信頼性のある意思決定が可能になります。
プロジェクトマネージャーには、業界に対する視座の高さが求められます。
プロジェクトマネジメントスキルを習得させる方法
プロジェクトマネジメントスキルは、一朝一夕で身につくものではなく、計画的な育成が必要です。理論と実践のバランスを取りながら、組織として体系的に支援することで、将来のプロジェクトリーダーを育てることが可能になります。
以下では、現場で実践されている代表的な3つの育成方法についてご紹介します。
OJT
OJT(On the Job Training)は、現場の業務を通じて実践的にスキルを習得させる方法です。
育成対象を実際のプロジェクトにアサインし、先輩マネージャーの指導を受けながら業務を経験させることで、計画立案や調整、課題対応などの感覚を養うことができます。
ただし、属人的になりやすいため、OJTの目的や範囲、指導体制を明確にすることが重要です。段階的に責任範囲を広げていく育成計画に最適な方法と言えるでしょう。
資格取得の奨励
PMBOKに基づいた「PMP(Project Management Professional)」や、IPAの「プロジェクトマネージャ試験」などの資格は、プロジェクトマネジメントスキルの体系的な習得に役立ちます。
社内で資格取得を奨励し、受験費用や学習支援制度を設けることで、学習意欲を高めるとともに、マネジメントに対する共通言語が形成されます。知識の定着だけでなく、組織全体のスキル水準向上にもつながります。
外部研修サービスの活用
プロジェクトマネジメントに特化した外部研修サービスを活用することで、短期間で効率的にスキルを習得できます。仮想プロジェクトを用いたワークショップ形式の研修では、ケーススタディやロールプレイングを通じて、計画立案・交渉・リスク対応などの実践力を高めることが可能です。階層別や業界別にカスタマイズされたプログラムを選ぶことで、自社の課題に即した学びを提供できます。
プロジェクトマネジメントスキルを習得させるべきメリット
プロジェクトマネジメントスキルは、マネージャー層だけでなく、メンバー全体にとっても価値のある能力です。外部研修サービスなどを活用して、プロジェクトマネジメントスキルが組織に浸透すると、チームの動きがスムーズになり、業務全体の効率と成果が向上します。ここでは、代表的な2つのメリットを紹介します。
メンバー間のコミュニケーションが円滑になる
プロジェクトマネジメントスキルを持つ人材が増えることで、メンバー同士の情報共有や意思疎通がスムーズになります。
スケジュール管理や進捗報告の重要性を理解しているため、必要な報連相が自然と活発になり、誤解や手戻りを防ぐことができます。また、目標や優先順位に対する共通認識が生まれることで、無駄な作業や衝突も減少し、チーム全体の生産性が高まります。
仕事を効率化させ利益向上につながる
プロジェクトマネジメントスキルを習得した人材は、業務の見える化や優先順位の最適化を行えるため、時間やリソースの無駄を減らすことが可能です。
結果として、業務のスピードアップや品質の向上が実現し、間接的に利益率の向上にもつながります。また、リスクや課題に対する対応力が高まることで、トラブルによる損失も抑えられ、経営的な安定性にも貢献します。
プロジェクトマネジメントスキルの習得・向上には「リンプレス」
リンプレスでは、企業の現場課題に即したプロジェクトマネジメント研修を多数ご用意しています。PMBOKやPMPに準拠した理論的な内容に加え、ケーススタディやグループワークを取り入れた実践的な研修で、現場で即使えるスキルを養成します。
新人マネージャーから幹部候補まで、階層別に対応できるプログラムが整備されており、企業ごとの課題やお悩みに合わせたカスタマイズも可能です。プロジェクトの成果を安定して出せる人材を育てたい企業様は、ぜひリンプレスの研修サービスをご活用ください。
リンプレスの研修を導入した企業の事例
株式会社ゼンリンでは、これまでに社内で人材育成を行っていましたが、デジタルやITに特化した研修が少ないことに課題を感じていました。デジタル技術の活用やDXの推進のため、リンプレスの「デザイン思考研修」と「プロジェクトリーダー研修」を導入いただきました。
一般的な「リーダーシップ研修」は多くの企業が提供していますが、リンプレスならではの「ITプロジェクトにおけるプロジェクトリーダー育成に特化した研修」という点に魅力を感じていただいております。
実際に参加した社員の方からは「自社の中だけでは得られない学びや気づきがあった」という感想もいただいており、研修から帰ってくると目の色や言葉が変わる、というお声もいただいています。
こちらの事例について詳しくは、以下のリンクからご覧いただけます。
株式会社ゼンリン様の事例|ゼンリン独自のデジタル人材育成プログラムで「伝道師」を育成!社員の主体性を高めるための仕組みとは
DX研修を実際に行った企業の事例を知りたい方は「導入事例:第一三共株式会社様」「導入事例:株式会社八十二銀行様」「導入事例:株式会社ワークマン様」こちらのページをご覧ください。
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まとめ
プロジェクトマネジメントスキルは、業務の効率化や組織全体のパフォーマンス向上に直結する重要な能力です。ソフトスキル・ハードスキル・テクニカルスキルといった多面的なスキルをバランスよく習得することで、変化の激しいビジネス環境にも対応できる人材へと成長できます。自社内での育成だけでなく、専門機関の力も活用しながら、継続的にスキル向上を図ることが、これからの組織づくりに欠かせません。
リーダー人材の育成にお悩みの方は、ぜひリンプレスにご相談ください。
<文/文園 香織>