
リーダーシップとは?現代社会で求められるリーダーの要素を具体例とともに解説
変化の激しい現代社会では、肩書きに関係なく「リーダーシップ」が求められる場面が増えています。しかし、リーダーシップとは具体的にどのような力なのか、どうすれば育てられるのかと悩む人も多いのではないでしょうか。
本記事では、リーダーシップの定義から歴史的変遷、6つのリーダーシップスタイル、近年注目される「シェアド・リーダーシップ」までをわかりやすく解説。さらに、リーダーシップに必要なスキルや社員のリーダーシップを育てる方法、実践的な研修の選び方についてもご紹介します。部下育成や組織力向上を目指す方に役立つ情報が満載です。
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リーダーシップとは

リーダーシップとは、組織やチームの目標達成に向けて、人を導き、行動を促す力のことです。
単に上司や管理職であることを指すのではなく、周囲に影響を与え、自発的な行動を引き出す力が本質です。現代では、指示命令型のリーダーシップだけでなく、共感・傾聴・支援を通じてメンバーを巻き込む「支援型リーダーシップ」が重視されつつあります。環境変化が激しい今、柔軟に対応しながらチームの力を最大限に引き出せるリーダーが求められています。
「リーダーシップがある人」の具体例
例として、会議中に意見が出づらい場面で「まずは自由に話してみよう」と場を和ませ、自らも率先して発言しながら周囲を巻き込む人は、まさにリーダーシップを発揮している状態です。また、プロジェクトでトラブルが起きた際に、誰の責任かを問う前に状況整理を行い、チームの動揺を抑えつつ解決策を提示できる人も同様です。
リーダーシップとは肩書きではなく、行動で示されるものと言えるでしょう。
リーダーシップ|変化の歴史
リーダーシップの定義や求められる姿は、時代とともに変化してきました。かつては「生まれながらの資質」に注目が集まりましたが、現代では環境やメンバーとの関係性に応じた柔軟なリーダーシップが求められています。以下では、これまでのリーダーシップ研究の代表的な理論を3つに分けて紹介し、変遷の背景をたどります。
特性理論
20世紀以前は、「リーダーとしての資質は生まれ持った能力や性格に由来する」と考える「特性理論」が一般的なリーダーシップの定義でした。
特性理論は、「カリスマ性」「決断力」「自信」「知性」など、特定の人物に共通する資質を分析し、優れたリーダーの条件を明らかにしようとする考え方です。ただし、誰にでも当てはまる「決定的な特性」が存在しないことが後に判明し、現在ではこの理論だけでは不十分とされています。
行動理論
1940~60年代頃になると、「リーダーに必要なのは資質ではなく行動である」とする考え方「行動理論」が提唱されます。リーダーの言動や振る舞いを観察し、成果を上げる人に共通する行動パターンを分類・分析します。代表的な分類として、「仕事志向(タスク重視)」と「人間関係志向(メンバー重視)」の2軸があります。
行動は後天的に学べるとされるため、リーダーシップの育成が可能である点もこの理論の大きな特徴です。行動理論は、現在もリーダーシップ論の一つとして活用されています。
状況適合理論
最も現代的な「状況適合理論」は、「リーダーシップの効果は状況によって異なる」という考え方に基づいています。つまり、同じ行動でも、環境やチームの成熟度によって有効かどうかが変わるということです。
代表的なモデルに、ハーシィとブランチャードの「SL理論(Situational Leadership)」があり、指示型・説得型・参加型・委任型といったスタイルを使い分ける重要性が示されています。柔軟性のあるリーダーシップが重視される背景には、この理論の影響が大きくあります。
6つのリーダーシップスタイル
リーダーシップには正解があるわけではなく、リーダーの個性や組織の文化、チームの状態に応じて求められるスタイルが異なります。ここでは、代表的な6つのリーダーシップスタイルを紹介します。
ビジョンリーダーシップ
- コーチングリーダーシップ
- 調整リーダーシップ
- 仲良しリーダーシップ
- 実力リーダーシップ
- 指示命令リーダーシップ
それぞれの特徴を理解し、状況に応じて使い分けることで、より効果的なチームマネジメントが可能になります。
1.ビジョンリーダーシップ
ビジョンリーダーシップは、将来の方向性や理想の姿を明確に示し、チームを牽引するスタイルです。目先の課題よりも長期的な目標に重きを置き、メンバーに「なぜこの仕事をするのか」という意義を共有することに長けています。変革期やスタートアップの立ち上げ期など、方向性が重要となる局面で特に有効なスタイルです。
抽象的な考えを具体的な行動に落とし込む力が求められます。
2.コーチングリーダーシップ
コーチングリーダーシップは、メンバー一人ひとりの成長や目標達成を支援するスタイルです。
指示よりも対話を重視し、相手の考えや意思を尊重しながら、自発的な行動を引き出します。短期的な成果よりも、個々の能力開発を重視するため、育成目的のマネジメントに適しています。メンバーとの信頼関係を築きながら、伴走する姿勢が求められます。
3.調整リーダーシップ
調整リーダーシップは、チーム内外の利害や意見の違いを調整しながら、全体をまとめていくスタイルです。目立つ発言やリーダーシップの誇示ではなく、調整力やバランス感覚を武器に、合意形成を導きます。多様な意見を尊重しながら、目標に向けて全員が納得できる道筋を描くのが特徴です。社内の部門連携や多職種チームをまとめる場面に適しています。
4.仲良しリーダーシップ
仲良しリーダーシップは、メンバーとの関係性を重視し、和やかな雰囲気や安心できる職場づくりに注力するスタイルです。
上下関係よりも対等なコミュニケーションを好み、親しみやすい存在としてチームの心理的安全性を高めます。ただし、優しさが行き過ぎると、緊張感の欠如や成果への意識低下を招くリスクもあるため、状況に応じてリーダーとしての軸を持つことが大切です。
5.実力リーダーシップ
実力リーダーシップは、自身の専門知識や実績を通じてチームを牽引するスタイルです。
説得力のある判断や的確なアドバイスにより、メンバーからの信頼を獲得します。特にスキル面で部下をサポートできる点が強みで、技術職や専門職のリーダーに多く見られるタイプです。ただし、トップダウンになりすぎないように注意し、メンバーの自律も尊重することが求められます。
6.指示命令リーダーシップ
指示命令リーダーシップは、明確な命令やルールに基づいてメンバーを動かすスタイルです。
短期的な成果や効率を重視する局面、たとえば納期が厳しいプロジェクトや緊急対応などで高い効果を発揮します。一方で、メンバーの自発性が育ちにくくなることもあるため、常にこのスタイルに頼るのではなく、必要な場面で使い分ける意識が重要です。
近年注目される「シェアド・リーダーシップ」とは
シェアド・リーダーシップ(Shared Leadership)とは、特定の個人だけがリーダーになるのではなく、チーム内の複数人が役割ごとにリーダーシップを発揮するという考え方です。上司が指示を出し、部下が従うという従来の構造とは異なり、状況や専門性に応じて、最適な人が主導権を持つことでチーム全体の力を引き出すことができます。
変化の激しい現代においては、一人のリーダーに依存せず、多様なリーダーシップが循環する組織が成果を上げやすくなっています。
理想のリーダー像は「引っ張る人」から「育てる人」へ
従来のリーダー像は、強い意志とカリスマ性でチームを「引っ張る」存在でした。しかし現代では、メンバーの力を引き出し、主体性を促す「育てる」リーダーが求められています。
自分がすべてを決めるのではなく、メンバーの成長に目を向け、必要なタイミングで支援・任せる姿勢が重視されます。このようなリーダーは、チームに持続可能な自律性と協働性をもたらし、組織力の底上げにもつながります。
リーダーシップのある人が持っているスキル
リーダーシップとは単なる立場や肩書きではなく、周囲を巻き込み、チームとして成果を出すために必要なスキルの集合体です。信頼を得ながら目標達成に導くには、対人関係能力だけでなく、思考力・行動力・内面の安定性など、多面的なスキルが求められます。ここでは、リーダーシップのある人に共通して見られる6つの代表的なスキルを紹介します。
共有力
リーダーは、チームの目標やビジョン、課題の状況を明確に共有し、メンバー全員が同じ方向を向くよう導く力が求められます。
情報の透明性を高めることで、無駄な誤解や不安を防ぎ、個々の役割意識や行動の一貫性も高まります。共有力は、単に情報を伝えるだけでなく、「なぜそれが重要なのか」を伝えられる力も含まれます。
提案力
課題に気づき、より良い方向へ導くには、現状を分析し、自分の考えを適切なタイミングで提案できる力が不可欠です。
リーダーシップを発揮する人は、単に問題を指摘するだけでなく、代替案や改善策を示すことで周囲を動かします。提案力は、実現可能性を踏まえた現実的な視点と、相手に響く伝え方の両方が求められるスキルです。
コミュニケーション能力
リーダーには、チーム内外との信頼関係を築くためのコミュニケーション能力が欠かせません。一方的な発信だけでなく、傾聴・共感・フィードバックといった双方向のやり取りができることが重要です。言葉だけでなく、表情や態度などの非言語コミュニケーションも含めて、状況に応じた柔軟な対応ができることが、強いリーダーシップにつながります。
企画力
リーダーは、現状を維持するだけでなく、新しい価値や流れを生み出す力も必要です。企画力とは、ニーズや課題を把握し、それに対して具体的なプランを立てて実行可能な形に落とし込む能力です。特に変化の多い現代では、課題解決型だけでなく、機会創出型の発想ができるリーダーが重宝されます。想像力と実現力の両立がポイントです。
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行動力
どれだけ良いアイデアを持っていても、行動に移さなければ成果にはつながりません。リーダーシップを発揮する人は、スピード感を持って動き出し、自ら率先して手本を示すことができます。また、失敗を恐れず挑戦する姿勢が、チームにも良い影響を与えます。考える力と同様に「動く力」も、リーダーには不可欠なスキルの一つです。
精神的な安定
リーダーの言動や態度は、チーム全体の雰囲気やモチベーションに大きな影響を与えます。
プレッシャーやトラブルが発生した際にも冷静に判断し、周囲を安心させられる精神的な安定は、信頼されるリーダーの重要な資質です。自己管理能力やストレス耐性を高めることで、より安定したリーダーシップを発揮できます。
社員のリーダーシップを高める方法
リーダーシップは、役職者だけに必要なものではなく、組織全体の生産性や創造性を高めるために、すべての社員に求められる資質です。先天的な才能だけでなく、環境や経験を通じて育まれる力でもあるため、組織として意図的に育成の場を設けることが重要です。
ここでは、日常業務の中で実践できる具体的なアプローチを4つご紹介します。
意思決定の機会を増やす
自ら考え、決断する経験を積むことは、リーダーシップの土台を育てるうえで非常に効果的です。
日々の業務の中で、タスクの優先順位を任せたり、簡単なプロジェクトの進行役を任せたりするだけでも、意思決定の訓練になります。失敗を恐れず判断できる環境を整えることで、社員は自信と責任感を身につけ、自立したリーダーとしての行動が取れるようになります。
話す力だけではなく聞く力も身につける
リーダーシップというと発信力ばかりが注目されがちですが、実は「聞く力」のほうが重要になる場面も多くあります。相手の話にじっくり耳を傾け、意図や背景を汲み取ることで、信頼関係が築かれ、効果的な指導や支援が可能になります。傾聴を通じて共感力や調整力も高まり、リーダーとしての人間的な厚みを育むことにつながります。
社内外の人間関係を充実させる
さまざまな人と関わる経験は、視野を広げるだけでなく、多様な価値観や行動スタイルに触れることでリーダーシップの柔軟性を高めます。社内だけでなく、社外の人との交流を促す機会を設けることで、社員は自分の強みや課題を客観的に見つめ直すきっかけを得られます。異なる立場や背景の人と接する中で、調整力・共感力といったリーダーに必要な力が磨かれていきます。
研修を実施する
リーダーシップは実践だけでなく、理論に基づいた学習も効果的です。社内外の研修を活用することで、リーダーとして必要な知識やスキルを体系的に身につけることができます。
特にグループワークやケーススタディを取り入れた研修は、主体性や判断力、対人スキルの習得に有効です。現場の実態に合わせたプログラムを選定し、継続的な育成環境を整えることが、社員の成長を促す鍵となります。
リーダーシップ研修の内容やおすすめプログラムについては、以下の記事で詳しく紹介しています。
リーダーシップ研修とは?カリキュラムの例やおすすめの研修サービスを紹介
リーダーシップが身につく研修なら「リンプレス」
リンプレスでは、現場のリーダーに必要な実践的スキルを体系的に習得できる研修プログラムを提供しています。経験の浅い若手から、現場での意思決定を任される中堅社員まで、それぞれの成長段階に合わせたプログラムを用意。理論だけでなく、実践と振り返りを繰り返すことで、現場で即活かせるリーダーシップを育成します。以下では、代表的な2つの研修をご紹介します。
1Day講義型DX推進リーダー育成研修「LDP」
「LDP」は、事業部門やDX専門部署の方が「DX推進リーダー」としてDXプロジェクトを進めていくうえで、最低限押さえておくべき考え方や行動のポイントを、1日で学べる講義形式の研修です。
DX推進リーダーはDX実現に向けた戦略(あるべき姿)を立案し、リーダシップを発揮しながら適切にプロジェクトマネジメントをしていかなければなりません。本プログラムでは、DX推進リーダーに必要な 「リーダーシップ」「DX戦略立案」「プロジェクトマネジメント」の3点を統合的に実行・推進できる力を身につけることができます。
DX推進リーダーを任される社員や、これからリーダー候補として育てたい人材に適しています。短時間ながらも実務に直結する知識が得られる点がメリットです。
4Days実践・体験型「TREND-PL®」
「TREND-PL®」は、4日間にわたって行う体験型の集中研修で、模擬プロジェクトの運営を通じてリーダーとしての行動や判断を実践的に学びます。
単なる知識習得にとどまらず、チーム内での役割分担、リスク対応、関係者との交渉など、リアルな状況を再現した中で総合的なスキルを鍛えるのが特徴です。業種や業界の異なる参加者とのグループ討議を経験できるため、広い視野を持つ自立型リーダーを育てたい企業に非常に適したプログラムといえます。
リンプレスの研修を導入した企業の事例
株式会社ゼンリンでは、これまでに社内で人材育成を行っていましたが、デジタルやITに特化した研修が少ないことに課題を感じていました。デジタル技術の活用やDXの推進のため、リンプレスの「デザイン思考研修」と「プロジェクトリーダー研修」を導入いただきました。
一般的な「リーダーシップ研修」は多くの企業が提供していますが、リンプレスならではの「ITプロジェクトにおけるプロジェクトリーダー育成に特化した研修」という点に魅力を感じていただいております。
実際に参加した社員の方からは「自社の中だけでは得られない学びや気づきがあった」という感想もいただいており、研修から帰ってくると目の色や言葉が変わる、というお声もいただいています。
こちらの事例について詳しくは、以下のリンクからご覧いただけます。
株式会社ゼンリン様の事例|ゼンリン独自のデジタル人材育成プログラムで「伝道師」を育成!社員の主体性を高めるための仕組みとは
DX研修を実際に行った企業の事例を知りたい方は「導入事例:第一三共株式会社様」「導入事例:株式会社八十二銀行様」「導入事例:株式会社ワークマン様」こちらのページをご覧ください。
リンプレスでは、DX推進人材を育成する研修プログラムと、DXの内製化をサポートするコンサルティングを提供しています。自社のDX推進にお困りの方はぜひご相談ください。
まとめ
リーダーシップは特別な人だけが持つ資質ではなく、環境や経験によって誰でも身につけることができるスキルです。時代とともにリーダー像は変化し、今では「引っ張る人」より「支える人」「育てる人」が求められるようになりました。企業としては、社員一人ひとりが自らの強みを活かしてリーダーシップを発揮できるような支援が重要です。今回紹介したスキルや研修プログラムを活用し、組織全体のリーダーシップ力を高めていきましょう。
リンプレスの研修は、実務に直結する実践型プログラムが充実しており、リーダー人材の育成に最適です。自社の将来を担うリーダーを育てる第一歩として、研修の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
<文/文園 香織>