IT企業がデザイン思考に取り組む意味
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この記事ではデザイン思考に関する情報をご紹介していきます。
体験を通してデザイン思考の概要を学べる研修はこちら(https://www.linpress.co.jp/seminar/design_thinking)
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皆さん、こんにちは。リンプレスの石津です。
私は2016年よりデザイン思考への取り組みを始め、2018年には親会社のリンクレアにおいて、社員の義務教育として浸透させる活動を始めるに至りました。
現在はお客様に対して、「デザイン思考研修」をご提供し、デザイン思考を知ってもらい、価値発見・解決の能力を個人・組織として身につけるきっかけづくりに尽力しております。
この記事では私の経験を踏まえ、なぜIT企業がデザイン思考に取り組むべきなのか?について考察します。
目次[非表示]
デザイン思考とは
デザイン思考とは、「デザイナーの思考や作業要領をプロセスとして一般化したもの」と捉えられています。
企業の目線で説明すると「イノベーションを起こすため、ビジネスパーソンもデザイナーのように革新的なアイデアを導けるようにしたもの」と言えます。
諸説ありますが、世界的に最も有名なスタンフォード大学d.schoolに倣うと、下の図のようなプロセスで定義されています。
Empathize(共感):対象者を観察したり、インタビューをしたりして、真相を探る
Define(問題定義):共感したことを分析・統合し、対象者の真のニーズを見つけ、問題を定義する
Ideate(アイデア):定義された問題に対し自由に意見を出し合い、具体的にどう解決するかを考える
Prototype(プロトタイプ):試作品を作ってアイデアを具現化し、効果や機能性、実現性について検討する
Test(テスト):プロトタイプを用い対象者に体験してみてもらい、検証し、改善点を探る
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上記の手順(プロセス)を経て、最終的な解決策を導き出すか、もしくは、どれかのフェーズに戻るかを再検討します。
従来の思考に比べて短期間・低コストでテスト(検証)までを進め、なるべく早くに失敗に気付いて次の検討に着手することに特徴があります。
このプロセスを繰り返すことにより、結果的に対象者が喜ぶアイデア(場合によっては、対象者が気付いてもいなかった素晴らしいモノやコト)が創出できるだろうという考え方です。
デザイン思考が注目される背景
どの業界においても、商品やサービスは市場にあふれており、他社との差別化が厳しい状況です。
顧客満足を得るため、従来どおりに商品やサービスの機能を充実し、品質を良くしようと努力しても、他社の追随を受け価格競争に陥ることで、思ったように収益があがらなくなってしまいがちです。
一橋大学の延岡健太郎教授によると、2000年代以降の日本の高収益企業は、従来の機能的価値よりも、「意味的価値」を生み出すことに成功していると言います。下図に「機能的価値」と「意味的価値」を具体例をもとに解説します。
デザイン思考は、この「意味的価値」を発見し、解決案を導出するのに役立つ思考法だと言われています。
こちらの記事(https://www.linpress.co.jp/blog/c47)でも示した通り、デザイン思考は、まずニッチな個の潜在要求を満たす有用性を目指すのです。
IT企業がデザイン思考に取り組む必要性は?
最近は、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の潮流などと言われ、IT企業は自分たちの在り方を変えなければ生き残れないとされています。
お客様が自らITを駆使し、デジタル技術によって本業を変えようとしているのです。
従来、IT企業は、お客様の業務を支援する情報システムを提供することを旨とし、お客様のニーズを情報システムに転換するビジネスを進めてきました。
デジタル技術は目覚ましく発展しているため、今後は、お客様自身が自分たちのニーズを定義できません。そのため、デジタル技術に明るいIT企業が主導となって、お客様のビジネス変革要求を開発する必要が出てきます。
従来型のシステム構築に慣れてしまっているIT企業は、お客様のニーズを聞きだすことには長けていますが、お客様が気付いてもいないニーズを掘り出すのには長けていません。
今後はお客様と共に、ビジネスを創造する力が求められるのです。そこでデザイン思考を活用することが、武器になるのではと期待されています。
IT企業がデザイン思考を取り入れるポイント
弊社が行うデザイン思考研修は、業界・業種を問わず、参加者を募集しておりますが、約半数はIT企業の方です。研修の最後にアンケートを収集すると、「デザイン思考がどのような業務で使えそうか」という設問に以下のような回答が見られます。
・企画提案に使えそう
・システム開発におけるお客様との要件定義に使うことで、よりお客様への深い共感をもとに要望を聞き入れることができるのではないか
システム設計や製造・テスト工程での利用よりも、構想段階での活用に期待される方が多い印象です。
企業がデザイン思考に取り組むにあたってのハードルと、それを乗り越えるヒント
残念ながら、日本のIT企業におけるデザイン思考の成功例をあまり聞きません。Appleや任天堂のような製品開発の会社や、IDEOのようなデザインコンサルティングファームしか、デザイン思考をうまく駆使できていないように見えます。
IT企業に限らず、企業がデザイン思考を経営に取り入れるにはハードルがあるように思います。ここでは私が研修や各社への支援を通して経験してきたデザイン思考の問題点と、それを乗り越えるためのヒントを述べます。
デザイン思考はすぐに結果がでない
残念ながら、研修を受けても、次の日からすぐに良いアイデアを創出できるようにはなりません。
組織内でデザイン思考プロセスを進めるには、その組織に協力者が必要ですし、もともと失敗を前提としてプロセスなので、理解の無い人が見ると無計画で実効性のない試みに見えて、その人が反対勢力になってしまうのです。
→ヒント
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プロセスを踏襲しても良いアイデアは生まれない
デザイン思考は、プロセスを踏襲すれば良いアイデアに辿り着くものではありません。
世にインパクトのあるアイデアを発信しつづけているデザイナーは、そもそもビジネスパーソンとは異なる視点で世の中を見ており、自分が生み出したアイデアを一定でない手順の中で実験する方法に長けています。
プロセスを踏襲すること以上に重要なのは、デザイナーの態度やマインドに倣うことなのだと私は考えます。
→ヒント
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まとめ
上記のようなことを踏まえて、弊社の研修「デザイン思考ワークショップ」では、研修に以下のような特徴を持たせています。
- 講義より体験を重視する
- 体験の振り返りをして、デザイン思考を個人や組織活動に取り入れる際のポイントを議論する
詳細は下記リンクよりご覧いただきたいですが、是非、ご紹介する機会を賜りたいと思います。
<参考>デザイン思考研修参加者の声
・何から取り組むか曖昧な状態で進むプロジェクトが多い中、デザイン思考を取り入れることでアイデアを発散・収束し、より価値のあるサービス提供が実現出来ると感じました。
・デザイン思考のプロセスを体感することで、目先の要求を満たすのではなく、その奥にある真の要求を見出すことが重要であると感じました。
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