
DX人材はどう評価すべき?効果測定に活用できる評価基準とスキル指標を解説
DX推進を進める企業が増える中で、「DX人材をどのように評価すべきか」という課題に直面している企業も多いのではないでしょうか。DX人材は、ITスキルだけでなくビジネス理解やプロジェクト推進力など複数の能力を必要とするため、従来の人事評価制度では適切に評価することが難しいケースも少なくありません。
DX人材の評価基準を明確にすることは、人材育成の効果を高めるうえでも重要なポイントです。評価基準を整えることで、社員の成長を可視化し、DX推進に必要なスキルを計画的に育成できるようになります。
本記事では、DX人材の定義から評価が難しい理由、評価基準の作り方、具体的な評価項目までを解説します。また、評価制度をDX人材育成に活用する方法についても紹介します。
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DX人材の評価は育成の重要ポイント
DXを推進する企業が増える中で、「DX人材の育成」は多くの企業にとって重要な経営課題となっています。しかし、DX人材を育成する際に大きな課題となるのが「どのように評価するか」という点です。適切な評価基準がないままDX人材育成を進めると、スキルの成長を正しく把握できず、育成の成果を測定することも難しくなります。
DX人材の評価は単なる人事評価ではなく、DX推進力を高めるための重要な指標でもあります。評価基準を明確にすることで、人材の育成方針を定めやすくなり、組織全体でDX推進を加速させることができます。
そもそも「DX人材」とは
DX人材とは、デジタル技術を活用して業務改革や新しいビジネスモデルの創出を推進できる人材のことを指します。単にITスキルが高い人材を意味するのではなく、ビジネス課題を理解したうえでデータやデジタル技術を活用し、企業の価値創出につなげる役割を担う人材です。
DX推進ではIT部門だけでなく、企画部門や現場部門など幅広い組織でDX人材が求められます。そのため企業では、さまざまな職種の社員をDX人材として育成する必要があります。
DX人材の定義については、以下の記事で詳しく紹介しています。
DX人材とは?定義・必要なスキル・育成方法を徹底解説
DX人材の評価が難しいと言われる理由
まずは、「なぜDX人材の評価は難しいのか」の理由を紹介します。主な要因として、以下が挙げられます。
従来の人事評価ではDX人材を評価しにくい
DXの成果は短期的に測りにくい
技術スキルとビジネススキルの両方が必要になる
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
従来の人事評価ではDX人材を評価しにくい
従来の人事評価制度は、業務成果や職務内容をもとに評価する仕組みが中心でした。しかしDX人材は、既存の業務を遂行するだけでなく、新しい業務プロセスやビジネスモデルを生み出す役割を担います。
従来の「個人売上高で評価する」「ITスキルの高さで評価する」といった制度ではDX人材の価値を十分に測ることが難しい場合があります。
DXの成果は短期的に測りにくい
DXの取り組みは、長期的な企業変革を目的としているため、短期間で明確な成果が現れない場合も多くあります。実際に、新しいデジタルサービスの開発やデータ基盤の整備などは、成果が出るまでに時間がかかります。
そのため、短期的な売上や業績だけを評価指標にすると、DX人材の取り組みを正しく評価できない可能性があります。
技術スキルとビジネススキルの両方が必要になる
DX人材には、ITやデータ分析などの技術スキルだけでなく、ビジネス理解やプロジェクト推進力などのビジネススキルも求められます。
そのため、DX人材は単一の評価基準では能力を測定しにくいという特徴があります。これまでにDX人材の評価ノウハウが無い企業では、「どのように評価すべきなのか」で悩んでしまうポイントです。
DX人材の評価基準の作り方
DX人材を適切に評価するためには、明確な評価基準を設定することが重要です。評価基準が曖昧なままでは、評価のばらつきが生まれたり、育成の方向性が定まらなかったりする可能性があります。
DX人材の評価基準を作る際には、企業がDX人材にどのような役割を期待しているのかを整理し、その役割に応じたスキルや行動を評価指標として設定することが必要です。
また、スキルごとの評価項目を設けるだけでなく、レベル別の評価基準を設定することで、社員の成長段階を把握しやすくなります。
こうした評価制度を整えることで、DX人材の育成をより効果的に進めることができます。
DX人材の評価項目と評価のポイント
DX人材を評価する際には、単にITスキルや知識量だけで判断するのではなく、ビジネス課題をどのように解決できるか、組織にどのような価値を生み出しているかなど、複数の観点から総合的に評価することが重要です。
具体的には、以下のような6つの評価項目があります。
評価項目 | 評価のポイント |
技術的なスキル | ・基本的なITリテラシー(データ・クラウド・AI)を理解している ・プログラミングやノーコード/ローコードで簡単な開発・自動化ができる ・RPAやBIツールなどを使い業務改善ができる ・データの収集・加工・分析の基礎ができる |
ビジネススキル | ・部門を越えた関係者との調整/コミュニケーションができている ・プロジェクトチームをまとめるリーダーシップがある ・DX施策の提案や意思決定への貢献度 ・組織の課題を理解し改善提案を行う力がある |
新たな分野への意欲 | ・新しいデジタル技術やDXトレンドに関する情報収集/学習の取り組み ・研修や勉強会、資格取得など自己研鑽への積極性 ・学んだ知識を業務改善や新しい提案に活かしているか ・社内で知識共有やナレッジ発信を行っているか |
思考力・企画力 | ・業務課題や顧客ニーズを分析し、問題の本質を捉える力 ・データや情報をもとにした論理的な提案力 ・デジタル技術を活用した新しい業務改善/ビジネス企画の立案 ・実行可能性を考慮した現実的なDX施策の設計 |
巻き込み力 | ・部門を越えた関係者と協力関係を構築できているか ・DX施策の目的やメリットを分かりやすく説明できているか ・関係者の意見を取り入れながら合意形成を進められているか ・組織全体のDX推進に向けて主体的に働きかけているか |
プロジェクト推進力 | ・プロジェクトの目標設定や計画策定が適切に行われているか ・進行中の課題やリスクを把握し、適切に対応できているか ・チームメンバーと連携しながらプロジェクトを推進できているか ・プロジェクトの成果が業務改善やDX推進につながっているか |
それぞれ、どのように評価すべきなのかをポイントも踏まえて紹介します。
1.技術的なスキル
DX人材の「技術的なスキル」とは、専門的なITスキルそのものではなく、DX人材が持つ複数のスキルの中から「デジタルを扱う力」を切り出して評価する視点です。
DX人材はビジネス・企画・マネジメントなど多様な能力を持つため、それらを混在させず、「どの程度デジタルを理解し、扱えるか」を分解して評価することが重要です。
例えば、プログラミングの可否だけでなく、業務の自動化の仕組みを理解しているか、データを扱えるか、ツールを使って課題解決ができるかといった実務ベースで評価します。
評価のポイント
技術的なスキルは、「専門性」ではなく「実務での活用度」で評価することが重要です。以下のような評価ポイントを参考に基準を設計しましょう。
基本的なITリテラシー(データ・クラウド・AI)を理解している
プログラミングやノーコード/ローコードで簡単な開発・自動化ができる
RPAやBIツールなどを使い業務改善ができる
データの収集・加工・分析の基礎ができる
これらの観点で評価することで、「どの程度デジタル技術を扱えるDX人材なのか」を明確にできます。
2.ビジネススキル
DX人材には技術スキルだけでなく、ビジネススキルも不可欠です。DXの取り組みは組織横断で進められることが多く、さまざまな部門と連携しながらプロジェクトを推進する必要があるためです。
ビジネススキルの評価では、コミュニケーション能力、調整力、リーダーシップの有無などが重要な要素となります。
また、DXでは既存の業務プロセスや組織文化を変革するケースも多いため、関係者の理解を得ながらプロジェクトを進める能力も重要です。DX人材は、技術とビジネスの橋渡し役としての役割を担うことが期待されます。
評価のポイント
ビジネススキルを評価する際には、組織内でどのような役割を果たしているか、プロジェクト推進にどの程度貢献しているかを確認することが重要です。具体的には以下のような観点が評価指標になります。
部門を越えた関係者との調整/コミュニケーションができている
プロジェクトチームをまとめるリーダーシップがある
DX施策の提案や意思決定への貢献度
組織の課題を理解し改善提案を行う力がある
これらの評価項目を取り入れることで、DX人材がビジネスパーソンとしてどのような価値を発揮しているのかをより正確に評価することができます。
3.新たな分野への意欲
DXの分野は技術革新のスピードが非常に速く、数年前まで主流だった技術や手法が短期間で変化することも珍しくありません。そのためDX人材には、現在のスキルだけでなく、新しい技術や知識を継続的に学び続ける姿勢が求められます。
AIやデータ分析、クラウドなどの新しい技術トレンドを理解し、自社の業務にどのように活用できるかを考える能力はDX推進において重要です。また、DX人材は自ら学習するだけでなく、得た知識を組織内に共有し、チーム全体のデジタルリテラシーを高める役割も期待されます。
評価のポイント
新しい分野への意欲を評価する際には、日常業務の中でどのように学習やスキル向上に取り組んでいるかを確認することが重要です。具体的には以下のような観点が評価指標になります。
新しいデジタル技術やDXトレンドに関する情報収集/学習の取り組み
研修や勉強会、資格取得など自己研鑽への積極性
学んだ知識を業務改善や新しい提案に活かしているか
社内で知識共有やナレッジ発信を行っているか
このように「学習行動」や「知識の活用度」を評価することで、DX人材の成長意欲を適切に測定することができます。
4.思考力・企画力
DX推進では、既存の業務を単にデジタル化するだけでなく、新しい価値を生み出すための発想力や企画力が求められます。そのためDX人材には、課題を構造的に分析する思考力や、新しいビジネスモデルや業務プロセスを設計する企画力が必要です。
DXの取り組みは、既存の業務の延長線上ではなく、従来の発想を超えた改革を伴うことが多いため、論理的思考力と創造的思考力の両方が重要になります。企業がDXを成功させるためには、このような思考力と企画力を持つ人材を評価し、育成していくことが必要です。
評価のポイント
思考力・企画力を評価する際には、単にアイデアの数を評価するのではなく、課題分析の質や提案の実行可能性などを重視することが重要です。具体的には以下のような観点が評価のポイントになります。
業務課題や顧客ニーズを分析し、問題の本質を捉える力
データや情報をもとにした論理的な提案力
デジタル技術を活用した新しい業務改善/ビジネス企画の立案
実行可能性を考慮した現実的なDX施策の設計
思考力や企画力を評価項目に含めることで、DX推進に必要な「価値創出型人材」を育成しやすくなります。
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5.巻き込み力
DX推進では、一部の担当者だけが取り組むのではなく、複数の部門や関係者を巻き込みながらプロジェクトを進めることが重要になります。DXの取り組みは業務プロセスや組織文化の変革を伴うことが多いため、関係者の理解や協力を得ることが成功の鍵となるためです。
そのためDX人材には、周囲の関係者と信頼関係を築きながらプロジェクトを前進させる「巻き込み力」が求められます。業務部門とIT部門の間に立って課題を整理したり、DX施策の必要性を分かりやすく説明して協力を得たりする能力が「巻き込み力」に該当します。
評価のポイント
巻き込み力を評価する際には、単なるコミュニケーション能力ではなく、組織全体を動かす影響力や調整力を重視することが重要です。具体的には以下のような観点が評価指標になります。
部門を越えた関係者と協力関係を構築できているか
DX施策の目的やメリットを分かりやすく説明できているか
関係者の意見を取り入れながら合意形成を進められているか
組織全体のDX推進に向けて主体的に働きかけているか
このような観点を評価することで、DX人材が組織内でどの程度影響力を発揮しているのかを把握することができます。
6.プロジェクト推進力
DX推進では、新しいシステム導入や業務プロセス改革など、さまざまなプロジェクトが同時に進行します。そのためDX人材には、プロジェクトを計画的に進め、成果につなげるプロジェクト推進力が求められます。
プロジェクト推進力とは、単にスケジュールを管理する能力だけではなく、課題を特定し解決策を見つけながらプロジェクトを前進させる能力を指します。また、DXプロジェクトでは関係者が多くなる傾向があるため、チームメンバーの役割を整理し、チーム全体の成果を最大化するマネジメント力も重要です。
評価のポイント
プロジェクト推進力を評価する際には、プロジェクトの成果だけでなく、プロセスや課題対応力なども含めて評価することが重要です。具体的には以下のような観点が評価のポイントになります。
プロジェクトの目標設定や計画策定が適切に行われているか
進行中の課題やリスクを把握し、適切に対応できているか
チームメンバーと連携しながらプロジェクトを推進できているか
プロジェクトの成果が業務改善やDX推進につながっているか
すでにプロジェクトマネージャー向けに評価基準がある場合は、そちらを参考に基準を設定することも効果的です。
DX人材の評価でより効果的な育成を実施する方法
DX人材の評価制度は、単に人材の能力を測るためのものではなく、人材育成を促進するための仕組みとして活用することが重要です。
DX人材の評価基準を、人材育成に活かす方法を以下から紹介します。
人事考課にDX人材としての評価を組み込む
DX推進が企業の重要な戦略であるにもかかわらず、人事評価に反映されていない場合、社員の行動がDX推進に向かいにくくなる可能性があります。DX人材育成を組織全体で進めるためには、人事評価制度の中にDXに関する評価項目を組み込むことが重要です。
評価制度にDX関連の指標を取り入れることで、DX人材の育成が企業の人材戦略として明確に位置付けられ、組織全体でDX推進に取り組む環境を整えることができます。
DX人材育成プランの効果測定に活用する
DX研修や教育プログラムを実施しても、その成果を適切に測定できなければ、育成施策が本当に効果を発揮しているのか判断することが難しくなります。DX人材の評価制度は、人材育成施策の効果を測定するための指標としても活用可能です。
DX人材の評価基準を育成計画のKPIにし、研修前後のスキルレベルや行動変化を測定することで、育成施策の成果を可視化できます。
育成ロードマップと連動させる
DX人材の評価制度は、人材育成ロードマップと連動させることで、より効果的に活用することができます。育成ロードマップとは、DX人材がどのようなスキルを段階的に習得していくべきかを示した成長計画のことです。
例えば、DXの基礎知識を習得する段階、デジタル技術を業務に活用できる段階、DXプロジェクトを推進できる段階など、レベル別に育成目標を設定します。そして、それぞれの段階に応じた評価基準を設定することで、社員の成長状況を可視化することができます。
DX人材育成に特化したロードマップの作り方は、以下の記事で詳しく紹介しています。
DX人材育成を成功させるロードマップの作り方とは?重要性や注意点も紹介
DX人材の評価と育成を成功させるためのポイント
DX人材の評価と育成を成功させるためには、評価制度を単なる人事評価として扱うのではなく、DX推進のための人材戦略として活用することが重要です。企業がDX人材に求める役割を明確にし、その役割に応じた評価基準を設定することで、社員の成長方向を示すことができます。
DX推進には組織全体での取り組みが不可欠であるため、評価制度も部門を越えて活用できる仕組みにすることが望ましいでしょう。こうした評価と育成の仕組みを整えることで、企業はDX推進に必要な人材を計画的に育てることができます。
DX人材の育成状況を正確に評価するには、外部サービスによる育成プログラム・DX内製化支援を受けることも効果的です。
DX人材の育成には「リンプレス」
DX人材の育成や評価制度の構築には専門的な知識が必要です。しかし、社内だけでDX人材育成の仕組みを整えるのは難しい場合もあります。
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まとめ
DX人材の評価は、企業がDX推進を進めるうえで非常に重要な要素です。DX人材は単にデジタル技術に詳しい人材ではなく、デジタル技術を活用してビジネス課題を解決し、組織変革を推進できる人材を指します。そのため、評価を行う際には技術スキルだけでなく、ビジネススキルやプロジェクト推進力、組織への影響力など複数の観点から総合的に評価することが必要です。
また、DX人材の評価制度は人材育成と連動させて活用することが重要です。人事評価にDX関連の指標を取り入れたり、育成プランの効果測定に活用したりすることで、DX人材の成長を可視化することができます。さらに、育成ロードマップと連動させることで、社員がどのスキルを習得すべきかを明確にし、計画的な人材育成を進めることが可能になります。
DX人材の評価と育成を成功させるためには、明確な評価基準の設計と体系的な育成施策の両方が重要です。DX人材育成に課題を感じている企業は、専門的な知見を持つ外部サービスを活用することで、より効果的にDX人材を育成できるでしょう。
<文/文園 香織>











