
研修でグループワークを行うメリットとは?失敗しないポイントを紹介
社員研修において「グループワーク」は定番の手法となりつつあります。受講者同士が対話しながら課題に取り組むことで、知識の定着だけでなく、協調性や主体性の向上も期待できるためです。しかし一方で、「形だけで終わってしまった」「話し合いが盛り上がらなかった」という声も少なくありません。グループワークは設計や進行を誤ると、期待した効果が得られないこともあるため、正しい活用方法を理解することが重要です。
この記事では、グループワークを研修に導入するメリットや具体的な形式、成功させるためのポイント、さらには注意点や外部サービスの活用方法までを詳しく解説します。
DX研修を実際に行った企業の事例を知りたい方は「導入事例:第一三共株式会社様」「導入事例:株式会社八十二銀行様」「導入事例:株式会社ワークマン様」こちらのページをご覧ください。
リンプレスでは、DX推進人材を育成する研修プログラムと、DXの内製化をサポートするコンサルティングを提供しています。自社のDX推進にお困りの方はぜひご相談ください。
研修にグループワークを導入するメリット
まずは、研修にグループワークを取り入れる主なメリットを以下の4つに分けて紹介します。
受講者が主体的になって研修に取り組める
受講者同士の交流の場になる
問題解決能力・交渉力が高まる
受講者の性格や考え方を知ることができる
それぞれ、詳しくみていきましょう。
受講者が主体的になって研修に取り組める
講義形式では、受講者が受け身になりがちですが、グループワークでは自ら考え、意見を出し合うため、主体性が自然と引き出されます。「学んだことを自分の言葉で話して実践する」行為は理解度の定着にもつながり、受動的だった社員も前向きに学ぶ姿勢を持ちやすくなります。また、自分の発言が場に影響を与える経験は、実務での発信力や積極性を育むきっかけにもなります。
受講者同士の交流の場になる
研修におけるグループワークは、普段関わりのないメンバー同士が協力しながら課題に取り組む機会を生み出します。共通のテーマに向かって意見を交わすことで、自然と距離が縮まり、コミュニケーションのハードルも低くなるでしょう。
部署や世代を超えたつながりが生まれることもあり、研修後の業務連携や相談のしやすさにつながる効果も見込めます。社内の関係構築を促すという点でも、大きな価値があります。
問題解決能力・交渉力が高まる
グループワークでは、参加者が一つの課題に対して意見を出し合い、答えを導き出すプロセスを体験します。その中で、相手の立場を理解したり、自分の意見を論理的に伝えたりする力が磨かれます。
また、意見の対立や方向性のズレを調整する場面では、自然と交渉力や合意形成のスキルも養われます。これらは実務における会議やプロジェクト推進の場でも大いに活かされる力です。
受講者の性格や考え方を知ることができる
グループワークでは、参加者の価値観や思考の傾向が自然に表れます。
発言の頻度や内容、他者との関わり方などから、個々の強みや課題を把握しやすくなります。これは講師や人事担当者にとっては、受講者のフォローや人材配置の参考情報になるだけでなく、参加者同士もお互いの個性や得意分野に気づくことで、よりよい関係性を築くきっかけになります。
研修で用いられるグループワークの種類
グループワークと一口にいっても、その目的や内容によって形式はさまざまです。受講者の参加意欲や成長を促すためには、研修のゴールや対象者に応じて適切なグループワークを選ぶことが重要です。ここでは、企業研修でよく使われる3つの代表的なグループワークの種類をご紹介します。
作業型グループワーク
プレゼン型グループワーク
ビジネスケース型グループワーク
それぞれの特性を理解し、効果的な学習設計に活かしましょう。
作業型グループワーク
作業型グループワークは、受講者が協力して特定のタスクや課題をこなす形式のワークです。たとえば模擬商品のパッケージ作成、ワークシートへの記入、ボードゲームなどを用いたチーム構築など、手を動かしながら学ぶことが特徴です。
実際に企業の研修に取り入れられているワークとして、以下が挙げられます。
●マシュマロチャレンジ
マシュマロ・乾燥パスタ・ひも・ハサミ・マスキングテープを使用して、制限時間内にできる限り高い自立式のタワーを建てるというゲームです。4〜5人で1チームとなり、チーム対抗で競い合います。
●動画作成
「就職したくなる企業のPR動画」などのテーマを決めて、チームごとに動画の撮影・編集を行うグループワークです。短時間で役割分担をし、効率よく動くチームワークを競い合います。
思考と行動を結びつけることで、集中力と達成感を得やすく、研修後の記憶定着にも効果的です。体験から気づきを得たい研修でよく用いられます。
プレゼン型グループワーク
プレゼン型グループワークは、グループごとにテーマに沿った議論を行い、その結果を発表としてまとめる形式です。
意見の整理、資料作成、役割分担、発表といった一連のプロセスを通じて、論理的思考力やプレゼンテーション力、チーム内での調整力が鍛えられます。また、他チームの発表を聞くことで、多様な視点やアイデアにも触れられる点がメリットです。主体性と表現力を養うのに適しています。
ビジネスケース型グループワーク
ビジネスケース型は、実際の業務や経営課題に近いケーススタディをもとに議論・分析を行う高度なグループワークです。
例えば「赤字事業をどう立て直すか」「新規事業の市場戦略を考える」など、実務に直結するテーマを扱うため、問題解決力や意思決定力が求められます。中堅社員や管理職層の研修で多く取り入れられており、実務への応用力や俯瞰的な視点を鍛えるのに最適です。
研修の効果が出にくいグループワークの特徴
グループワークは、受講者の主体性や協働意識を引き出す有効な手法ですが、設計や運営に問題があると、かえって形骸化してしまうこともあります。実際に、うまくいかなかったグループワークには共通の要因が存在し、成果につながらないばかりか、受講者のモチベーションを下げてしまう恐れもあります。ここでは、研修効果を損なう代表的な3つの原因について解説します。
グループワークの目的・ゴールが曖昧
グループワークのテーマや目的が不明確なままだと、参加者は何を目指して話し合えばよいのか分からず、議論が散漫になりがちです。
成果物の基準や評価軸が示されていない場合も、達成感を得にくく、単なる時間つぶしのように感じられる恐れがあります。開始前に目的・ゴール・期待されるアウトプットを丁寧に共有することが、効果的なグループワーク運営の第一歩です。
講師のスキル不足
グループワークは、講師が進行役として適切にファシリテートできるかどうかが成否を左右します。経験やスキルが不足していると、場の流れが滞ったり、議論が一部の参加者に偏ったまま進んでしまうこともあります。また、発言しづらい雰囲気を放置したままにすると、受講者の学びは深まりません。
状況に応じて適切に問いかけ、軌道修正できる講師の存在が、研修効果を高める鍵となります。
受講者同士が話し合える環境を構築できていない
いくら内容の良いワークでも、安心して発言できる雰囲気がなければ活発な議論は生まれません。初対面同士や上下関係がある場面では特に、緊張感から意見交換が難しくなるケースがあります。
研修の冒頭でアイスブレイクを設けたり、ルール設定やグループ編成に配慮したりと、話しやすい土台づくりが不可欠です。心理的安全性の高い場をつくることが、研修の成功に直結します。
グループワーク研修を効果的に実施するポイント
グループワーク研修の成果を最大限に引き出すには、内容だけでなく「どのように進行するか」も重要です。参加者が自発的に取り組める環境や、無駄のない構成、学びを定着させる仕組みなど、細やかな配慮が成功を左右します。
ここでは、研修を実施するうえで特に意識すべき3つのポイントを紹介します。
受講者の視点で環境づくりをする
受講者が安心して意見を交わせる雰囲気づくりは、グループワーク成功の前提条件です。初対面の参加者が多い場合には、アイスブレイクや簡単な自己紹介を取り入れることで緊張をほぐし、対話が生まれやすくなります。
また、年齢・役職差がある場合には、発言しやすいグループ構成や座席配置に配慮することも効果的です。受講者目線で「話しやすい」「動きやすい」場を整えることが成果につながります。
無駄な時間や作業が発生しないようにする
グループワークはあくまで研修目的を達成するための手段です。
目的に直結しないタスクや、成果に結びつかない議論が長引くと、時間と集中力を浪費してしまいます。あらかじめ所要時間やアウトプットのフォーマットを明確にし、必要に応じてタイムキーパーを立てることで、進行のムラを防げます。また、講師が進行状況を見ながら適切に介入・調整することで、時間を有効に使うことができます。
フィードバックを行う
グループワークの効果を定着させるには、実施後のフィードバックが欠かせません。
講師からの講評だけでなく、受講者自身による振り返りや、他チームからの意見交換を行うことで、多角的な気づきを得ることができます。「何がうまくいったのか」「どこに改善の余地があるのか」を言語化することで、次の行動に活かせる具体的な学びへとつながります。学びを内省させる設計が、研修の質を高めます。
グループワーク研修は専門サービスの活用がおすすめ
自社内でグループワークを実施することも可能ですが、より高い効果を狙うなら、研修専門サービスの活用がおすすめです。目的に応じたプログラム設計や、豊富な実績をもつ講師による進行は、参加者の学びと成長をより確実なものにしてくれます。
ここでは、外部のグループワーク研修サービスを利用することで得られる具体的なメリットを紹介します。
他社の参加者と交流できる
公開型のグループワーク研修では、他社の受講者とチームを組むケースも多く、業種・業界を超えた多様な視点に触れられるのが魅力です。日常業務とは異なる環境で意見を交わすことで、自社では得にくい新たな気づきや発想が生まれます。
また、価値観の違う人とのコミュニケーションを経験することは、受講者自身の柔軟性や共感力を高める良い機会にもなります。
プロによる進行とアドバイスで効果が高まる
経験豊富なファシリテーターが進行を担当することで、議論が脱線したり、特定の受講者に偏ったりするリスクを防ぐことができます。また、進行中や終了後に的確なフィードバックを受けることで、受講者自身の思考のクセや課題に気づくことができ、成長スピードが加速します。
プロの視点を交えたアドバイスは、内製研修では得られにくい実践的な学びを深める手助けになります。
受講者の気持ちの切り替えができる
社内で実施する研修では、日常業務と地続きになってしまい、受講者が本気モードに入りにくいこともあります。外部の専門研修を活用すれば、普段とは異なる環境に身を置くことで、自然と意識が切り替わり、学ぶ姿勢が前向きになります。
特にグループワークでは、こうした心理的なスイッチの切り替えが集中力や積極性に大きく影響するため、効果を最大化するうえでも有効です。
実績のあるグループワーク研修なら「リンプレス」
グループワーク研修の効果を最大化するには、経験豊富な講師による設計・進行が不可欠です。リンプレスでは、受講者のレベルや目的に応じて最適なプログラムを提供し、単なる学習にとどまらず、実務に活かせる行動変容を目指した内容で高い評価を得ています。
自社開催はもちろん、公開型やオンライン形式など多様なニーズに対応可能です。初めての導入でも安心のサポート体制が整っています。成果につながる研修をお求めの方は、ぜひリンプレスにご相談ください。
リンプレスの研修プログラム
リンプレスの研修プログラムから、グループワークによる効果的な学びが高く評価されているものを紹介します。
●IT・システム企画研修
「IT・システム企画研修」は、業務課題の整理からシステム化構想の立案、関係者との合意形成まで、システム企画に必要な一連のプロセスを実践的に学べるプログラムです。
知識の習得だけにとどまらず、ワークショップ形式で業務フローや要件の可視化、企画書作成などを体験できます。システム企画に携わるSEやIT企画部門の担当者に特におすすめのプログラムです。
リンプレスの「IT・システム企画研修」について詳しくはこちら
●プロジェクトリーダー研修
「プロジェクトリーダー研修」は、プロジェクトの現場で求められる行動力・判断力・チームマネジメント力を実践形式で学ぶ体験型プログラムです。特に、模擬プロジェクトを通じて、計画立案から進行、トラブル対応、ふりかえりまでをリアルに体験できる点が特長です。上流工程に必要なリーダーシップや合意形成スキルを鍛えるのに最適で、受講者の行動変容を促す内容になっています。
リンプレスの研修を導入した企業の事例
株式会社ゼンリンでは、これまでに社内で人材育成を行っていましたが、デジタルやITに特化した研修が少ないことに課題を感じていました。デジタル技術の活用やDXの推進のため、リンプレスの「デザイン思考研修」と「プロジェクトリーダー研修」を導入いただきました。
一般的な「リーダーシップ研修」は多くの企業が提供していますが、リンプレスならではの「ITプロジェクトにおけるプロジェクトリーダー育成に特化した研修」という点に魅力を感じていただいております。
実際に参加した社員の方からは「自社の中だけでは得られない学びや気づきがあった」という感想もいただいており、研修から帰ってくると目の色や言葉が変わる、というお声もいただいています。
こちらの事例について詳しくは、以下のリンクからご覧いただけます。
株式会社ゼンリン様の事例|ゼンリン独自のデジタル人材育成プログラムで「伝道師」を育成!社員の主体性を高めるための仕組みとは
DX研修を実際に行った企業の事例を知りたい方は「導入事例:第一三共株式会社様」「導入事例:株式会社八十二銀行様」「導入事例:株式会社ワークマン様」こちらのページをご覧ください。
リンプレスでは、DX推進人材を育成する研修プログラムと、DXの内製化をサポートするコンサルティングを提供しています。自社のDX推進にお困りの方はぜひご相談ください。
まとめ
グループワークは、受講者の主体性や協働力を引き出す、非常に有効な研修手法です。ただし、導入には目的設計や運営スキル、環境づくりなど多くの要素が影響するため、ただ実施するだけでは効果は得られません。適切な設計と進行、そして振り返りによってこそ、実践的な学びにつながります。研修の成果を確実なものにするために、経験豊富な外部サービスの活用も視野に入れ、質の高い人材育成を実現していきましょう。
リンプレスは、実務に直結する体験型研修プログラムを通じて、即戦力として活躍できる上流人材の育成を支援します。DX人材や上流工程人材でお悩みの企業は、ぜひご相談ください。
<文/文園 香織>