課題発見・解決能力について解説した記事の表紙画像

DXで重要な「課題発見・解決能力」とは?

デジタルトランスフォーメーション(DX)が企業や組織にとって急務となる中、その成功の鍵となる能力の一つが「課題発見・解決能力」です。

テクノロジーが急速に進化し、市場の要求が日々変化する中で、組織は新たな課題に直面し、それらを素早く発見し、効果的に解決する必要があります。

本記事では、なぜ課題発見と解決がDXにおいて不可欠なのか、その重要性と具体的な方法について詳しく探求していきます。


リンプレスでは現場自らが課題を発見し、解決策を実行していくためのフレーム「CANVAS-SA®」を活用した研修・コンサルティングを実施しています。ぜひご覧ください。​​​​​​​⇒課題発見・解決に役立つフレームを見る(無料)


目次[非表示]

  1. 1.なぜDXはうまくいかないのか?よくある失敗パターン
  2. 2.ビジネスシーンにおける課題の種類と具体例
  3. 3.どのように課題を"発見"していくのか(課題発見フェーズ)
  4. 4.どのように課題を“解決”するのか(課題解決フェーズ)
  5. 5.現場主導のDX実現に向けた取り組み事例


なぜDXはうまくいかないのか?よくある失敗パターン

企業におけるDXの取組状況を調べた調査は複数ありますが、そのような調査の多くで“DXによる成果をあげている日本企業はまだまだ少ない”という結果が出ています。

実際に当社のお客様の中でも「DXに取り組んだものの、なかなか成果が上がらずに挫折してしまった」という声をよく聞きます。

DXがうまくいかない理由はどこにあるのでしょうか?
主な要因には、以下の2つが考えられます。

  • 要因①:“デジタル技術の活用” や “システムの導入” が目的化
  • 要因②:“明確なゴール” や “解決すべき問題点や課題” が不明確


最もよくある失敗のパターンのひとつに“デジタル技術の活用”や“システムの導入”が目的化してしまうというものがあります。


DXプロジェクトにおいては、AI、クラウド、IoT、データサイエンスといった先進技術を利用するケースが多く見られます。

しかし、このようなテクノロジーありきでプロジェクトを進めると、実際のビジネスへの応用を企画・実行することが難しく、思うような成果が出せなかったといった失敗に繋がってしまいます。

テクノロジーは課題解決のための手段のひとつとして検討することが重要です。


もうひとつに“明確なゴール”や“解決すべき問題点や課題” が不明確といった失敗もよく見られます。

前述のテクノロジー主導で進めてしまう失敗パターンに近いものがありますが、企業として達成したい目標やゴール、DXの実現によって解決したい課題が不明確な状態で取り組んだとしても、大きな成果を期待することはできません。

つまり、DXを成功させるには、現状の業務における問題点や課題を的確に捉え、実効性のある解決策を導きだす力(=課題発見・解決能力)が重要となります。

この後の章では「課題発見力」と「課題解決力」の違いや、実際にどのように課題を発見し、解決していくかについて詳しく解説していきます。


リンプレスでは現場自らが課題を発見し、解決策を実行していくためのフレーム「CANVAS-SA®」を活用した研修・コンサルティングを実施しています。ぜひご覧ください。​​​​​​​⇒課題発見・解決に役立つフレームを見る(無料)


ビジネスシーンにおける課題の種類と具体例

ビジネスにおける課題には、大きく分けて「発生型」「設定型」「潜在型」の3種類があると言われています。


①発生型
1つ目は、すでに表面化している課題です。
ビジネス上では「製品やサービスの不具合」「業務上のミス」など、環境や条件によって自然と発生します。

発生型の課題を解決するためには、問題を素早く解決する瞬発力に加え、表面化した課題の奥にある「課題の本質」を見極める能力が必要となります。

②設定型
2つ目は、組織や個人が目標を設定し、達成する過程で発生する課題です。
ビジネス上では「KPIの未達」「プロジェクトにおけるQCD(品質/コスト/納期)の遅れ」などが該当します。

このような課題を解決するためには、目標を達成するためのアクションプランを練り、実行する必要があります。課題の所在と原因を明らかにし、どのような対策を打つべきか検討し、行動に移すことが求められます。

③潜在型
3つ目は、まだ表面化していないけれど、これから発生する可能性がある課題です。
ビジネス上では「競合他社の台頭や新技術の導入」「スキルを持った人材の流出」などが該当します。

発生型や設定型よりも認識しづらい問題ですが、アプローチをできるだけ早く行い、適切に分析できれば問題が顕在化する前に対処可能です。

どのように課題を"発見"していくのか(課題発見フェーズ)

「課題」とは、理想と現状のギャップです。

解決すべき「課題」を発見・解決していくためには実務がどうなっているか、まずはじめに現状把握・可視化が必要となります。正確な課題の特定は、DXプロジェクトの成功に向けた基盤となります。

また、課題には大きく分けて「すでに表面化している課題」「潜在的な課題」が存在します。

それらを全て洗い出し、優先順位をつけ、インパクトが高い解決策を導き出すことが重要となるでしょう。


課題を正しく認識するための方法

  1. 業務可視化:課題がプロセスに関連している場合、業務の可視化・分析を行い、ボトルネックや無駄なステップを特定します。これにより、改善の余地がある箇所が明らかになります。

  2. データ収集と分析:課題を正しく認識するためには、十分なデータを収集し、それを分析することが不可欠です。過去の業績データ、顧客のフィードバック、市場トレンドなど、あらゆる情報源を活用して、問題の根本原因を特定します。

  3. ステークホルダーの協力:課題を正確に理解するために、組織内の異なるステークホルダーと積極的にコミュニケーションを取りましょう。関連部門や従業員からのフィードバックや洞察は、課題の本質を明らかにするのに役立ちます。


以上のように、正確な課題の認識はDXプロジェクトの成功に不可欠です。
具体的な課題を特定し、それに対処するためのステップを踏むことが大切です。



関連コンテンツ:DXの第一歩!失敗しない業務プロセス可視化の進め方



どのように課題を“解決”するのか(課題解決フェーズ)

現状を把握することで解決すべき課題が明らかになったら、次は実現方式・解決策を決めるステップへと進みます。

課題解決には問題の分析、解決策の設計、実行、評価などが含まれます。課題を解決することは、効率性の向上、コスト削減、顧客満足度の向上、競争力の強化など、多くの利点をもたらします。


課題解決のアプローチ

  1. 問題の分析:課題解決の第一歩は、問題の正確な分析です。問題が何であるか、なぜ発生しているのかを理解し、その背後にある要因を特定します。

  2. 解決策の設計:問題を特定したら、解決策を設計します。これには、新しい業務フローの採用、新システムの導入、デジタル技術の活用などが含まれます。

  3. 実行と評価:解決策を実行し、その効果を評価します。実施後のデータ収集と分析が重要で、解決策が課題をどのように改善したかを確認します。

ここで重要なことは、ビジネス課題を解決するための「手段」と「目的」を混同しないということです。


テクノロジーありきで解決策を考えてしまうと思うような成果に繋がらない、という事態に陥りがちです。

まずは業務やプロセスを変えることで解決できないかを検討し、その上でテクノロジーの導入を検討することをお勧めします。

DXを実行していく際は、①DXの目的を明確にし、その次に②目的達成のために解決すべき課題を洗い出し、解決すべき度合いが高い課題に対して③具体的な改善・改革の方向性を見出していくといったアプローチが有効です。


そしてこのような課題発見や解決策の設計・実行は、実際に業務に携わる現場主導で推進していくことが極めて重要となります。

現場自らこの課題発見・解決を実行していくことで、業務にフィットした解決策を実行したり、スピードと柔軟性を持った施策の実行が期待できます。


現場主導のDX実現に向けた取り組み事例

前述のとおり、DXはビジネス戦略の実行部隊である現場部門主導で進めることが極めて重要となります。

ただ、いくら現場が業務に精通しているとはいえ、従来は主にITベンダやIT部門が行ってきたビジネス課題の洗い出しや業務可視化をいきなり現場に任せることは難しいでしょう。

そこでリンプレスでは現場自らが課題を発見し、解決策を実行していくための「フレーム」の活用をお勧めしています。


ここからは実際にフレームを活用したIT企画研修を実施した東洋船舶の事例を紹介します。

■導入に至った背景

  • 会社規模・事業規模の拡大、新規事業の増加につれて、情報システム部門の負担が増え、スピード感のある対応が難しくなっていた
  • 現場主導でDXを推進してもらいたいが、課題分析や業務プロセスの改善経験が少なく実践ができていない状態であった

そこで、事業部門が自分たちの力で、現状を分析し課題を洗い出し業務プロセスを構築・改革していくため、業務を可視化して課題を抽出するまでの「企画」と、その後のプロジェクトを遂行するための「プロジェクトマネジメント」の2つを知識・ノウハウとして身につけるための研修を実施しました。

その結果として、「業務プロセスの構築に向けた課題分析の仕方やプロジェクトの推進方法など、新たな気づきを得ることができた」「複数の部署のメンバーが一緒になって研修を受講したので、参加者間の「共通言語」ができた」といった成果を実感いただいています。


今回の研修を受けた方々をはじめ、現場自ら業務プロセスを構築できるように意識を変えていくことで、生産性向上や既存業務の改革、新規事業の創出に会社全体で取り組んでいらっしゃいます。


本事例について詳しく知りたい方はぜひこちらのページをご覧ください。
https://www.linpress.co.jp/case/07


課題発見・解決に活用できる「フレーム」のご紹介

このフレームでは、以下の8ステップで、解決すべき課題の発見から解決までを検討していきます。

  • STEP1:背景の確認・共有化
  • STEP2:現状の調査・分析
  • STEP3:現状の診断
  • STEP4:新システム課題の統合化
  • STEP5:ジョブ・アーキテクチャ
  • STEP6:システム・アーキテクチャ
  • STEP7:開発マスタプランの策定
  • STEP8:新システム構想の報告と承認


こちらの資料では、この課題発見・解決に役立つフレームの全体像や具体的な進め方をご紹介しております。ぜひ、ご覧ください。

​​​​​​​


▼課題発見・解決に役立つフレームを見るhttps://www.linpress.co.jp/download/canvas-sa



関連コンテンツ

  ITシステム内製化の動きが活発に!ユーザ企業が内製化するメリットとは 株式会社リンプレスが提供するお役立ち資料です。 IT人材育成に関する情報を無料でダウンロードしていただけます。 資料では当社が提供するプロジェクトリーダー研修やIT企画研修などをご案内しております。 株式会社リンプレス


  デジタルシフトへの第一歩!失敗しない業務可視化のコツ 株式会社リンプレスが提供するお役立ち資料です。 IT人材育成に関する情報を無料でダウンロードしていただけます。 資料では当社が提供するプロジェクトリーダー研修やIT企画研修などをご案内しております。 株式会社リンプレス




森田 晋之介
森田 晋之介
株式会社リンプレス セールス&マーケティング事業部  株式会社リンクレアに営業職として入社。リンプレス入社後はインサイドセールスやマーケティングを担当し、現在は主にマーケティングを担当。

関連記事