なぜDXで「内製化」が重要?いま、多くの企業が内製化に移行する理由とは
多くの企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現に向けて様々な取り組みを進める中、近年キーワードとして「内製化」が注目されています。
実際に経済産業省が発表した『DXレポート2』でも、”今後ユーザー企業においてDXが進展すると、従来の受託開発の開発規模や案件数が減少するとともに、アジャイル開発による内製化が主流になると考えられる”と示されています。
今回の記事では、これからシステム内製化を目指す企業に向けて、DXに内製化が重要である理由やどのように内製化を実現していくのか、事例をふまえて解説していきます。
リンプレスでは内製化の実現に役立つ資料を公開しています。ぜひ、ご覧ください。⇒『ITシステム内製化の動きが活発に!ユーザ企業が内製化するメリットとは』
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なぜ、DXにおいて「内製化」が重要なのか?
これまで日本企業の多くは社内システムの開発から保守・運用までをITベンダに外注してきました。
そのため、たとえ軽微なシステム改修であっても都度依頼をかける必要があり、要件や仕様の確定に時間を要していました。
それでもDX以前の単なるデジタル化・IT化の目的はあくまで”業務効率化や業務改善”なので、目的を達成するのであればこのやり方でも特段問題はありませんでした。
しかし、DXは”企業が外部環境の変化やビジネス要求にできるだけ迅速に対応し、データやデジタル技術を活用して製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや組織、プロセス、企業文化・風土を変革すること”と定義されます。
そして、その目的は”新しい価値を提供し、競争上の優位性を確立すること”です。
つまり、DXを実現するためには”スピード”と”柔軟性”が重要であり、これを実現する手段として「内製化」が最適だということです。
このような背景から、大手企業を中心に「内製化」を進める企業が増加しています。
実際にIPA(情報処理推進機構)が発表した調査では、従業員数1,001名以上の企業の6割が内製化を進めていると報告されています。
たとえば、大手アパレル企業では高い給与水準を提示することで、優秀なエンジニアを中途採用していることが有名です。
また、ある大手小売企業では新たにシステム子会社を設立し、コンサルティングファームや大手ITベンダ出身者を数百名規模で受け入れていたりします。
内製化のメリットとは
内製化のメリットは”スピード”と”柔軟性”だけではありません。
”社内にナレッジやノウハウが蓄積される”ことや、”システムのブラックボックス化を防げる”こと、”開発にかかるコスト削減”なども十分に期待できます。
社内で内製化できる体制を構築することで、自社のニーズや問題点を正しく把握し、環境変化にも素早く対応できるだけでなく、その先のDX実現に向けたノウハウの蓄積、社員のリテラシー向上など多くのメリットを享受することができます。
日本企業が内製化するべきフェーズとは?どこまで内製化するのか?
このように様々な効果が見込める内製化ですが、その全てを内製化できている企業は多くありません。
先程のデータでも「プログラミング工程を含めた全体工程の内製化を進めている」と回答した企業は全体の約2割程度に過ぎず、多くの企業が重要と考えているのが「企画・設計など上流の内製化」であることが明らかになっています。
これまで外注に頼ってきた企業がいきなりシステム開発の全てを内製化することは難しいでしょう。今後内製化を進めていくのであれば、まずは上流フェーズの内製化から着手することがおすすめです。
さらにその後はIT部門やベンダの力を借りながら、ローコード/ノーコードツール等を活用し、現場主導で簡単なアプリケーションやシステムを構築することも可能となります。このように徐々に内製化を軌道に乗せていくことが理想的です。
『DXレポート』には以下のような指摘があります。
我が国においては、要件定義から請負契約を締結するケースも少なくない。これは、何を開発するかをベンダー企業に決めてくれと言っていることと同じである。
これはつまり、開発工程の一部をITベンダに外注するとしても、IT化の企画を立てたり、要件を確定するのはユーザ企業自身であることを示しています。
DXの最終ゴールはビジネス変革だからこそ、外部に任せるのではなく、現場やビジネスサイドで上流工程の内製化を進めていく必要があるでしょう。
内製化の障壁・課題
ここまで内製化の重要性やメリットについて解説してきましたが、内製化を阻む障壁・課題として”人材不足”や、人材がいたとしても”スキル・経験不足”などが挙げられます。
日本のIT人材の多くはIT企業に属しているだけではなく、ITベンダ自体もDXプロジェクトの増加によって積極的な採用を進めているため、優秀な人材の獲得競争が非常に激しい時代になっています。
先程の例のように大手企業であれば、潤沢な資金や組織体制をもとに獲得競争に勝てるかもしれませんが、その他多くの企業では自社に必要なスキル・経験を持った人材を確保・採用すること自体が厳しい現状があります。
そこでDXの先行企業が取り組んでいるのが「内部人材の育成」です。
大手企業中心に取り組みが始まる「内部人材の育成」
内部人材の育成には大きく2つの取り組みがあります。
①IT部門の強化(事業部門→IT部門へ異動)
②事業部門の人材育成(IT企画力強化)
①IT部門の強化(事業部門→IT部門へ異動)
近年、事業部門や管理部門などからIT部門へ異動し、デジタル・IT化の企画など上流フェーズに参画させるという企業が増えています。
こういった人材は自社のビジネスや業務を理解しているため、上流工程やプロジェクトマネジメント、デジタル技術に関する知識やスキルを身に着けて即戦力となることが期待されています。
DXにおいて重要な、”業務”と”IT”が密接に結びついた取り組みが行えることもメリットの一つです。
ただ、できるだけ早く即戦力として活躍を求められる一方で、このようなIT部門への異動者を育成する場が少ないことが課題として挙げられます。
②事業部門の人材育成(IT企画力強化)
もう一つの取り組みが「事業部門の人材育成」です。
なかでも最近、当社へのご相談テーマで特に多いのが「事業部門が自らデジタル・IT化の企画を立てられるようになるにはどうすれば良いか?」というものです。
最近では”デジタルの民主化”という言葉も耳にするようになりましたが、自社の業務やビジネスに精通した事業部門が自らの業務を自らの手でデジタル化することで本格的なDX実現が達成されると言われています。
実際に、経産省とIPAが発表した「DX推進スキル標準」においても、DX推進の中心的役割を果たす人材として「データサイエンティスト」や「ソフトウェアエンジニア」などと並んで、ビジネスや業務の視点から変革をリードする「ビジネスアーキテクト」が重要であることが示されています。
①のような人材の異動だけではなく、事業部門主導でDXを推進するために、事業部門に対するIT企画力強化の取り組みを実施することも必要となるでしょう。
リンプレスではこの①②の取り組みに対応した2つの研修を提供しています。ぜひご覧ください。
①IT部門の強化(事業部門→IT部門へ)に取り組む企業にオススメ
IT部門への異動者向け研修「Linpress Academy」
デジタル・ITの基礎知識とITプロジェクトの全体像を学べる3ヶ月間全6回コースの研修プログラムです。
▼詳細を見る
https://www.linpress.co.jp/linpress_academy
②事業部門のIT企画力強化にオススメ
実践・体験を通してIT企画のプロセスを学べる「IT企画研修」
▼詳細を見る
https://www.linpress.co.jp/lp_sa
また、DXを実行するうえで必要なIT企画やプロジェクトマネジメント、デジタル技術など幅広い研修メニューをご提供しています。あわせてご覧ください。
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https://www.linpress.co.jp/service/dx-hrd
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