
日本のデジタル競争力は過去最低に -なぜ日本企業のDXは進まないのか-
多くの企業でDX・デジタル化に対する意識が高まる一方で、まだまだ思うようにDX実現に向けた取り組みが進まないといった企業が多いのではないでしょうか。
今回の記事では日本企業が抱えるDX推進の課題とその解決策についてご紹介していきます。
アフターコロナに向けた日本企業の最新IT動向
2021年は新たに「デジタル庁」の開庁や「デジタルの日」が創設されるなど、官民一体となってDX・デジタル化に着手する動きが進みましたが、2022年はこの取り組みがさらに加速すると予測されています。
実際に、一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)が発表した「企業IT動向調査報告書2022」によると、企業のIT投資状況はようやくコロナ禍前の水準へ回復してきていると報告されています。
出典:一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会(2022)「企業IT動向調査2022」
具体的にみると、全体のうち約4割が2021年度よりも2022年度のIT予算が「増加する」と予測し、「減少する」と回答した企業は約1割に留まっており、多くの企業がDXの実現に向けたIT投資に積極的になっていることが分かります。
一方、同調査では現在の日本企業のDX推進状況とDX推進上の課題について以下のように発表しています。
DXが推進できている企業は4社に1社
DX推進上の最大の課題は人材・スキルの不足
出典:一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会(2022)「企業IT動向調査2022」
これらの結果を総合すると、DXに向けた意識や投資意欲は高まっているものの、実際にDXを推進する人材やスキルが不足していると考えられます。
世界デジタル競争力ランキングで明らかになった日本企業の共通課題
日本企業における最大の課題「デジタル人材・スキルの不足」は別のデータでも顕著に表れています。
スイスの国際経営開発研究所(IMD:International Institute for Management Development)が毎年公表している「世界デジタル競争力ランキング2021」によると、日本のデジタル競争力は全64ヶ国中28位で年々低下傾向かつ過去最低の順位となっています。
1位となったアメリカはもとより、同じアジア圏のシンガポール(5位)や韓国(12位)、中国(15位)にも引き離される結果となり、日本はデジタル分野に関して未だ先進国とは言えない現状にあります。
このランキングは「知識」「技術」「将来への備え」といった3項目とその下位に設定された計52の基準・指標に基づいて算出されます。
出典:総務省(2021)「ポストコロナの経済再生に向けたデジタル活用に関する調査研究」
日本のデジタル競争力が低迷の一途をたどるその要因の1つとなるのが「人材」面での競争力の低さによるものでした。
特に「デジタル/技術スキル(を持った人材の割合)」は全64ヶ国中62位となり、総合順位を大きく引き下げる要因となっています。
この結果からも日本企業のDX・デジタル化が思うように進まない原因は「デジタル人材・スキルの不足」にあると考えられます。
デジタル人材に必要なスキルとは
では、DXを推進するデジタル人材に必要なスキルはどのようなものがあるでしょうか。
前述の企業IT動向調査2022では、DX推進に重要なスキルとして「DXやデジタルビジネスの企画・立案・推進」や「データの扱い方や活用の企画・立案・推進」という回答がいずれも7割を超える結果となりました。
出典:一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会(2022)「企業IT動向調査2022」
特にデータの扱い方や活用については、前述の世界デジタル競争力ランキングにおいても日本は全64ヶ国中63位という結果が出ており、スキル習得に向けた取り組みが急務と言えます。
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まとめ
今回は2つの調査結果から、企業がDXを推進するためには「デジタル人材・スキルの不足」を解消する必要があると明らかになりました。
DXの実現に向けてこれから取り組む企業や、何から手を付けるべきか悩んでいる企業は、まず人材に対する適切な投資(人材育成)から実施を検討してみてはいかがでしょうか。
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