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DXリテラシーとは?DX推進に必要な知識と5つの能力を解説

「DXを推進するために、自社人材に何を学ばせればよいか」

DXという言葉が広く浸透し、各企業が様々の取り組みを行う中、最近特にこのような質問を受ける機会が増えてきました。

今回は、DXという言葉の意味を改めて整理しつつ、DXに取り組む上で必要なDXリテラシーと、DXを強く推し進めるために必要なDX推進力についてご紹介します。

目次[非表示]

  1. 1.DXという言葉の捉え方と必要なリテラシー
  2. 2.DX推進力とは
    1. 2.1.DXリテラシー標準+DXを推進するための知識
    2. 2.2.DXを推進するための5つの能力
  3. 3.まとめ

DXという言葉の捉え方と必要なリテラシー

DX自体は普段使いのビジネス用語として使われるようになってきましたが、DX自体の定義、解釈は様々であり、これが正解といった絶対的な解釈があるわけではありません。

経済産業省では、このDXを次のように定義しています。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること

※出所: 経済産業省「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)Ver1.0」

また、DXレポート2ではDXの具体的な取り組みを3つの段階に分解することで、自社の現状を踏まえ、DXを推進する上で何に取り組むべきかを明示しています。

※出所: 経済産業省「DXレポート2」(令和2年12月)


これらの内容からDXを端的に捉えれば、各企業が、
A領域
デジタル技術をフルに活用し、今までにない新しいビジネスの仕組み/仕掛けを創造する
デジタルトランスフォーメーション
B領域
デジタル化された知的資産や業務デジタル技術を使って活用(システム化)する
デジタライゼーション
C領域
自社の知的資産(データやノウハウ)や人手の業務をデジタル化する
デジタイゼーション

のいずれかの領域に取り組み、これを実現し、ビジネスに好影響をもたらすことであるということができます。

また同レポートでは、この3つの段階は、必ずしも、C→Aの順に実施検討するものではないとも伝えています。


この考えにそって、仮に自社の取り組みをC領域とした場合、
それに取り組む人材には、顧客価値の創造やビジネスモデルの変革まで求める必要はない
ということなります。
つまり、何に取り組むかが明確でなければ、人材への要求も決まらないということです。


これを踏まえたうえで本ブログでは、A領域(デジタルトランスフォーメーション)を目指す企業に必要なDXリテラシーについて紹介します。



DXリテラシー標準
下の図は、令和4年3月に経済産業省が取りまとめた「DXリテラシー標準 V1.0 」に記載されたDXリテラシー標準の全体像です。 


※出所: 経済産業省「DXリテラシー標準」(令和4年3月)

経済産業省より示されたこのDXリテラシー標準は、その策定目的にもあるように、

働き手一人ひとりが「DXリテラシー」を身につけることで、DXを自分事ととらえ、変革に向けて行動できるようになる

ためのものであり、全社的に啓蒙すべきマインドや知識習得について定義したものとなっています。

Why
なぜDXが必要か
What
DXを実現するために
どのようなデータやデジタル技術があるのか
How
データやデジタル技術をどのように活用すれば良いのか、
そのとき何に留意すべきか
マインド
スタンス
DX下における意識、姿勢、行動の定義

これらは、社内にDXを浸透させるために必要なリテラシーと言えますが、DXを強く推し進めるDX推進者には、これに加え、DXを推進するための知識とDXを推進するための能力が求められます。



DX推進力とは

DX推進力は、以下のように考えることができます。


DXリテラシー標準+DXを推進するための知識

DXリテラシー標準、DXを推進するための知識は、ビジネスマンに要求されるITリテラシーの内容と重複する部分があるので、情報処理推進機構(IPA)が、実施しているITパスポート試験のシラバスに照らし合わせて紹介します。

※出所: 独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)
「情報処理試験 ITパスポート試験 シラバス Ver.6.0」(令和3年10月)をもとに弊社にて作図*

*ITパスポートのシラバスに定義されている項目毎に、リンプレスなりに習得すべき知識と習得しておいた方が良い知識を判断したものであり、IPAが公式に提示しているものではありません。

このように整理すると、DXリテラシー標準では、ストラテジ系、マネジメント系において習得すべき知識は少ないですが、DX推進者にはストラテジ系、マネジメント系の領域も習得すべき知識として広く求められていることが分かります。
つまり、同じリテラシーであっても知識の幅と深さが要求されるのです。

A領域(デジタルトランスフォーメーション)に取り組むユーザー企業では、業務部門出身のDX推進者のリテラシー向上の一環として、自学自習によるITパスポート取得を奨励する企業も増えているようです。
ただし、これはあくまでもDX推進のための知識(技術要素や推進するためにやるべきこと)の習得であり、DXの推進を下支えするものに過ぎません。

次に、DX推進者に必要なDXを推進するための能力とはどういったものかをご紹介します。

DXを推進するための5つの能力

DXの推進は多くの場合、プロジェクト活動であるため、DXを推進するための能力を一人で全て身に着ける必要はありません。
DXを推進するための能力とは、DX推進プロジェクトにおいて必要な機能です。
DX推進プロジェクトにとって大切なことは、一人がすべてをできることではなく、その機能を任せることができる人材(その機能を実現する能力を保有した人材)をプロジェクトにアサインすることです。

① デジタルを活用した新しいビジネスを発想し、戦略、企画に落とし込む力
② DX推進プロジェクトをマネジメントする力
③ デジタル化されたデータをビジネスに活用する力
④ ビジネスにあったデジタル技術を採択し、システム(サービス)をデザインする力
⑤ デザインをもとにシステム(サービス)を実現し、新しいビジネス(価値)を創造する力


まとめ

今回は、DXに取り組む企業人材に必要なDXリテラシーと、DX推進力をご紹介しました。

DXへの取り組みは、あくまでも手段であり、真の目的は、デジタルの力を活用したビジネス変革(ビジネストランスフォーメーション:BX)にあります。

ビジネスを変革をする上で、自社に不足しているリテラシー/能力を分析・理解し、DX戦略と足並みをそろえながら、組織的にDX人材育成/調達計画を立案し、これを実行していくことが重要です。



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塚本 公士
塚本 公士
株式会社リンプレス 取締役 イノベーション事業部長 長年、プロジェクトリーダーとして金融業や製造業など幅広くエンタープライズ系システム構築プロジェクトを担当。 現在は主にプロジェクトリーダー研修を担当し、長年の開発経験を通じて得た実務に役立つ知識とテクニックをお伝えしています。

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