DX時代のデジタル・IT部門の役割とは
こんにちは。
リンプレスの三宮です。
今年度に入り、DXのための組織作りや社員の育成をテーマにご相談をいただくことが増えてきました。
DXをどのように進めるか検討する中で、IT部門は今までの基幹システムや社内システムの保守・運用に多くの時間を割かれているため現状の業務で手一杯といった企業も多いようです。
今回は「DX時代のデジタル・IT部門の役割」をテーマに、どのようにデジタル・IT部門の人材を確保していくのか、そしてこれからのIT部門に期待されている役割についてお話したいと思います。
リンプレスではIT部門主導のデジタル化実現に役立つ資料を公開しています。ぜひ、ご覧ください。⇒『DX実現に向けたアプローチと、IT部門の強化に向けた取り組み(無料)』
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DXに取り組んでいる企業の割合
昨今はデジタルトランスフォーメーションというキーワードを見ない日は無いくらいになってきましたし、企業の中期経営計画にも必ずと言っていいほどDXという言葉を目にします。
さて、今、実際にDXに取り組んでいる企業がどれくらいあるでしょうか。
出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「DX白書2023」
IPAが公開している「DX白書2023」のデータによると、DXに取り組んでいる企業の割合は69.3%と年々増加傾向にあります。
ただし、米国企業の77.9%にはまだ及んでいません。特に全社規模での戦略に基づいた取り組み(青とオレンジ)の差が大きいことが分かります。
日本企業がDXを加速させていくためには、組織的な取り組みが求められると言えるのではないでしょうか。
DX推進組織の3つのパターン
DXを進めるためにこの3つのパターンで組織を作っているケースが増えています。
今回のブログではこの中で、IT部門主導型の重要性についてお話したいと思います。
なぜIT部門主導型が重要なのか?
経済産業省がDXレポート2の「DXパターンの策定 DXの構造」の中でDXを3つの異なる段階に分解しています。
その中で、デジタルトランスフォーメーション(DX)の定義を『組織横断/全体の業務・製造プロセスのデジタル化、“顧客起点の価値創出”のための事業やビジネスモデルの変革』としています。ただ、まだまだそこまで一気に到達出来ない企業も多いのではないでしょうか。
経済産業省は『必ずしも下から順に実施検討するものではない』と言っていますが、本当に上から実行できるものでしょうか。大手企業は今までIT投資を十分行ってきて、アナログからのデータ化やプロセスのデジタル化を実行してきました。そういった企業は上から検討が出来ます。むしろ今まで下から検討してきているために上のDXを検討できるわけです。
しかし、そうではない企業は急に上から実行することは難しいのではないでしょうか。下からの検討をしない限り、データを集める仕組みや活用する仕組みがないままに新しいビジネスモデルを検討するのは相当なチェンレジになります。
まずは下から順番に取り組んでいき、最終的には真のDXに取り組むといった企業が多いのが現状です。そこで、重要な役割を担っているのが【IT部門】です。
アナログからデジタルデータ化や特にレガシーシステムの再構築にはIT部門の力が非常に重要です。
過去の基幹システムの構築から日々行っている運用を通して、IT部門の知識を活かす必要があります。
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IT部門の人材確保の必要性
今までの基幹システムの運用以外に新たな基幹システムの構築、デジタイゼーション、デジタライゼーションに取り組むということは今までよりも圧倒的に業務量が増えてきます。今の人員だけで取り組むのは到底難しいのではないでしょうか。
一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)が企業IT動向調査2023(2022年度調査)を公表しています。
その調査結果によると、IT部門の要員数は年々増加していますが、特にIT組織(IT部門や情報子会社)において今後重視される人材は「運用管理・運用担当」「インフラ・ネットワーク担当」といった従来のIT組織が担ってきた役割から、「IT戦略担当」「DX推進担当」「データ分析担当」といったDX推進に関わる人材タイプへとシフトしていくことが分かります。
出典:一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会(JUAS) 「企業IT動向調査報告書2023」
IT部門の人材不足への対応策としては、「不足スキルを持った人材の採用」が48.7%、「外部リソースの活用」が41.2%と高く、続いて「既存社員の再教育(リスキリング)」が28.9%、「既存社員の IT 部門内でのローテーション」が 22.2%、「既存社員の部門間でのローテーション」が 17.8%となっています。
しかし、人材採用についてはIT企業やユーザー企業ともに人材確保のために中途採用を強化しているため、なかなか思うように採用が出来ないのが現状です。
そこで今、注目されているのは業務部門からIT部門への人員移動です。
自社の業務やビジネスに精通した社員をIT部門に異動させて、業務知識を武器にDXを推進していく人材を確保することです。
ただ、異動した人材にはそのまま即戦力になるわけではなく、まずはITの基礎知識を学ばせることが必要です。
当社のお客様であるコープデリ生活協同組合連合会(以下、コープデリ連合会)様では、これまで宅配センターや店舗業務を担当してきた職員の方を新たに情報システム部門へ異動させる取り組みを行っています。
そのようなIT未経験の方に対してITの基礎知識やITプロジェクトはどのように推進していくかを理解してもらうため、リンプレスが提供するIT基礎トレーニング「Linpress Academy」を活用いただきました。
関連事例:コープデリ連合会(https://www.linpress.co.jp/case/03)
いままでとこれからのIT部門の役割の違いとは?
これからのIT部門は要件の定義ではなく、ユーザーの要求をしっかりと把握し、ユーザー部門が実現したいこと(目的)を定義する必要があります。
そして、今後増えるであろうプロジェクトを効率よくマネジメントし、失敗しないプロジェクト運営をIT部門は行わなければなりません。今までの経験や新しいスキルを身に着け強いプロジェクトリーダーを育成していくのも重要です。
そして、新しいテクノロジーを取り入れること、さらには部門を超えた全社的IT人材の育成が求められています。企業がDXを実現するためにはIT部門だけではなく、全社的にITスキルを高めていくことが重要です。
今後IT組織が重視する人材タイプが現状から大きく変化するにあたって、すでにIT人材の育成方針や教育カリキュラムの変更を実施する企業も増えてきています。
出典:一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会(JUAS) 「企業IT動向調査報告書2023」
<関連資料>
具体的にはどういったことをやるの?
①要求分析
今までのIT部門はユーザーからの要件をヒアリングして、ITシステムを開発・導入・運用してきました。ただ、これからのIT部門には要求をしっかり定義していく必要があります。そうでなければユーザーが求めているDXを実現することができません。DXはあくまでもビジネスの変革にデジタルを活用することだからです。
そういった意味でもIT部門はより自社の業務を押さえておく必要もあります。
前述のコープデリ連合会様のように、業務部門からの異動者は自社の業務やビジネス知識を活かしてこの役割を推進していくことができるでしょう。
②IT開発・導入運用
次はいよいよIT・デジタルの導入フェーズになります。ITプロジェクトにはテクノロジーの課題より、マネジメントやプロジェクトにかかわる人に関する問題がたくさん出てきます。それらをいかに解決してプロジェクトを成功させるのかという重要なミッションもあります。
特にDXにはプロジェクトにかかわるステークホルダーも多く、また、マルチベンダーでの開発も当たり前に行われます。そういった“人”を一つのチームとしてまとめながら、最大の成果を出していかなくてはいけません。
③新テクノロジー
IT部門は今まで外部ベンダーとのコネクションや新しいテクノロジーの情報をキャッチする土台をもっています。それを最大限活用して新しいデジタル技術を導入するための情報や検証を行うことも重要です。新しいテクノロジーやサービスが世の中に溢れている今、自社に一番適したソリューションを導入するためのテクノロジーに関する知識も必要です。
④全社的IT人材育成
特に最近IT部門から相談が多いのが、DXを推進するためにユーザー部門(全社)にITリテラシーの研修を実施したいという相談が寄せられています。IT・デジタルは今までIT部門に任せっきりにしていたものの、DXを実現するためにはビジネスサイドにもスキルや知識が必要になってきています。そのためにもIT部門主導で全社の育成を実施していく必要があります。
まとめ
DXを実現するためのIT部門の役割は多岐にわたります。基幹システムの開発・運用以外にもユーザー部門とのデジタル化プロジェクトを進めるためにIT部門はさら更にスキルアップが求められます。
DXがデジタルでビジネス変革を実現することである以上、IT部門はITスキル以外のビジネススキル(業務知識)も求められます。IT部門はこういったスキルを持つことにより更に強い部門として全社を引っ張っていくことがミッションになってくるのではないでしょうか。
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●プログラム
Day-1:IT基礎
Day-2:DX関連技術
Day-3:ITシステム構築プロセス基礎
Day-4:IT企画プロセス
Day-5:伝わるデザイン・図解化テクニック(PowerPoint)
Day-6:デザイン思考ワークショップ
●主な対象者: IT部門に異動になった方
ユーザ部門でIT推進の役割を担っている方
ユーザ部門でITリテラシーを向上させたい方
※セミナー詳細ページはこちら
https://www.linpress.co.jp/linpress_academy
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