
ユーザー視点とは?デザイン思考における重要性や身につける方法を解説
商品やサービスの開発・改善に取り組んでいるものの、「ユーザーが本当に求めているものが分からない」「提供側の思い込みに偏っていないか不安」と感じている方も多いのではないでしょうか。ユーザーにとって価値のある商品やサービスを生み出すには、「ユーザー視点」が重要です。
本記事では、ユーザー視点とビジネス視点との違い、デザイン思考との関係、ユーザー視点を身につけて組織に定着させる方法などについて解説します。
DX研修を実際に行った企業の事例を知りたい方は「導入事例:第一三共株式会社様」「導入事例:株式会社八十二銀行様」「導入事例:株式会社ワークマン様」こちらのページをご覧ください。
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目次[非表示]
- ・「ユーザー視点」とは?
- ・ユーザー視点とデザイン思考の関係
- ・共感|ユーザーの行動や感情を理解する
- ・問題定義|ユーザーが抱える本質的な課題を整理する
- ・創造|ユーザーの課題を解決するアイデアを考える
- ・プロトタイプ|アイデアを具体的な形にする
- ・テスト|ユーザーの反応をもとに改善する
- ・ユーザー視点が不足した開発で起こりやすい問題
- ・ユーザー視点を取り入れたサービス・商材の事例
- ・ユーザー視点を理解するための代表的な手法
- ・ユーザー視点を身につけるためのコツ
- ・ユーザー視点を組織に定着させるためのポイント
- ・ユーザーに関する情報を部門間で共有する
- ・開発部門だけでなく営業やカスタマーサポートも参加する
- ・ユーザー視点に基づく判断基準を設ける
- ・失敗を許容しながら検証を繰り返す
- ・デザイン思考を体系的に学ぶ機会を設ける
- ・自治体DX人材の育成なら「リンプレス」
- ・ユーザー視点を身につけるならデザイン思考研修
- ・まとめ
「ユーザー視点」とは?
ユーザー視点とは、ユーザーの立場から課題や価値を考えることです。
ユーザーが何を求めていて、利用中に何を感じるのか、といったニーズや行動を客観的に捉える際に用いられます。
提供する側にとっては伝えたい情報や価値ある情報であっても、ユーザーからするとそれが欲しい情報とは限りません。また、提供側は、分かりやすく使いやすいと考えていても、ユーザーもまたそう感じるとは限りません。常に、ユーザーの視点に立ち情報を設計する必要があります。
ビジネス視点との違い
ユーザー視点は、利用者の立場から使いやすさや価値などを考えることであるのに対し、ビジネス視点は、企業が利益を出し目標を達成できるかといった、企業の成果という観点から物事を考えることです。
ビジネスの成功には必要不可欠な視点ですが、その一方でビジネス視点のみを重視しすぎると、ユーザーの離脱につながる可能性があります。
ユーザー目線との違い
ユーザー視点と混同されやすい言葉として「ユーザー目線」があります。ユーザー視点は、ユーザーの立場に立って考えることを指すのに対し、ユーザー目線はユーザーの気持ちに寄り添い、心地よいと感じるか、困らないかといった感覚を合わせることを指します。
ユーザー視点が「ユーザーと同じ場所に座る」ことだとすると、ユーザー目線は「ユーザーと同じ景色を見る」ことにあたるでしょう。ユーザーの視点に立つというよりも、感覚に共感するという微妙なニュアンスの違いがあります。
DX推進にもユーザー視点が求められる理由
ユーザー視点は、DX推進の目的がデジタル化そのものになるのを防ぎ、現場で実際に使われるシステムを構築するために必要不可欠です。業務効率化とユーザー体験を両立させ、新たな顧客価値やビジネスモデルを生み出すためにも、ユーザー視点を持つことは非常に重要です。
最新のツールやシステムを導入したとしても、利用者にとって価値あるものや使いやすいものでなければ、売れる商品やサービスにはつながりません。ユーザーのニーズや立場に合った情報や商品を提供することで、DXの取り組みを実際の価値創出につなげることができます。
ユーザー視点とデザイン思考の関係
ユーザー視点は、デザイン思考の土台となる考え方です。ユーザーを深く理解し、その理解を具体的な改善につなげるのがデザイン思考です。
デザイン思考は、以下の5つのプロセスで進めます。
共感|ユーザーの行動や感情を理解する
問題定義|ユーザーが抱える本質的な課題を整理する
創造|ユーザーの課題を解決するアイデアを考える
プロトタイプ|アイデアを具体的な形にする
テスト|ユーザーの反応をもとに改善する
それぞれ、詳しく解説します。
デザイン思考については、以下の記事でも詳しく解説しています。
デザイン思考とは?業務改善に役立つ思考法を組織に定着させる方法を解説
共感|ユーザーの行動や感情を理解する
デザイン思考は、まずユーザーの行動や感情、困りごとを理解するところから始めます。
ユーザーにインタビューやアンケートを実施したり、実際に利用している姿を観察することが効果的です。ユーザーから得た意見には思い込みを捨てて向き合い、同じ視点で物事を捉えていきます。
問題定義|ユーザーが抱える本質的な課題を整理する
ユーザーへの共感を通じて課題やニーズが浮き彫りになった後は、何に注力し何を解決するべきなのかを定義づけていきます。
ユーザーの本音から、顕在的な課題やニーズだけでなく、潜在的な部分も読み取り、目的や方向性などを設定していきます。
創造|ユーザーの課題を解決するアイデアを考える
次に、定義された問題に対して自由に意見を出し合い、具体的にどう解決するかを考えます。
自由な発想や多角的な視点から生み出されるアイデアもあるため、ブレインストーミングなどのアイデア創出の方法を活用し、可能な限り多くのアイデアを創造していきます。
プロトタイプ|アイデアを具体的な形にする
さまざまなアイデアを創造したら、次にプロトタイプを作ってアイデアを具現化し、効果や機能性、実現性について検討していきます。
一つひとつを完璧に作ろうとしすぎず、まずは作ってみることが大切です。この段階では、なるべくコストや製作時間をかけないようにしましょう。
テスト|ユーザーの反応をもとに改善する
プロトタイプが完成したら、実際にユーザーに体験してもらい、フィードバックを受け改善点を探っていきます。
ユーザーテストを実施することで、定義した課題が正しかったか、ユーザーの課題を解決できているかどうかも判断します。最初の共感のフェーズで見えてこなかった、新たな視点や課題を発見できる可能性もあります。
ユーザー視点が不足した開発で起こりやすい問題
ユーザー視点が不足した開発で起こりやすい問題は、以下の通りです。
高機能でも使いにくいサービスになる
開発者の常識をユーザーにも当てはめてしまう
実際には必要とされていない機能を追加してしまう
利用場面や利用環境を見落としてしまう
リリース後に大幅な修正が必要になる
ユーザーとのすれ違いや余計な手間を生まないためにも、ユーザー視点は欠かせない視点です。
ユーザー視点を取り入れたサービス・商材の事例
実際にユーザー視点を取り入れて成功した事例を紹介します。
アキレス株式会社から2003年に発売された、子供用運動靴「瞬足」。この商品は、開発担当者が実際に子供たちが走る運動場を視察し、開発されました。
運動会の徒競走で、カーブで転倒したりバランスを崩したりすることが多い子供たちを見て、「転ばずに最後まで力いっぱい走らせてあげたい」と思ったことが開発のきっかけでした。
日本の小学校の多くは、左回りのトラックであることに着目し、左回りに特化した左右非対称ソールというアイデアを商品化したのが、この「瞬足」です。その結果「瞬足」は、ピーク時には年間650万足を売り上げ、2023年には累計販売8000万足を突破した超ロングセラー商品となりました。
参考:
ユーザー視点を理解するための代表的な手法
ユーザー視点を理解するための代表的な手法は、以下の5つです。
ユーザーインタビュー
アンケート調査
カスタマージャーニーマップ
共感マップ
データ分析
それぞれについて、詳しく紹介します。
ユーザーインタビュー
ユーザーインタビューとは、商品やサービスの利用者に直接質問し、利用時の行動や考え、困りごとを詳しく聞き取る調査手法です。「なぜ利用したのか」「どの場面で不便を感じたのか」「普段はどのように対処しているのか」などを質問し、回答に応じてさらに掘り下げます。
アンケートの数値だけでは捉えにくい感情や行動の背景を把握できるため、ユーザー自身も明確に言葉にしていない潜在的なニーズや、商品・サービスを改善するヒントの発見につながります。
アンケート調査
アンケート調査とは、複数のユーザーに同じ質問を行い、回答の傾向を数値で把握する手法です。満足度や利用頻度、不満を感じている箇所などについて質問し、選択式・段階評価・自由記述などを組み合わせて実施します。
多くのユーザーから回答を集められるため、「どのような層が利用をしているか」「どの機能への不満が多いか」など、全体の傾向を把握したい場合に適しています。また、年代や利用歴などの属性ごとに回答を比較することで、ユーザー層によるニーズの違いも確認できます。
カスタマージャーニーマップ
カスタマージャーニーマップとは、ユーザーがサービスの利用に至るまでのプロセスを可視化し、マップにしたもののことです。
作成する際は、「認知」「情報収集」「比較検討」「購入」などの段階に分け、それぞれの場面でユーザーが何をしているか、どのような不安を感じているかなどを書き出します。
各段階におけるユーザーの行動や心理を可視化することで、見込み顧客の心理状態を把握し、ベストなタイミングと方法でのアプローチにつながります。
共感マップ
共感マップとは、ある特定のユーザーの視点で、感情や思考を視覚的にマッピングする手法です。
「考えていること・感じていること」「発言・行動」「悩み」「得られるもの」などの項目に分けて整理します。単にユーザーの要望を聞き出すのではなく、その発言や行動の背景にある感情や動機まで考える点が特徴です。
ユーザーの考え方や課題などを深く理解し、サービス設計や改善の判断材料として役立ちます。
データ分析
データ分析とは、ユーザーのアクセスデータや利用データの収集・解析を行い、実際の行動から課題を見つける手法です。
例えばWebサイトであれば、閲覧数・滞在時間・離脱率・申し込み率などを確認します。ユーザーの実際の行動を客観的に把握できるため、担当者の感覚や一部の意見だけに頼らず、優先すべき課題の発見や改善に活かすことができます。
ただし、データだけでは行動の理由まではわかりません。インタビューやアンケートなどの定性調査と組み合わせることが大切です。
ユーザー視点を身につけるためのコツ
ここからは、ユーザー視点を身につけるための4つのコツをご紹介します。
自分をユーザーだと思い込まない
ユーザーの言葉だけでなく行動にも注目する
実際の利用環境を確認する
仮説と検証を繰り返す
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
自分をユーザーだと思い込まない
ユーザー視点を身につけるには、自分の感覚とユーザーの感覚を混同しないことが重要です。
サービスの提供者は、仕組みや目的などを理解しているため、初めて利用する人と同じ感覚で見ることが難しくなります。初心者やITに不慣れな人、既存ユーザーなど、異なる立場のユーザーを想定するようにしましょう。複数のユーザー像を考えることで、特定の人にしか使いやすくない設計になるのを防げます。
ユーザーの言葉だけでなく行動にも注目する
発言だけでなく実際の行動にも注目することが大切です。
ユーザーがどこで迷ったのか、なぜ操作を中断したのかなど、行動を観察し、「なぜその行動をしたのか」を繰り返し考えましょう。言葉と行動の両方を見ることで、表面的な意見だけでは分からない本質的な課題を見つけやすくなります。
実際の利用環境を確認する
使いやすいサービスを作るには、ユーザーが実際に利用する環境を確認する必要があります。
開発時には問題がなくても、利用する端末や場所、時間によっては使いにくさが生じる場合もあります。ユーザーがいつ、どこで、どの端末を使いどのような状況で利用するのかを、具体的に確認しましょう。
仮説と検証を繰り返す
仮説を立てて検証し、改善を繰り返すことも大切です。
一度ヒアリングをしただけでは、ユーザーの課題や要望を正確に把握できるとは限りません。社内のさまざまな部署から意見を集め、異なる接点から得た情報をもとに仮説と検証を繰り返すことで、担当者の思い込みに偏らないユーザー視点が実現できます。
ユーザー視点を組織に定着させるためのポイント
ユーザー視点を組織に定着させるには、以下の5つのポイントが大切です。
ユーザーに関する情報を部門間で共有する
開発部門だけでなく営業やカスタマーサポートも参加する
ユーザー視点に基づく判断基準を設ける
失敗を許容しながら検証を繰り返す
デザイン思考を体系的に学ぶ機会を設ける
それぞれのポイントについて、詳しく解説します。
ユーザーに関する情報を部門間で共有する
ユーザー視点を組織に定着させるには、顧客やユーザーの声を一部署にとどめず、全部門で共有することが大切です。
定例会議や共有ツールなどを活用し、ユーザーのデータを部門間で共有することで、連携が強化されユーザー起点の価値提供につながります。
開発部門だけでなく営業やカスタマーサポートも参加する
商品やサービスの企画・開発・改善を進める際は、開発部門だけでなく、営業やカスタマーサポートといったユーザーとコミュニケーションをとる部門の参加も欠かせません。
開発部門だけで進めてしまうと、技術的な観点が優先され、実際のユーザーの使いやすさや快適さとのズレが生じるおそれがあります。営業やカスタマーサポートなどは、直接ユーザーの生の声を聞く機会が多く、異なる知見を取り入れることで、開発側だけでは気付きにくいポイントに気付きやすくなります。
ユーザー視点に基づく判断基準を設ける
組織内の意思決定にユーザー視点を反映させるには、判断基準を明確にすることが重要です。
曖昧な基準だけでは、担当者によって判断や解釈が異なる場合があります。「ユーザーがスムーズに利用できるか」「負担は少ないか」など、ユーザー視点に基づいた基準を設けることで、担当者や部門が変わっても同じ判断を下すことが可能になります。
失敗を許容しながら検証を繰り返す
ユーザー視点を定着させるには、最初から正解を求めるのではなく、小さな失敗を許容しながら検証を繰り返すことが大切です。
十分に検討した案であっても、実際に提供すると思っていた通りの反応が返ってこない場合もあるでしょう。失敗を過度に避ける組織では、検証の繰り返しが行われにくく、結果としてユーザーのニーズに沿わない開発につながってしまう場合があります。
デザイン思考を体系的に学ぶ機会を設ける
組織全体にユーザー視点を定着させるには、デザイン思考を体系的に学ぶ機会を設けることも有効です。
一部の担当者だけが知識を持っていても、組織全体の共通認識にはなりません。研修やワークショップなどを通じて、デザイン思考の流れを学びましょう。共通の考え方や手法を身につけることで、部門を超えてユーザー視点を持った改善を進めやすくなります。
自治体DX人材の育成なら「リンプレス」
ユーザー視点を持てるDX人材を育成するには、以下のポイントを意識することが大切です。
・知識だけでなく実践を通じて学ぶ
講義でユーザー視点の考え方を学ぶだけでなく、ユーザーインタビューやカスタマージャーニーマップの設計などを研修に取り入れます。研修を通じてニーズの発見から解決策の立案、試作品の検証までを体験することで、現場で活用できる実践力を養えます。
・実際の業務課題をテーマに演習を行う
自社の商品やサービス、業務上の課題など、実務に近いテーマを用いて演習を行います。ユーザーが抱える課題を整理し、解決策を検討することで、研修で得た知識をDX推進の現場に応用する力を身につけられます。
・継続的に実践できる社内環境を整える
研修で学んだ内容を定着させるには、実務で継続的に実践できる環境を整えることも重要です。研修後に改善案を実行する機会や、成果を共有して振り返る場を設けることで、仮説と検証を繰り返せる人材を育成できます。
ユーザー視点を身につけるならデザイン思考研修
ユーザー視点を身につけるには、デザイン思考を体系的かつ実践的に学べる研修の活用が有効です。
ユーザー視点の重要性やデザイン思考のプロセスを理解していても、それだけで実際の業務に取り入れられるとは限りません。実践的なデザイン思考研修を通じて、ユーザーの立場から課題を考え、アイデアを形にするプロセスを学ぶことができます。
研修を実施することで、開発に携わる人材だけでなく、開発以外のさまざまな部門の社員もユーザー視点を持って業務に取り組みやすくなるでしょう。
リンプレスの研修プログラム
リンプレスでは、身近な実例をもとにデザイン思考の基礎を学習する実践プログラム「デザイン思考研修」を提供しています。
この研修は、講義とグループワークを組み合わせた1日速習型のプログラムです。デザイン思考の概要や注目される背景、活用事例を学ぶだけでなく、身近な事例をもとにデザイン思考のプロセスを体験します。
ユーザーの課題を考え、アイデアを形にして検証するところまで体験できるため、実務に活かしやすい点が特徴です。新規事業やサービス開発、DX推進に必要なユーザー視点を身につけたい企業に適しています。
DX研修を実際に行った企業の事例を知りたい方は「導入事例:第一三共株式会社様」「導入事例:株式会社八十二銀行様」「導入事例:株式会社ワークマン様」こちらのページをご覧ください。
リンプレスでは、DX推進人材を育成する研修プログラムと、DXの内製化をサポートするコンサルティングを提供しています。自社のDX推進にお困りの方はぜひご相談ください。
まとめ
Webサイトやサービスの開発、DX推進などにおいては、ユーザー視点を持つことが非常に重要です。
ユーザー視点が不足すると、機能は充実していても使いにくいサービスになったり、ニーズとズレた機能を追加してしまったりする可能性もあります。こうした問題を防ぐには、ユーザーの言葉だけでなく行動にも注目し、インタビューやカスタマージャーニーマップ、データ分析などを通じて本質的な課題を見つけることが大切です。
また、ユーザー視点を組織に定着させるためには、部門間でユーザー情報を共有し、仮説と検証を繰り返せる環境を整える必要があります。デザイン思考のプロセスを活用し、ユーザーへの共感から検証までを実践することで、ユーザーにとって価値のある商品やサービスの開発につなげられるでしょう。
<文/文園 香織>











