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要求分析とは?要求定義との違い・やり方・失敗事例まで詳しく紹介

システム開発の成功は、どれだけ精度の高い「要求分析」が行えるかによって大きく左右されます。

ユーザーが本当に求めている価値を見極め、関係者の認識を揃え、要件として正しく定義する工程は、開発プロジェクト全体の品質や工数に直結する重要なステップです。しかし、実務では「要求が曖昧なまま進む」「認識のズレが後工程で発覚する」といった課題が起こりやすく、体系的な理解が不可欠です。

本記事では、要求分析の基本からやり方、失敗事例、成功させるポイントまでを整理し、上流工程を強化したい企業向けにわかりやすく解説します。

DX研修を実際に行った企業の事例を知りたい方は「導入事例:第一三共株式会社様」「導入事例:株式会社八十二銀行様」「導入事例:株式会社ワークマン様」こちらのページをご覧ください。

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要求分析とは

要求分析とは、システム開発において「ユーザーが本当に求めている価値は何か」を明確にするための工程です。

業務の現状や課題、ユーザーのニーズを丁寧にヒアリングし、解決すべき問題を具体化する役割を担います。単に機能を洗い出すだけでなく、業務の目的や背景、現場で起きている非効率の根本原因を可視化する点が重要です。要求分析が不足すると、後の工程で認識のズレや追加開発が発生しやすく、プロジェクト失敗の大きな要因となります。

開発の方向性を決める最上流であり、成功の確率を大きく左右する重要なステップです。

要求分析と要件定義の違い

要求分析と要件定義は混同されやすいものの、役割は明確に異なります。
要求分析は「何を解決すべきか」を整理する工程で、ユーザーの困りごと・目的・期待する価値を深掘りしていきます。

一方の要件定義は、分析結果を基に「どのようなシステムにするか」を仕様として具体化する作業です。

つまり要求分析は「上流の抽象的なニーズの把握」、要件定義は「実装するための具体的な設計への落とし込み」という位置づけになります。この2つを正しく区別しないと、ニーズとシステム仕様がずれ、後工程で大幅な修正が必要になるリスクが高まります。

要件定義は、さらに「要求定義」という用語とも混同されがちです。両者の違いについては以下の記事で詳しく紹介しています。

IT化の上流工程における「要求定義と要件定義の違い」とは?

要求分析を実施するメリット

要求分析を丁寧に行うことで、開発プロジェクトは大きなメリットを得られます。

まず、ユーザーの真のニーズを把握できるため、不要な機能の実装や後戻り作業が減り、コスト削減と品質向上につながります。また、要求に優先順位をつけやすく、限られた予算や期間で効果的な開発計画を立てやすくなる点も重要です。

さらに、ステークホルダー間の認識を揃えられるため、プロジェクト途中の衝突や要望のブレを未然に防げます。

結果として「現場が本当に使えるシステム」の実現に近づき、顧客満足度の向上や業務改善の成果にも直結します。

要求分析のやり方


要求分析は、以下のようなステップで行われます。

  1. 要求の収集(ヒアリング・現場の観察・ワークショップ・プロトタイプの作成)
  2. 要求の分類・優先順位付け
  3. 要求の分析・具体化
  4. 要求の検証
  5. 要求の管理

これによって、ユーザーのニーズを正しく把握し、開発すべきシステムの方向性を固めることができます。各ステップごとに、詳しくみていきましょう。

1.要求の収集

要求の収集は、要求分析の出発点となる非常に重要な工程です。
現場のユーザー、管理者、経営層など、システムに関わるステークホルダーから広く情報を収集し、「何が困っているのか」「どのような価値を得たいのか」を明確化します。

要求は顕在化しているものだけでなく、利用者自身も気づいていない潜在的なニーズが隠れているケースも多いため、多角的なアプローチが必要です。

代表的なアプローチを以下から紹介します。

ヒアリング

ヒアリングは、ユーザーや現場担当者から直接ニーズを聞き取る最も基本的な方法です。

個別インタビューやグループインタビューなど形式はさまざまで、業務フロー、課題、改善したいポイントなどを詳細に確認します。質問項目を事前に整理し、現状の不満点や理想像を引き出せるよう工夫することが重要です。対話を通じて、表面的な要望だけでなく業務の背景や業務上の本質的な問題を把握でき、より深い要求の抽出につながります。

現場の観察

現場観察は、実際の業務を目で見て理解する手法で、ヒアリングでは見えない「本当の課題」を発見する際に有効です。

担当者が行っている作業やシステムの使い方、紙やExcelで管理している情報などを観察し、非効率な動きやムダがないか確認します。業務の流れが複雑な場合や、言語化が難しい作業が多い現場では特に効果的です。現場のリアルを把握することで、改善すべきポイントやシステム化の優先度をより正確に見極められます。

ワークショップ

ワークショップは、複数の関係者を集めて意見を出し合い、要求を整理するための協働型手法です。

業務担当者・管理者・IT部門が一堂に会することで、個人の視点では気づけない課題や改善案が浮かび上がります。KJ法やプロセスマッピングなどのフレームワークを用いることも多く、短時間で全体像を可視化できる点もメリットです。ステークホルダー間の認識合わせにも効果があり、その後のプロジェクト推進を円滑にする役割を果たします。

プロトタイプの作成

プロトタイプ(試作品)を作成し、具体的な画面や操作イメージを見せながら要求を確認するアプローチも効果的です。

実際に触ってもらうことで、「こうしたい」「ここは使いにくい」など具体的なフィードバックが得られ、抽象的な要求を具体化しやすくなります。要求が曖昧なまま進行すると後戻りが増えるため、早期段階でユーザーの認識を揃えられるプロトタイピングは非常に効果的です。

2.要求の分類・優先順位付け

集めた要求をそのままシステムに反映することはできないため、「必須要求」「高重要度」「将来的な要望」などに分類し、優先順位を明確化します。

ビジネス上の効果、実現コスト、技術的な難易度、緊急度など複数の視点から評価して整理することがポイントです。優先順位が曖昧なまま進めると、開発中に要望が増え続けたり、重要度の低い機能に工数を割いたりする事態が起きやすくなります。適切な分類は、プロジェクト全体の効率と成功確度を高める基盤にもなります。

3.要求の分析・具体化

分類した要求を、より詳細なレベルへと落とし込み「システムとしてどう実現するか」を考える工程です。

業務フローの整理、データ構造の把握、必要な機能の定義など、要求を具体的な形にしていきます。この段階で曖昧さが残っていると、要件定義や設計に大きな影響を与えるため、関係者との合意形成が重要になります。分析・具体化によって、システム化の範囲が明確になり、後工程でのトラブル防止につながります。

4.要求の検証

分析した要求が現場のニーズを正しく反映しているか、関係者と共に確認する工程です。

検証では、要求が矛盾していないか、実現可能か、業務フローに支障が出ないかなどをチェックします。ユーザーとIT側の認識ズレが最も起きやすいポイントであり、ここで丁寧な確認を行うことで後戻りコストを大幅に削減できます。必要に応じてプロトタイプを再作成し、具体的な操作イメージを見せながら認識の統一を図ります。

5.要求の管理

要求はプロジェクト進行中に変更・追加が発生しやすいため、管理プロセスの整備が不可欠です。

変更履歴の管理、関係者への共有、影響範囲の分析などを行い、要求の最新状態を常に把握します。管理が不十分だと、機能の抜け漏れや二重実装、スケジュール遅延が発生するリスクが高まります。適切な要求管理により、プロジェクトの品質を安定させ、次のステップとして「要件定義・設計」へとスムーズに移行できます。

要求分析によって得られる成果物

要求分析を適切に実施すると、システム開発の基盤となる重要な成果物がいくつも生まれます。代表的なものが「要件定義書」です。

要求分析の結果を踏まえて作成される「要件定義書」は、機能仕様・非機能要件・業務ルールなどをまとめたプロジェクトの設計図となる重要な成果物です。

その他には、「業務フロー図」「業務課題整理シート」などのドキュメントを作成するケースもあります。これらはユーザーが何を求めているのかを可視化し、開発すべき範囲を明確にする役割を持ちます。

これらが揃うことで、開発工程の認識齟齬を防ぎ、プロジェクトの品質と成功確度を高めることにつながります。

要求分析を成功させるポイント

ここでは、要求分析を確実に成功へと導くために押さえておきたいポイントを3つ紹介します。

  • 要求を曖昧にしない

  • ステークホルダーを巻き込んで進行する

  • 要件定義へのスムーズな移行を意識する

要求を曖昧にしない

要求分析で最も重要なのは、ユーザーの要求を曖昧なままにしないことです。

「使いやすくしてほしい」「効率化したい」といった抽象的な表現は、開発者によって解釈が異なりトラブルにつながります。そのため、「どの作業を」「どの程度」「どのように改善したいのか」まで深掘りし、定量的・具体的に言語化することがポイントです。曖昧さを排除することで要件定義の精度が上がり、後戻りや仕様変更の発生を大幅に減らすことができます。

ステークホルダーを巻き込んで進行する

要求分析は、IT部門だけが行うものではなく、業務部門・経営層・現場担当者など多くの関係者を巻き込むことで精度が上がります。

ステークホルダーの視点が反映されていないと、プロジェクト途中で追加要望が発生したり、認識のズレから手戻りが増える原因になります。ワークショップや定例会議、レビューなどを通じて意見を共有し、合意形成を図ることが重要です。関係者全員が目的と方向性を理解している状態を作ることで、後の工程がスムーズに進みます。

要件定義へのスムーズな移行を意識する

要求分析の成果は、次に行う要件定義へとつながるため、ドキュメントの構成や記述の粒度を意識することが重要です。

要求と要件が分離されていないと、要件定義で混乱が起き、仕様の抜け漏れや認識違いにつながります。そのため、機能要求・非機能要求・制約条件などを整理し、要件として落とし込みやすい形でまとめることがポイントです。また、要件定義書の作成を常に意識して要求定義を行うことで、上流工程全体の効率が向上します。

要求分析のよくある失敗と対策

要求分析では、現場の意図やビジネス要件を丁寧にすり合わせる必要があるため、失敗が起こりやすい工程といわれます。

特に「関係者の意見が一致しない」「スコープの拡大が止まらない」「要求分析と要件定義の境界があいまいになる」といった課題は、多くのプロジェクトで発生します。これらはどれも、担当者のスキル不足やコミュニケーション不足から生じるケースが多く、適切な進め方を理解するだけで大きく改善できます。

ここでは要求分析でありがちな失敗とその対策を紹介します。

関係者同士の意見が分かれてしまう

要求分析では、部門ごとに異なる立場や利害関係があるため、意見や要望が対立するケースが少なくありません。ここを曖昧なまま進めると、後工程で大きな手戻りが発生し、プロジェクト全体のスケジュールにも影響します。

対策としては、まずステークホルダーごとに 「要求の背景」を整理し、目的・役割・優先度を可視化することが重要です。また、ワークショップ形式で合意形成を行うと、相互理解が進みやすく、全体の方向性も揃えやすくなります。合意ポイントをドキュメントに残し、認識ズレを防ぐ運用も有効です。

スコープのズレ・膨張

要求分析では、議論が進むほど新しいアイデアが出てきて、当初のスコープが膨張してしまうことがあります。

これを放置すると、工数・予算・スケジュールが破綻し、プロジェクト失敗の大きな要因となります。対策としては、最初に「プロジェクトの目的」と「達成すべき成果」を明確に定義し、要求ごとに優先度(Must/Should/Could/Won’tなど)を付けることが有効です。また、要求の追加が出た場合は必ず影響範囲を評価し、変更管理プロセスを通じて判断することで、スコープの暴走を防げます。

要求分析と要求定義が曖昧

要求分析の段階で「何をしたいのか」と「何を作るのか」が混ざり、要求分析と要件定義の境界があいまいになるケースは非常に多い失敗例です。これにより、本来のビジネス課題が十分に整理されないまま設計へ進んでしまい、結果的にユーザーが求めるシステムと乖離した成果物になってしまいます。

対策としては、要求分析では「目的や背景、真のニーズ」を抽出することに徹し、その結果を元に「実際にどんな機能・仕様に落とし込むか」を要件定義で整理するという役割分担を明確にすることが重要です。担当者のスキルが成果物の質を大きく左右するため、体系的なトレーニングを受けることも有効です。

システム開発の上流工程人材の育成には「リンプレス」

システム開発の上流工程は、要件定義や要求分析などプロジェクトの成否を左右する重要な領域であり、高い思考力・調整力・ドキュメント力が求められます。しかし、実務だけで体系的に習得するのは難しく、多くの企業が「スキルの個人差」や「属人化」に課題を抱えています。

そこで効果的なのが、専門機関による研修の活用です。リンプレスは、システム開発・IT企画の上流工程に特化した教育プログラムを提供しており、実務で使える分析力・コミュニケーション力・要件定義スキルを体系的に習得できます。

ご相談・お問い合わせ

リンプレスの強み

リンプレスの最大の強みは、実務を深く理解した講師陣による「現場で使えるスキル習得」に特化している点です。単なる知識講義ではなく、要求整理・合意形成・ドキュメント化など上流工程に不可欠なプロセスを演習形式で体験できるため、受講後すぐに業務へ応用できます。

また、自社の課題に合わせたカスタマイズ研修にも対応しており、チーム全体のスキル標準化やプロジェクト品質の底上げにも効果的です。上流工程人材の育成に悩む企業にとって、最短で成果につながる学習環境を提供できる点がリンプレスの大きな魅力といえます。

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まとめ

要求分析は、ユーザーのニーズを的確に把握し、要件定義へつなげるための重要な工程です。要求の収集から整理・分析・検証までを丁寧に行うことで、開発後の手戻りや認識のズレを防ぎ、プロジェクト全体の品質向上につながります。また、ステークホルダーの合意形成やドキュメント化など、上流工程で求められるスキルは専門性が高く、担当者の育成が欠かせません。

リンプレスの研修を活用すれば、現場で役立つ分析力と要件定義力を体系的に習得でき、上流工程に強い組織づくりを実現できます。

ご相談・お問い合わせ

<文/文園 香織>

株式会社リンプレス
株式会社リンプレス
2017年に株式会社リンクレアのコンサルティング事業、教育事業を分社化して誕生。企業向けDX人材育成研修やITコンサルティング、内製化支援などを手掛ける。DX推進に必要なIT・システム企画力、プロジェクトマネジメント・リーダーシップ、デザイン思考、データ分析など、様々なラインナップを提供する。講義だけではなく、ワークショップやハンズオン演習を取り入れた実践型研修に強みを持つ。これまでの累計支援企業数は4,000社以上、累計受講者数は15,000名以上に及ぶ。

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