
ビジネスプロデューサーの役割や必要なスキルを解説|育成のポイントは?
急激な市場環境の変化やDX化の進展に伴い、企業は柔軟かつ革新的な人材育成を求められています。そんな中、ビジネスプロデューサーは多様な専門分野を結びつけ、新たな事業戦略を実行する重要な役割を担います。
本記事では、ビジネスプロデューサーの役割や必要なスキル、さらには育成の課題と効果的なアプローチについて具体例を交えながら解説し、企業の持続的成長を支える実践的手法を探ります。
DX研修を実際に行った企業の事例を知りたい方は「導入事例:第一三共株式会社様」「導入事例:株式会社八十二銀行様」「導入事例:株式会社ワークマン様」こちらのページをご覧ください。
リンプレスでは、DX推進人材を育成する研修プログラムと、DXの内製化をサポートするコンサルティングを提供しています。自社のDX推進にお困りの方はぜひご相談ください。
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ビジネスプロデューサーとは
ビジネスプロデューサーとは、企業の成長戦略や新規事業の企画立案、運営全般を統括するプロフェッショナルです。市場や顧客動向の精査を基に、革新的なアイデアを実現するために、企画、マーケティング、財務、人材育成など多岐にわたる分野の知識と経験を融合させます。
関係者との連携を円滑に行いながら、事業の収益性や競争力を高め、持続的な発展を目指す重要なキーパーソンとして、企業内部だけでなく外部パートナーとも戦略的に協力する役割を果たしています。
ビジネスプロデューサーの役割
ビジネスプロデューサーの役割は、多岐にわたる業務を横断的に統括し、事業の企画・実行をリードする点にあります。
具体的には、市場分析や競合調査を通じて新たなビジネスチャンスを発見し、戦略立案やプロジェクト管理を実施します。また、各部門との連携を図りながら、リスクマネジメントや業績評価を行うことで、組織全体の成長促進も担っています。さらに、柔軟な発想と迅速な意思決定を駆使し、変化する環境下でも持続可能なビジネスモデルの構築に寄与する存在です。
戦略コンサルタントとの違い
戦略コンサルタントとビジネスプロデューサーは、共に戦略立案に関与する点で似ていますが、役割とアプローチに明確な違いがあります。
戦略コンサルタントは主に外部からの視点で分析・提言を行い、企業に改善策や改革プランを示すのに対し、ビジネスプロデューサーは自ら現場に入り込み、企画の実行や事業運営の推進を担います。実践的な経験と内部視点を活かし、組織内外の調整役として、具体的な成果創出に直結する役割が特徴です。
ビジネスプロデューサーが求められる背景
近年において、多くの企業でビジネスプロデューサーが求められている背景として、以下が挙げられます。
● 多様なビジネスパーソンを有機的に統合するため
● ステークホルダー間の連携強化のため
● 複数の要素の相乗効果を最大化するため
それぞれの内容について、詳しく見ていきましょう。
多様なビジネスパーソンを有機的に統合するため
現代の企業環境では、各分野に特化したビジネスパーソンが多数存在し、専門知識や技能を活かしています。しかし、組織全体としての成果を最大化するためには、個々の強みを融合し、一体感を持って協働しなくてはなりません。
ビジネスプロデューサーは、異なるバックグラウンドや役割を持つ人材間の情報共有と連携を円滑にし、共通のビジョンに基づいた統合戦略を策定します。これによってチーム全体のシナジー効果を引き出し、組織の成長に寄与する働きが求められているのです。
ステークホルダー間の連携強化のため
企業運営においては、社内の各部署のみならず、取引先、パートナー、顧客など多様なステークホルダーが関与しています。各関係者間で十分な情報共有とコミュニケーションが行われなければ、戦略実行やプロジェクト推進に支障をきたす恐れがあります。
ビジネスプロデューサーは、各ステークホルダーの立場やニーズを的確に把握し、対話と調整を重ねることで、信頼関係を構築する重要な人材となります。全体としての連携強化を図り、組織の持続的発展を支えます。
複数の要素の相乗効果を最大化するため
現代のビジネス環境は、技術革新、市場動向、組織文化など、複数の要素が複雑に絡み合う状況です。単一の施策では十分な効果が得られないため、各要素の連携による相乗効果が求められます。
ビジネスプロデューサーは、多角的な視点で各要因を分析し、最適な組み合わせを提案します。施策間のバランスや連動性を高めることで、全体としてのパフォーマンス向上を実現し、競争優位性を確立する役割を担っています。
ビジネスプロデューサーに求められるスキルと資質
ビジネスプロデューサーを自社で育成するため、必要なスキルと資質を正しく理解しましょう。ビジネスプロデューサーには、以下のようなスキルが求められます。
● 企画力
● コミュニケーション能力
● リーダーシップ
● デザイン思考
● 学習意欲
一つずつ、詳しく解説します。
企画力
ビジネスプロデューサーにとって、企画力は新たな価値を創出する原動力です。
市場動向や顧客ニーズを鋭く分析し、独自のアイデアを具体的な事業計画に落とし込む「企画力」は上流工程を担う人材にとって大切な能力です。柔軟な発想と論理的思考を融合させ、実現可能性の高い企画を構築することで、企業の競争力強化や成長戦略の実現に寄与します。企画段階から実行まで一貫したビジョンを持ち、課題に対して迅速かつ的確な対策を講じる姿勢が求められます。
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コミュニケーション能力
多様な部門や外部パートナーとの連携を円滑に進めるため、ビジネスプロデューサーには高いコミュニケーション能力が求められます。
コミュニケーション能力の高いビジネスプロデューサーが各関係者の意見や要望を正確に把握し、双方の立場を調整することで、共通の目標に向かって協働を促進します。明確なメッセージ発信と傾聴のバランスを意識し、信頼関係を構築する力は、プロジェクトの成功や組織全体のパフォーマンス向上に大きく貢献するでしょう。円滑な情報共有を実現するための対人スキルは、現代のビジネスシーンで必須です。
リーダーシップ
リーダーシップは、チームを正しい方向へ導き、目標達成に向けた行動を統率するための重要な資質です。ビジネスプロデューサーは、戦略の策定とともに、各メンバーの強みを見極め、最適な役割分担を行うことで全体のパフォーマンスを高めます。困難な局面においても冷静な判断力を発揮し、チームの士気を維持しながらリスク管理を徹底しなくてはなりません。明確なビジョンを共有し、メンバーが一丸となって前進できる環境作りが成功への鍵となります。
デザイン思考
デザイン思考は、デザイナーの思考プロセスを基にした問題解決手法です。デザイン思考を身につけることで常にユーザーの視点に立って開発を行うことができ、時代の変化にも柔軟に対応できるビジネスプロデューサーとなれるでしょう。
デザイン思考では、課題の本質を捉えるために、定量的・定性的なデータを基に仮説を構築し、プロトタイピングやフィードバックを通じて最適解を導き出すプロセスが重要です。
多様なアイデアを尊重し、失敗を恐れず試行錯誤を繰り返す姿勢が、新たなビジネスチャンスの発掘や顧客満足度向上に直結します。
デザイン思考については、以下の記事でも詳しく解説しています。
『業務改善にも役立つ「デザイン思考」とは?デザイン思考を組織に定着させるおすすめの方法も解説 』
学習意欲
急速に変化するビジネス環境において、学習意欲はビジネスプロデューサーとしての成長を左右する重要な要素です。ビジネスプロデューサーには、最新の市場動向や技術革新を継続的にキャッチアップし、自己研鑽を怠らず新知識の吸収に努める姿勢が求められます。
分野横断的な知見を活かし、常に改善・挑戦を続けることで、組織全体のイノベーションを推進できるでしょう。変化をチャンスと捉え、積極的に学び続けることで、柔軟な戦略立案と実行力を高められます。
ビジネスプロデューサーが活躍している企業の事例
ここからは、実際にビジネスプロデューサーが活躍している2社の事例を紹介します。
● 株式会社電通
● 株式会社博報堂
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
株式会社電通
株式会社電通は、広告業界のリーディングカンパニーとして、革新的なマーケティング戦略を推進しています。同社では2018年に、「営業局」を「BP(ビジネスプロデュース)局」に改名しました。これによって、営業ではなく、クライアントのビジネスをプロデュースする集団へと意識変革が起こりました。
現在の電通では、営業ではなくビジネスプロデューサーがクライアントのビジネスパートナーとなり、従来の広告ビジネスを超えた関係性を構築しています。
参考:営業を 「ビジネスプロデューサー」に 改称して6年 “IGP”を掲げる電通に 流れるカルチャー
株式会社博報堂
株式会社博報堂は、先進的なマーケティングとクリエイティブ戦略で業界をリードする企業です。同社でも電通と同様に、営業職が「ビジネスプロデューサー」という職位に変更されました。
博報堂のBP職では「施策として何をするか」という点も含めて、プランニング・構想・スタッフィングなどを行い、着地させていくことがビジネスプロデュースであるという思想の元、企画から実装まで“やりきる”ことを重要視しています。博報堂のビジネスプロデューサーは、企画の一部だけに携わるのではなく、納品までを責任を持ってやり遂げられる人材として活躍しています。
参考:構想から実装まで“やりきる”、 博報堂のビジネスプロデューサーとは
ビジネスプロデューサー育成のよくある課題
これからの時代に向けて、ビジネスプロデューサーの確保は重要なポイントとなりますが、育成にあたって以下のような課題に直面するケースが多いです。
● 育成内容と実務に乖離がある
● 具体的な育成プランが提示できていない
● 成長機会が不足している
よくある課題を理解することで、より効果的な育成計画が立てられます。
育成内容と実務に乖離がある
理論やケーススタディに偏重したビジネスプロデューサー育成プログラムを導入してしまうと、実際の業務現場で求められる迅速な判断力や柔軟な対応力が十分に育まれていない点が課題となりがちです。
座学中心のカリキュラムでは、変化する市場環境や複雑な業務課題に対応するための実践的スキルが不足し、現場での即戦力となる力の育成が後手に回る傾向があります。実務とのギャップを埋めるため、OJTや現場実践型研修の導入が求められます。
具体的な育成プランが提示できていない
ビジネスプロデューサーの育成において、明確なキャリアパスや具体的な成長目標が提示されない場合、研修内容が抽象的に留まりやすくなってしまいます。
短期的な成果を追求するあまり、長期的な視野での計画策定が不十分になると、個々の能力に合わせたステップアップが難しくなるでしょう。結果として、理論と実務の橋渡しが不明瞭となり、実践的スキルの習得が滞るリスクが生じます。戦略的な育成プランの策定とその実行が大切です。
成長機会が不足している
現場での実践経験やフィードバックを通じた学習機会が限られてしまうことは、ビジネスプロデューサー育成における大きな課題です。日常業務やプロジェクトを通じたチャレンジが少なく、自己成長のための実践の場が提供されにくい環境では、スキル向上やキャリア形成が停滞しがちです。
成長意欲を維持し、継続的に能力を磨くためには、実務に即した課題解決や定期的な評価、フィードバック体制の整備が不可欠です。
ビジネスプロデューサーを自社で育成する方法
ビジネスプロデューサーを育成するには、以下のような方法が挙げられます。
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社内研修の実施
座学とOJTを組み合わせた社内研修の実施が効果的です。社内で研修を実施するメリットとして、自社の業務に特化した即戦力が育成できるという点が挙げられますが、デメリットとして育成のための社内リソースがかかってしまいます。
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実践的なプロジェクトへの参加
ビジネスプロデューサーとしての基礎が出来たら、実践的なプロジェクトへ参加させましょう。ビジネスプロデューサーとしてのロールモデルとなる人材がいれば、メンター制度を取り入れることも有効です。
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外部研修サービスの活用
ビジネスプロデューサーに必要なスキルは多岐に渡るため、外部の研修サービスを導入する方法が最もおすすめです。社内のリソースを圧迫せず、高いクオリティの研修プログラムを活用できます。
さらに、定期的な評価とフィードバックにより各人の成長を促進し、失敗から学ぶ環境を整えることで、組織全体のイノベーション力向上と持続的な成長を実現することが可能となります。
上流工程人材の育成にはリンプレス
ビジネスプロデューサーは、開発における上流工程を担う人材です。そのため、ビジネスプロデューサーを育成するには、上流工程人材向けの研修に強いサービスを選びましょう。
リンプレスは、プロジェクトマネージャーやビジネスプロデューサーに不可欠な「企画力」「デザイン思考」といったスキルの育成に強みを持つ研修サービスを提供しています。
これまで4,000社以上のDX推進を支援してきた実績とノウハウに基づき、貴社の人材育成をサポートいたします。
リンプレスのサービスの強みについて、詳しく紹介します。
リンプレスの強み
リンプレスの研修サービスには、以下のような強みがあります。
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実績と経験豊富な講師陣
リンプレスに在籍する講師は、累計4,000社以上の企業に対して研修やコンサルティングを手掛けてきた経験を持っています。講師自身のビジネス経験をもとに実践に役立つ知識やノウハウをご提供いたします。
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自社の業務や課題に合わせてカスタマイズできる研修内容
貴社の課題を丁寧にヒアリングした上で、最適なカリキュラムをご提案いたします。研修内容や期間などは、ご要望に応じて柔軟にご調整いたします。
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実践的・実用的なスキルとノウハウを習得
リンプレスの研修では、ビジネスにおいて必要な思考プロセスなどを体系的に学ぶことができます。学んだことをすぐに実務に活用できるという点は、多くの企業から高い評価をいただいています。
リンプレスの研修を導入した事例
リンプレスの研修プログラムは、大手企業を含む多くの事業者から選ばれている実績があります。実際に導入いただいた中から、3社の事例を紹介いたします。
株式会社キタムラ
株式会社キタムラでは、DX推進人材育成に向けた取り組みの一環として、「顧客分析研修」「プロジェクトリーダー実践研修」「IT・システム企画実践研修」を実施いたしました。
リンプレスならではの、実際のデータを用いて分析を行うハンズオン形式のデータ分析研修や、他社と一緒に実践形式で学べる研修カリキュラムに大変ご満足いただき、参加者から「実務でのアウトプットに繋がる学びを得ることができた」というお声を多くいただきました。
こちらの事例について詳しくは、以下のリンクからご覧いただけます。
株式会社キタムラ様の事例 実践型研修を通じて「カメラのキタムラ」のDX推進人材育成を支援
第一三共株式会社
第一三共株式会社では、社内で新しいシステム開発の要望があっても、詳しくヒアリングすると「具体的にシステムで実現したいことが定まっていない」という課題がありました。業務部門が主体となってITを活用した課題解決を進めるにはIT企画力を伸ばす必要があると判断し、2022年7月にリンプレスの「IT企画研修(インハウス)」をご利用いただきました。
実際の業務に近い内容で学べる、カスタマイズされた研修内容によって参加者同士のディスカッションが活発に行われ、大変ご満足いただけた結果となりました。
こちらの事例について詳しくは、以下のリンクからご覧いただけます。
第一三共株式会社様の事例 現場主導のDXを実現するため、業務部門がIT企画立案の進め方を学ぶ
株式会社八十二銀行
株式会社八十二銀行では、自社内にシステム開発部門があり、新しいシステムを作る際は事業部門と開発部門がともに開発を行っています。しかし近年、どちらの部門も多忙となり、意思疎通がうまくいかず手戻りが発生するという課題が発生していました。この原因の一つに、元々の目的の設定と、経営的な視点で論理立てて工程を組み立てることができていない上流工程に問題があるのではないかと考えます。
そこで、論理的に課題を整理しながら、企画を進めるフレームワークに沿って学べるリンプレスのIT企画研修を導入いただきました。
結果として、受講者の8割が研修の内容に満足し、9割以上の受講者が実際の業務に役立つと回答していただいたという、大変満足度の高い研修が実施できました。
こちらの事例について詳しくは、以下のリンクからご覧いただけます。
株式会社八十二銀行様の事例 事業部門自らデジタル・IT化を企画し、スピード感のあるDXの実現へ
株式会社ワークマン
株式会社ワークマンは、勘や経験ではなくデータに基づいた意思決定をする「データドリブン」な経営によって、11期連続で最高益更新という好業績を挙げています。
もともと同社では、Excel上で膨大なデータを管理していましたが、店舗の拡大などから限界を感じ、「Pythonで効率化できるのではないか」と考えます。一部の社員は独学でPythonの外部資格を取得しましたが、データ活用のさらなる推進とAI実装の内製化を目指し、2022年11月にリンプレスの「Pythonハンズオントレーニング(インハウス研修)」を導入いただきました。
参加者の多くがPythonを使ったことがない初心者の方という状況でしたが、レベルに合わせてカスタマイズしたテキストとカリキュラムを提供させていただき、全ての参加者がPythonの基礎を理解していただけた結果となりました。
こちらの事例について詳しくは、以下のリンクからご覧いただけます。
株式会社ワークマン様の事例 “Excel経営”の経験をもとに「現場主導のDX推進」へ
DX研修を実際に行った企業の事例を知りたい方は「導入事例:第一三共株式会社様」「導入事例:株式会社八十二銀行様」「導入事例:株式会社ワークマン様」こちらのページをご覧ください。
リンプレスでは、DX推進人材を育成する研修プログラムと、DXの内製化をサポートするコンサルティングを提供しています。自社のDX推進にお困りの方はぜひご相談ください。
まとめ
ビジネスプロデューサーは、クライアント企業やユーザーのニーズが多様化している現代において重要なポジションを担っています。まずはビジネスプロデューサーに求められるスキルや定義について理解した上で、育成計画を進めましょう。
ビジネスプロデューサーの育成には、外部研修サービスの活用が効果的です。
体系的かつ実践的なビジネスプロデューサー育成を実施するなら、ぜひリンプレスにご相談ください。
<文/文園 香織>