大手総合商社様

Overview
多くの企業でDXが進む中、専門部署だけでなく、実際に業務を担う事業部門の現場自らが効率的な業務プロセスを設計する力、すなわちIT・デジタルの企画力を身につけることが重要なテーマとなっています。大手総合商社様も同様の課題を抱えていました。日々の業務で扱う情報・データの重要性が社内でも高まる一方、IT・デジタル能力の高い社員は部内に複数名いたものの、その知見が特定の個人に依存し、組織的な広がりを欠いていたのです。
そこでリンプレスの支援のもと、現状の業務・情報の流れを構造的に捉えるフレームワークを用いた実践型の「IT・システム企画研修」を企画しました。専門部署が主導するのではなく、事業部門の選抜メンバー自身がDXの当事者として業務プロセスを設計できるようになることを目指しました。座学に留まらず、自らの業務を構造的に整理する演習を通じて、現場主導で効率的な業務プロセスを設計し、自走する組織への転換を進めています。
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これまで大手総合商社様では、全社的なDX推進は専門部署が主導し、事業部門はその成果を受け取る側という役割分担が定着していました。しかし、日々の業務改善や現場発の企画は、業務内容を最もよく理解している事業部門自身が動かなければ前に進みにくいという構造的な課題があります。専門部署に相談を持ち込む前段階、すなわち「何を課題として捉え、どう整理すべきか」「業務プロセスのどこに無駄や非効率があるか、どう組み立て直すべきか」という初期の企画力が、事業部門側に十分に備わっていなかったのです。
そこでリンプレスが提案したのは、専門部署の知見を事業部門に伝達するのではなく、事業部門のメンバー自身が現状の業務・情報の流れを構造的に捉える手法を習得し、自らの手で課題を発見・整理し、業務プロセスを設計・改善できるようになることを目指す研修でした。演習ケースを題材に、業務・情報の流れや関係者の役割を明確化しながら、どこに業務プロセス上の課題や真のニーズが潜んでいるかを受講者自身に発見してもらう形式を採用。専門部署が答えを提示するのではなく、現場が自ら考え、業務プロセスを組み立てなおすことを重視した点が、従来の研修とは異なるアプローチです。
答えを教わるのではなく自ら業務プロセスを設計・改善する主体的な力を養い、事業部門が専門部署に依存しすぎない体制づくりの第一歩とすることが今回の研修の狙いでした。
本研修では、一方的に伝える座学だけではなく、実践的なワークショップを取り入れた構成としました。事前に「○○商品計画支援システムの分析および構想立案」という仮想の演習ケースを受講者に提示し、各自で内容を読み込んできてもらった上で研修に参加してもらう形式を採用しました。
研修当日は、まず現状の業務や情報の流れを構造的に捉えるための基本的なフレームワーク「CANVAS-SA®」を共有した上で、このケースを題材に講義と実践的なグループワークを進めました。受講者は、架空の企業における商品計画のプロセスや情報の流れをこのフレームワークに沿って分析し、どこに課題や非効率が潜んでいるかをグループで議論しながら構想立案まで落とし込んでいきました。
単に知識を得るだけの座学に終わらせず、フレームワークという「型」を実際に使いこなす経験まで踏み込んだ点が、受講者から高く評価されたポイントです。受講者は経験年数や業務内容の異なる幅広いバックグラウンドを持つメンバーで構成されていましたが、共通の仮想ケースとフレームワークを用いることで、実際の業務経験の差にかかわらず同じ土台で議論できる設計としました。
研修終了後に実施したアンケートでは、幅広いバックグラウンドを持つ受講者から総じて高い満足度・推薦意向が得られました。日々の業務を振り返る新たな視点を得られたという反応や、これまで見過ごしていた業務上の課題に目が向くようになったという反応が多く見られ、単なる知識習得にとどまらない実感を持って研修を終えられたことがうかがえます。
特に印象的だったのは、演習で用いたフレームワークが今回のケースだけのものではなく、自身が普段担っている業務にもそのまま活用できるという受け止め方が広がっていたことです。部門やメンバーが異なっても同じ枠組みで業務を整理・説明できるようになったという実感は、当初目指していた「専門部署に頼らず自ら課題を発見し、効率的な業務プロセスを設計する力を身につける」という狙いに対する、確かな手応えとなりました。
一方で、今回の内容を土台としつつ、より現場の実務に近い場面まで踏み込んで学びたいという声も見られ、今回の研修が今後への意欲や次の学びへの関心を引き出すきっかけにもなったことが分かりました。
また、経験や役割の異なる受講者が同じ研修に参加したことで、受講者選定や研修設計そのものについても新たな気づきが生まれました。今後は、経験レベルに応じた研修内容の出し分けなど、より対象者の実情に合わせた展開を検討する声も上がっています。
今回の研修を通じて見えてきたのは、単発の研修で完結させるのではなく、継続的な育成の仕組みとして発展させていく可能性です。受講者からは、今回の基礎的な内容を土台としつつ、より実務に近い場面まで踏み込んだ発展的な学びへのニーズが見えてきました。
同時に、経験や役割の異なるメンバーが同じ研修に参加したことで、対象者の粒度に応じて内容を出し分ける必要性も明らかになりました。今後は、経験を積んだメンバー向けの発展的な内容と、新たに加わるメンバー向けの基礎的な内容を分けて設計するなど、対象者の実情に合わせた研修体系の構築が検討されています。
また、今回の取り組みを通じて、事業部門とリンプレスとの関係は、単発の研修提供にとどまらず、業務課題に応じて継続的に相談できる関係へと発展しています。今回の研修で得られた「構造的に捉える力」「効率的な業務プロセスを設計する力」を組織全体に広げ、専門部署に頼らず現場が自ら課題を発見し、業務プロセスの設計・改善につなげていく自走的な組織づくりを、今後も支援していきます。
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