ジャパンマリンユナイテッド株式会社
https://www.jmuc.co.jp/
事業内容:船舶・艦艇・海洋浮体構造物等の設計、製造、販売等
創立:2013年1月1日 従業員数:約5,000名(2024年3月31日現在)
課題:超上流工程(IT企画・システム化計画)段階における経験やスキル差があり、属人化してしまっている

Overview
IT企画の手順・進め方を体系的に学び、業務改革を推進する人材を育成する
社内での共通の考え方を確立し、プロジェクトの方向性を明確にする
超上流工程(IT企画・システム化計画)段階における経験やスキルに個人差があり、属人化してしまっている
部門内でIT企画段階における共通認識がなかったため、業務の進行手順もばらばらな状態となっている
DXやIT領域に特化した教育カリキュラムが不足している
受講者が共通の考え方を身につけた結果、プロジェクトの方向性についての理解が深まり、業務の進行が円滑になった
「背景確認シート」などの成果物フレームを活用することで、プロジェクトメンバー間でのコミュニケーションが活性化され、業務の精度が向上した
研修を通じてDX推進に取り組む意識が高まり、業務部門との連携が強化された
ジャパンマリンユナイテッド株式会社(以下JMU)は、世界トップクラスの技術リソースと生産・研究設備をもとに、多種多様な商船、艦船、官公庁船の建造と修理、洋上風力浮体の研究開発などの海洋・エンジニアリング事業に幅広く取り組んでいます。
近年では、サステナビリティ/ESG(環境・社会・ガバナンス)の3つの観点に対する取り組みを進めています。
「環境」
地球環境保全に向けて、GHG(温室効果ガス)排出量削減のための次世代省エネ船の開発と建造や、会社方針に基づいた事業所の多方面にわたる環境・省エネ活動等を推進
「社会」
品質の確保・向上に向けた品質マネジメントシステムの運用や、「JMU 人財方針」に基づいた人財の育成と働き方改革の推進
「ガバナンス」
公正で透明性のある企業活動を行なうために、意思決定の手続きのルール化、コンプライアンス強化、リスクマネジメントの徹底を図り、健全かつスピード感のある企業運営を推進
リンプレスは、2024年7月に同社のデジタル業務改革推進センターに「実践型IT・システム企画研修(インハウス)」(以下本研修)を実施させていただきました。
今回は、本研修の導入に至った背景や今後の展望について、デジタル業務改革推進センター 情報セキュリティグループ 兼 ITマネジメントグループ グループ長の大下様にお話を伺いました。
※本件に関するお問い合わせはこちらからお願いします。ジャパンマリンユナイテッド様へ直接のご連絡やお問合せはご遠慮ください。
-まずは御社の事業内容や所属部門の役割について教えてください。
大下様:当社は、2013年1月1日にユニバーサル造船株式会社と株式会社アイ・エイチ・アイ マリンユナイテッドが合併して誕生しました。主な事業内容としては、船舶・艦艇・海洋浮体構造物等の設計、製造、販売等です。具体的には、コンテナ船、バルクキャリア、タンカー、原油タンカー、官公庁船、艦艇、特殊船、海洋構造物等の建造を行っています。
次に、私が所属している「技術本部 デジタル業務改革推進センター」についてですが、この部門は約2年前に発足されました。以前はICTセンターという名称でしたが、明確に業務改革を推進する役割としてこの名称に変更いたしました。
主なミッションとしては、デジタル施策に対して企画段階から主体的に関与し、業務改革を推進する"課題解決型"の組織として、事業部門とともに業務改革を進めるという役割を担っています。
"業務改革"は「Business Transformation by Digital」つまり、業務を見直し、それに適した情報システムを設計することを意味しています。最初から情報システムありきで業務を変えるのではなく、まずは業務自体を再評価し、それに合う情報システムを考えることに力を入れています。当部門としての目標は、JMU全体のITリテラシーを向上させ、その結果、生産性向上に寄与するということです。
-本研修の企画・検討に至った背景や、当時の課題について教えてください。
大下様:一般的な「システム開発」の段階(設計・プログラミング等)に関しては、当社にはシステム子会社がありますので、安定的なプロジェクト運営ができています。
しかし、要件定義やシステム化計画などの超上流工程といわれるような「IT企画」の段階に関しては個人の知識や経験にばらつきがありました。経験豊富な方は一人でも業務を進めることができますが、経験が少ない方は何から手をつければいいかわからない、という状態でした。
さらに、部門内でもIT企画の進め方や手順に関して属人化が見られたため、この領域は経験値ではなく、体系的な進め方によって、"共通認識"を持たなければならないとの考えに至りました。
当時、業務部門と一緒にIT企画段階から参画するプロジェクトも多く、早急にIT企画の実践スキルを身につける必要があったので、こういった課題解決に役立つ研修を探していた、というのが最初のきっかけです。
-社内の人材育成プログラムの中で、DXやITに関わる教育は実施されているのでしょうか。
大下様:実は、DXやIT領域の体系的な教育プログラムは少なくて、散発的に実施しているという状況でした。とはいえ、IT領域以外は人事部門等が企画する教育体系は整っていたので、このDXやIT領域に特化したプログラムだけが不足していました。
-本研修を選んだ理由や、導入の決め手となったポイントを教えてください。
大下様:リンプレスの研修で学べる内容は、当時抱えていた「IT企画段階における社内の共通理解がない」という課題解決に直結するものだと感じました。IT企画に特化した体系的なフレーム(※)があるというのが非常に魅力的でしたし、さらにその手順や成果物が具体的に想像できるカリキュラムでしたので、まさにこれしかないという感じでした。
(※)IT企画フレーム「CANVAS-SA®」の概要
「CANVAS-SA®」はSTEP1~8までの全8ステップからなる、リンプレス独自のIT企画手法です。各ステップの検討結果を成果物に残すためのフレーム(フォーマット)が用意されています。

▼IT企画フレーム「CANVAS-SA®」の詳細はこちら
さらに、講師の方々が長年ITプロジェクトに携わってきた経験やノウハウが詰まった研修であるとも感じましたし、もっと言えばこの「CANVAS-SA®」はIT部門だけではなく、非IT部門も持つべき考え方だと思いました。なので、まずは我々が受講して内容を理解し、その後事業部門にも展開していくのがよいと考えました。
-演習テーマは普段の業務とは違ったものでしたが問題なかったでしょうか。
大下様:当然、実務を題材にした方がより身近なものとして捉えられるとは思いますが、今回の演習テーマである『量販店における商品計画業務』は普段の業務とはまったく違って逆に新鮮でしたね。むしろ業務知識や経験値が少ないことで、先回りしないで一つひとつ丁寧に解決していく、という体験ができたと感じています。
-リンプレスのIT企画研修は、「座学(1日)」と「実践・体験型(2日間)」の2種類ありますが、これらを比較検討されましたか。
大下様:特に比較はしていません。とにかく手を動かして、1個でも2個でも研修の中から持ち帰ってもらうことを主眼に置いていましたので、計画当初からワークショップがある「実践・体験型」コースを採用することを決めていました。
-本研修の受講者の反応や成果を教えてください。
大下様:今回の研修を通じて、我々のなかでIT企画における"共通的な考え方"を持つことができたのは非常に有意義であったと思います。特に、プロジェクト発足時にしっかりと新システムを構想するに至った"背景"をおさえることが最も重要である、という学びがありました。参加者からも各ステップで作成する成果物のなかで、特に「背景確認シート」(※)が参考になったという声が多かったです。
これまでのプロジェクトでは、プロジェクトメンバーがお互い業務を知っている方同士なので、背景を文書化することを後回しにすることが多くありました。その結果、次第にプロジェクトの目的や目標がずれていってしまうんですよね。
「背景確認シート」を作成していれば、自分たちが何のためにこのプロジェクトを進めるのか立ち返るための"羅針盤"になり、多少のずれに対しても軌道修正ができるということで、効果を感じるポイントです。

(※)「背景確認シート」の例
-受講者の満足度や理解度はいかがでしょうか。
大下様:ちょうどプロジェクト立ち上げ時期の案件もあり、すぐに実務で活用できるスキルが身についたという声が多かったです。IT企画の経験がある方はフレームワークを通じてあらためて整理ができたようですし、経験が少ない人は具体的な手順・進め方を知ることでIT企画段階の一連の流れや抑えるべきポイントを理解できたようです。
当部門は中途採用者や別部門からの異動者も多いですし、スキルや経験・年齢構成もバラバラですが、全員に対して一律でIT企画の共通理解を形成することができて良かったと感じています。
-リンプレスの研修はどのような企業におすすめですか。
大下様:我々のような事業会社におけるIT部門には特におすすめします。また、非IT部門の方々にとってもIT部門と共通認識を持てることは大きなメリットがあると思います。その他、伴走型のITコンサルティングサービスなどを提供している企業にもぴったりだと思います。
-今後の展望やリンプレスに期待することを教えてください。
大下様:まずはこの研修で学んだことを、我々が中心となってJMU全体のIT企画の進め方における共通認識として広めていきたいと考えています。そのためにも、事業部門や各拠点における企画の担当者、システム子会社の方にも本研修を受講していただきたいと考えています。
もう少し踏み込んだ話をすると、今後のIT企画の"質"を高めるためにも、現場のニーズを正しく把握するための効果的なヒアリング方法など、一つひとつのステップの深堀ができるようになると良いと感じています。当然簡単にはいかないと思いますが、各ステップで重点的にやるべきことを理解し、実務でしっかりと活用できるようになることを期待しています。
あとは、事業部門とともにDXを推進するためにも、各現場における"デジタルリーダー"の育成や、社内では"AI"が重要なキーワードとなっていますので、AI・データ活用に関するスキルも積極的に取り入れる動きを進めています。
これらの人材育成に役立つ教育プログラムがあれば、ぜひご提案いただきたいですね。
(取材・文/森田 晋之介)
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