(写真左)株式会社ワークマン データ戦略部 部長代理 長谷川 誠 様
(写真右)株式会社リンクレア オープンデザイン本部 西家 利祐
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作業服や安全靴など作業関連用品の国内最大手である株式会社ワークマン(以下、ワークマン)様は、全社を挙げた「データドリブン経営」の成功企業として多くの注目を集めています。
前回の記事では2022年11月に実施した「Pythonハンズオントレーニング(インハウス研修)」についてお話を伺いました。
ワークマンではその後、当社データサイエンティストによる「機械学習を用いたデータ利活用のOJT(※1)」や「データ利活用アドバイザリ」を実施。
(※1)OJT
「On the Job Training」の略語で、実務を通じて業務知識を身につける教育手法のこと。
本プロジェクトでは、実際のビジネステーマを題材として、当社データサイエンティストがサンプルコードの作成やPythonコーディングのアドバイスを実施しました。
今回はこの一連のプロジェクトの実施に至った背景や導入効果について、データ戦略部 部長代理の長谷川 誠 様にお話を伺いました。
目次
※本件に関するお問い合わせはこちらからお願いします。ワークマン様へ直接のご連絡やお問合せはご遠慮ください。
ー前回の「Pythonハンズオントレーニング」に続き、今回の「機械学習を用いたデータ利活用のOJT」や「データ利活用アドバイザリ」の実施に至った経緯を教えてください。
長谷川様:
弊社では2021年11月から社内データマイスター制度がスタートしました。弊社では主にエクセルを活用して意思決定を行っていましたが、分析したい内容が高度化したことで、Excelによるデータ分析に限界を感じるようになったんです。そこで、データ分析エンジニアにはPythonを習得することを必須とすることにしました。
当初は社内でPythonの基礎やデータ分析研修のカリキュラムを実施したのですが、初学者がゼロから学ぶには難易度が高く、2022年11月に「Pythonハンズオントレーニング」を導入しました。その流れで2023年3月に機械学習を用いたデータ利活用のOJTも実施していただき、Pythonの基本的なコーディングや運用ノウハウを蓄積することができました。
その次に問題になったのが、機械学習ライブラリや他の業務を組み合わせて運用するスキルです。タスクが複雑になってくると独学で学んだ知識で対応するのは時間も労力もかかってしまい、社員の大きな負担になります。そのような課題を感じていたタイミングで御社から「データ利活用アドバイザリ」のお話を頂きました。このサービスを活用すれば弊社の問題解決ができると考え、今回のプロジェクト(※2)がスタートしました。
(※2)一連のプロジェクトの中で、当社リンプレスは「Pythonハンズオントレーニング」と「機械学習を用いたデータ利活用のOJT」を実施し、その後の「データ利活用アドバイザリ」は当社の親会社である株式会社リンクレアが実施しました。
ー「Pythonハンズオントレーニング」や「機械学習を用いたデータ利活用のOJT」に続いて、当社のサービスを導入した理由を教えてください。
長谷川様:
引き続き、御社のサービス導入を決めた理由は2つあります。
1つ目は「Pythonハンズオントレーニング」と「機械学習を用いたデータ利活用のOJT」に参加した社員の反応が非常に良かったためです。御社の研修は分かりやすく、難しい内容であっても楽しく技術を習得することができるので、参加した社員からの評価はとても高かったですね。
2つ目は事前ヒアリングのきめ細やかさです。御社のスペシャリストが弊社の抱えている課題を複数回にわたって時間をかけて丁寧にヒアリングしてくださり、それに合わせた研修を実施してくれました。「この人たちなら全部を任せても大丈夫だろう」という信頼感が御社のサービス導入を決めた大きな理由になりましたね。
ー「データ利活用アドバイザリ」にはどのようなことを期待していたのでしょうか?
長谷川様:
私たちの中でも漠然と「こういうことがしてみたい」というイメージはあるのですが、それをどのように実現させていくのかがわからなかったんです。
そこで「データ利活用アドバイザリ」のサービスを利用することで、自分たちの頭の中にあるイメージを実現させることを期待していました。実際にデータサイエンティストの方々から直接アドバイスを受けられるということで、大きな期待を寄せていましたね。
パッケージの商品だとこちらがやりたいことと実際に受けられるサービス内容が乖離してしまうことも多かったので、近い距離で伴走支援してくれるサービスということで導入を決めました。
ー「データ利活用アドバイザリ」を利用した社員の皆さんの感想を教えてください。
長谷川様:
サービスを受けた社員には簡単な報告書を提出してもらったのですが、そこにサービス全体の評価点数を書く欄があり、参加者全員が最高評価の点数を記載していました。
そして、弊社側が実現したい内容を漠然とお伝えしても、御社側からこのようなプログラム、ライブラリ、機械学習を使って解決すると、すぐに的確な返答が返ってくるので、そのクオリティの高さにいつも驚かされていると話していました。
また、御社のスペシャリストと緊密にコミュニケーションをとっているので成果物の精度がとても高く、プログラムを自動化させて毎日使用している社員もいますね。
ー具体的に数字として効果が現れた部分などはありましたか?
長谷川様:
ロジスティクス部が以前作成したPythonプログラムは処理時間として1時間ほどが必要でしたが、御社からアドバイスをいただきながらコードを改良することで処理時間が15分に短縮されました。
作業時間が従来の25%になり、正社員の拘束時間が1日に45分も短縮できたので、年間として考えると非常に大きなコスト削減に繋がったと言えると思います。それに伴い、社員の残業時間も減りましたね。
その他にもワークマン女子やワークマンプラスを担当する新業態事業部ではBI抽出に多くの時間がかかっていたのですが、Pythonを活用し作業を自動化させたことで朝会社に来たら集計が終わっているという理想的な状態を作ることができました。
ーその他に、効果が現れた部分や今後期待していることはありますか?
長谷川様:
Pythonを活用して作業を簡略化できたことによって、正社員ではなく、パート社員さんに仕事を振れるようになってきたそうです。そして、まだ実際に数字としては現れていませんが、需要予測を用いた発注ロジックの最適化により売上増加も今後期待しています。
ー参加者の方の変化はありましたか?
長谷川様:
「Pythonハンズオントレーニング」から始まり、「機械学習を用いたデータ利活用のOJT」や「データ利活用アドバイザリ」を経て、社員の相当なスキルアップに繋がっていると感じています。
ライブラリや関数の使い方、フロー制御などの構文を学んだことで、習得したスキルを活かして自らの手でそれぞれの業務を自動化できるような社員が増えていますね。
ー一連のプロジェクトを通して良かったことはありますか?
長谷川様:
Pythonをプログラムできる社員が増え、既に参加した社員から良い評判が広がっているので、データ活用アドバイザリに参加したいという社員が増えてきているのは非常に良かったと思っています。
プログラミングの研修は難易度が高めなので、参加する社員が技術不足で恥をかいたり、自分がプログラムできないことでセミナー時間が長くなって人に迷惑をかけるのではないかという不安を感じたりする社員が多くいます。このような不安を取り除くために御社の皆様にもとても気を使っていただいていると感じています。
新しいことを学ぶ時にはどうしてもネガティブなことを考えてしまうと思うのですが、御社にはそのような障害を取り除き、参加しやすい環境を整えてもらっています。楽しいとさえ感じてもらえれば、どんどん知識を吸収していってくれますし、特に若い社員などはすごい勢いで知識を吸収してくれるので、こちらがその成長に驚かされることもありますね。
ー今後改善してほしいことはありますか?
長谷川様:
じっくり考えてみたのですが、改善してほしいところはまったく見当たりませんでした。
研修の内容もテキストも完璧で、いつも本当に勉強になっています。研修を実施する時は2名から3名のスペシャリストの方が付きっきりで講義を行ってくれるので、安心して取り組むことができていますね。
ー次のステップとして貴社が目指すものを教えてください。
長谷川様:
Pythonのプログラミングの基礎をマスターして、それぞれの所属している部署のタスクを自動化できるレベルまで持っていきたいと考えています。また、今後はデータをクラウドに集約し、クラウド上でデータベースの自動構築や分析の自動化、機械学習、ChatGPTを始めとする生成AIの活用を考えています。
ワークマンは「Excel経営」を掲げ、全員が分析に参加するという社是のもと、社員全員のスキルアップを進めてきました。しかし、相関関係が証明された分析については自動化することで、コスト削減をしていきたいと考えています。また、クラスタリングやロジスティック回帰などのExcelでは難しい分析もあるので、そのような分析手法を増やすためにもクラウドを活用した分析を進めていきたいです。
また、AIの活用は分析精度のアップやコストダウンに大きく貢献するので、早急に進めていく必要があると考えています。その点でも力をお貸しいただければ嬉しいです。
ー最後に導入を検討している会社にメッセージをいただいてもよろしいでしょうか?
長谷川様:
リンプレスやリンクレアの方々は親身になって相談に乗ってくれるので、背伸びをせず、包み隠さずに会社が抱えている課題について相談するのが良いのではないかと考えています。
企業のレベルに合わせて最適なサービスを提供してくれるので、ぜひ積極的に導入を検討してみてください。
(撮影・取材・文/小町 ヒロキ)
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